2022年8月16日火曜日

第3081話 どっこい 昭和は残ってた

この日も暑かった。
文京区・根津の行きつけでスポーツ誌を読みながら
もりそばでもたぐろうか・・・。
いや、暑いときには熱いものがいい。
だけど、かけそばの気分じゃないなァ。

ラーメンにしてみるか。
「砺波」亡きあと、近所に美味しい店は皆無。
過去のリストをつぶさに眺めて択んだ。
千駄木からメロロ千代田線に乗って3駅。
新御茶ノ水下車。

聖橋で神田川を渡り、孔子を祀る湯島聖堂を
右に見ながら通り過ぎ、清水坂下の「大至」へ。
リストでは花マル付きなのに13年ぶリである。
かくも長き不訪。

見覚えのある引き戸を引くと
すぐそばのテーブルに領収書がゴッソリ。
店のスタンプまで置いてある。
必要な方はご自分でどうぞ、ということらしい。

ビールはドライの小瓶(390円)。
とても1本じゃ足りないから2本。
ラーメン(830円)とワンタン(170円)を。

券売機に明記されていたのは
麺少なめのお客様
ミニサラダサービス 又は 100円引き
食券を手渡すときに申告しないと
あとからでは対応しかねるとのこと。

カウンターのオネエさんに訊かれ、
ラーメンとサラダを同時に食べる習慣がないため、
100円玉をゲット・バック。
彼女の次の質問はワンタンの選択肢。
ラーメンのトッピングの代わりに
ビールのつまみにも出来得ると言う。

へえ~っ、粋な計らいじゃござんせんか。
つまみで頼んでみたら
ワンタン2個に醤油スープがヒタヒタ。
豚挽き肉に竹の子が恰好のアクセントだ。

整ったラーメンを彩るのは
豚バラチャーシュー薄切り2枚、シナチク、
ナルト、海苔、ほうれん草、固ゆで半玉と
昭和の支那そばの役者が勢揃い。
そうだヨ、昔はこうだったんだヨ。
ゆで半玉のみ余計な気もするが
これとてサービス精神の表れだ。

中太ややちぢれ麺はしまいまでノビない。
もうちょい細打ちが好みだけどネ。
そしてこのラーメンの最大の魅力は
鶏ガラを前面に押し出したスープ。
油の浮き多くとも口当たりはアッサリ。
中盤から酢を掛け回してさらに好し。
飽くことなく姦淫し、もとい、完飲しちまった。 

帰宅後、PCを開き、リスト上の「大至」に
花マルをもう一つ、打ち込んだのでした。

「大至」
 東京都文京区湯島2-1-2
 03-3813-1080