2024年2月16日金曜日

第3473話 黄昏の店で 舌が震えた (その2)

ハナシを元に戻しましょ。
文京区・白山上の「戸隠そば 満寿美屋」。
そば前の野沢菜は衝撃的だった。
すかさず信州の銘酒、大信州を冷やでもらう。
あまり飲めないY本サンもつき合ってくれた。

当方、かけそば&ミニかつ丼のセット。
相方、鴨せいろをお願いした。
戸隠を名乗るからには信州そば。
中太のそばはコシが強めだ。

つゆもしっかりしており、相方の鴨もなかなか。
驚いたのはミニかつ丼。
かえしの効いた味付けもさることながら
かつと玉子と白飯のバランスが好い。
かつは薄くとも、そばのお供にはピッタリ。

初回は気づかなかった当店の利点に
行き着いた感がある。
これからはちょくちょくおジャマするとしよう。
ひょっとしたら池之端に準じて
白山に行きつけそば屋の第2号かな?

帰宅後、「満寿美屋」のレシートを見ると
酒は大信州を注文したつもりなのに
大雪渓と明記されていた。
これじゃどっちを飲んだのか判らない。

どうにも気になって舞い戻った翌週。
いの一番に女将らしきオバちゃんに訊ねると
「たぶん大雪渓をお出ししちゃったんだネ。
 値段が200円違うんですヨ」

ホントだ。
品書きには大信州650円、大雪渓450円。
野沢菜でビールを飲みながら
今度は大信州を冷やで所望した。
「間違えないようにお願いしますヨ」
「ハイ・ハイ」

うむ、大信州はグッと重みが増して
どちらかというと、お燗向きの酒だ。
かなり米々しく感じた。

そばはカレー南蛮。
ふ~む、池之端に比べると
ずいぶんアッサリしている。
アチラの具材は豚肉と玉ねぎなのに対し、
コチラは鳥肉と長ねぎだが
これはこれで美味しい。

かくも佳き店をどうして9年も
ないがしろにしてきたのだろう。
おのれの不明を恥じ入るばかりなり。

「戸隠そば 満寿美屋」
 東京都文京区本駒込1-2-2
 03-3811-7686