東京メトロ丸ノ内線の四ツ谷と四谷三丁目。
訪れるのは懐の深い夜の町、
荒木町を擁する三丁目のほうが多い。
四ツ谷はしんみち通りくらいしかないからネ。
その日出没したのは、そのしんみち通り。
昼どきに来るのは極めてまれである。
「エル・アルボル」なるメキシコ料理店へ。
前夜、眠りに落ちる前に決めた。
創業二十有余年、都内屈指のメヒカーナの老舗。
接客はメキシコ人のオジさんかと思いきや、
かなりお歳を召された日本のお婆ちゃん。
ランチメニューから
2種のタコスの盛合わせをお願いすると
「ドリンク択べます。
パッションフルーツかグアヴァのジュース、
ジンジャーエール、あとは生ビール」
「エッ? 生ビールお願いします」ー即答の巻。
メキシコ産のテカテかコロナを飲むつもりだったが
ここは当然、生だろう、しかもドライだ。
一気に飲み干し、追加はドライつながりの中瓶。
ハハ、セニョリータから大和なでしこに浮気したヨ。
タコスはトルティーヤを揚げたほうが
中にマッシュドポテト。
焼いたのは別添えのチキンソテー、
生野菜(トマト・オニオン・レタス)を自分で包む。
ドルセ(甘口)・ピカンテ(辛口)・
メヒカーナ(野菜とハーブ)サルサは3種。
その名の示す通り、
メキシコを感じさせるメヒカーナがいい味だ。
タコスの具材は
クミンやコリアンダーの効いた牛挽き肉、
いわゆるタコミートをイメージしただけに
ちょいと拍子抜け、悪くはないけどネ。
2種のタコスの食べ方を
写真でていねいに解説してあった。
ポテト入り揚げタコスは
言われた通りにして食べた。
1780円の会計時に
「アルボルってどういう意味ですか?」ー
お婆ちゃんに訊ねると
「キです、キィ!」
「ハァ~ッ?」
何のことはない、”木”であった。
スペイン語は同じラテン語系の
フランス語に似た単語が多い。
4年前まで六本木にあった伝説の仏料理店、
「オー・シザーブル(6本の木)」を
懐かしく思い出したのでした。
「EL ARBOL(エル・アルボル)」
東京都新宿区四谷1-7
03-3357-6868