2026年2月28日土曜日

第4006話 歓びアーカイブ 第6回

アーカイブ第6回です。

2013年12月5日木曜日

第723話 ようやくコーヒー買いました!

きのう、おとといと綴った、
「ザ・商社」について
ふと思い出したことがある。
NHKドラマは1980年12月、
4夜に渡って放送された。

当時は千葉県・松戸市に棲んでおり、
自宅で観たのだが
奇しくも主演俳優・山崎努は
その松戸市の出身なのだ。
So What(だからどうした)?
とハナシの腰を折られれば
それまでながら
偶然とはいえ、縁浅からぬものを
感じてしまうのですヨ。

ドラマの再放送、最終話を
見終えたのは先週木曜の昼下がり。
当日の夜の飲み会は
23時過ぎに神楽坂でお開きとなり、
帰宅後、缶ビールを飲みつつ、
TSUTAYAから取寄せたDVDを1本。

映画は寅さんシリーズ第29作、
「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」。
これを観るのは5回目くらいだ。
ヒロインのいしだあゆみは
わが青春のアイドルである。
その時代にアイドルなんて
誰も呼ばなかったけどネ。
「サチオ君」、「緑の乙女」、
「パールの指輪」、デビュー間もない頃、
一連の楽曲がとてもなつかしい。

この映画で人間国宝の陶芸家に
扮するのが「ザ・商社」で破綻する、
商社の社主を演じた13代・片岡仁左衛門。
昼間見た顔が深夜に再び出てきたわけだ。
えてして偶然は重なるものです。

「あじさいの恋」は
シリーズ中でも気に入りの作品。
奥丹後は伊根の舟屋が
情緒たっぷりに映し出されて旅愁を誘う。
(昨夏、初めて訪れました)

周囲が公認する許婚者のような男に去られ、
いしだ扮する傷心の女性、
かがりは生まれ故郷の伊根に帰る。
そこへ慰めに現れた寅次郎と
ほのかな恋心が芽生える筋書き。
のちに上京してきたかがりと寅は
一日鎌倉に遊ぶことになる。
暮れなずむ江ノ島の海。
シリーズ屈指の名作です。

劇中、寅の妹のさくらが
夫の博にコーヒーを淹れてやる。
このとき彼女が左胸と左腕で
抱えたのがネスカフェとクリープ。
そうだ! 先日、買いそびれた
インスタントコーヒーじゃないか!
映画に背中を押されて翌日、
近所で買い求めたのがコレ。
ネスカフェ230g クリープ280g
コーヒーの容器のほうが大きいのに
クリープのほうが重いのは
比重の違いのせいだろう。

インスタントコーヒーもクリープも
自分で買うのは生まれて初めて。
ともにデカい瓶にしたのはさくらが
抱えたのがこのサイズだったからだ。
以来、日に一度は飲んでいる。
今もこれを書きながら飲んでいる。

常人から見たら
他愛のないことかもしれないけど
わが人生は大きな転期を
迎えているのかもしれない。

若い頃には想像もつかなかったが
現在、実践していることが二つ。
一つはコーヒーの愛飲。
そしてもう一つは猫との同居。
せっかくだから猫と一緒に
コーヒータイムを
過ごそうと思いついた。

いくらなんでも猫が
コーヒーを飲むことはあるまい。
そこでクリープをぬるま湯に
溶いてやったら奴さん、
何食わぬ顔してまたぎやがった。
チッ、可愛くねェなァ、ったく!

可愛くないヤツはすでに星となり、
今は友人宅から貰ってきた、
二代目が家中を走り回っている。
コイツはクリープどころか
ミルクを飲む姿すら
見せることがありません。

2026年2月27日金曜日

第4005話 「山田屋」変われど「宝泉」変わらず

赤羽の次は東十条を飛び越して
王子へやって来た。
この街のランドマークは「山田屋」。
建て替えで長いこと休業していたが
2年ほど前に復活したものの、
なぜか足が遠のき、初訪である。

以前はだだっ広い店内と
高い天井が印象的だった。
かつてののみとも・S崎翁は
「まるで体育館で飲んでるみたい」
そう評していたくらいだ。

小ぢんまりとはなったものの、
かつての面影が少しく残る。
でも、ずいぶん変わった。
体育館が図工室になっちゃった。

時間が浅いせいか、
先客はオジさん一人のみ。
おしゃべりMきのせいで
静かな店がにわかにざわめいた。
ほうら松山千春も歌い出す。

♪ 深く耳をすませば
  朝いちばんの汽笛
  町はにわかにざわめいて ♪

「人生(たび)の空から」は
1980年のリリース。
詳しくは第3945話参照。

当店のビールも
サッポロ赤星の中瓶。
つまみはホタルイカ刺しと
アサツキの酢味噌和えだ。

ホタルはやせ細って貧相。
食味もイマイチ感否めず。
アサツキはとても好い。
二人して秋田の銘酒、
八重壽の冷酒に切り替えた。

滞空30分ちょいで
すぐそばの「宝泉」に移動。
此処はロの字とコの字、
二つのカウンターが昔のまんま。
懐かしさがこみ上げる。

ビールは当店もサッポロなれど、
赤星ではなく黒ラベル大瓶。
J.C.的には赤より黒が好きだ。
スタンダール的には
騎士より僧侶ということになる。

つまみはセロリ、手羽餃子、
そしてやわりめ。
これはスルメのあたりめを
少し戻した柔らか仕上げ。
よってやわりめ。
宝泉名物なのである。

なんだかんだ大瓶3本が空いた。
滞空は1時間半。
いや、2時間だったかな?
途中、ホッピーに切り替えたが
生だったか瓶だったか、
アウト・オブ・メモリー。
相方に訊いたとしても
覚えちゃいまいてー。

「山田屋」
 東京都北区王子1-19-6
 03-3911-2652

「宝泉」
 東京都北区王子1-19-10
 03-3914-2726

2026年2月26日木曜日

第4004話 うな丼とスッポン鍋で精をつけ

この日はそばとも・Mきと
昼から夜まで一日中、
飲み歩く予定である。

何となれば、わがブログで
麦歩とも・N子の存在を知り、
私もそばだけにとどまらず、
町歩きまで敢行したい、
そう言い出したのだ。

蕎麦歩ともの誕生だが
漢字3文字は長いので
蕎歩とでもとしておこう。
麦歩と蕎歩か、悪かないネ。
二人を互いに紹介する、
なんてことはないだろうが
とにかく飲んで食って
ひたすら歩きましょう。

待ち合わせたのは
都営三田線・蓮根駅。
蓮根駅前通りを真っ直ぐ北上し、
新河岸川に架かる蓮根橋の手前、
町そば「滝乃家」に到着すると
シャッターが下りている。
定休日らしい。

休みを調べなかった、
J.C.の落ち度ながら
まさか金曜に休むとは思わなんだ。
板橋区の北のはずれに
代替店の用意などあるハズもない。

だが、ふと浮かんだのは
ちょいとばかり距離があるが
北区・浮間のうなぎ屋だった。
歩き始めよう。
板橋・北両区にまたがる、
浮間舟戸駅を通過し、
「行田屋」にやって来た。

此処のうなぎは蒸さず焼きのみ。
関西ほど火を通さないので
名古屋風とでも云おうか。
相方(上)うな重(肝吸いつき)、
当方うな丼(肝吸いナシ)をお願い。
(上)といっても一番小さいヤツ。
それでも両方、丸1尾ぶんあった。

うなぎ以外には何もない。
うざく・う巻き・肝焼きなどは
夢のまた夢、本当に何もない。
でも一番搾り中瓶を飲みながら
美味しくいただいた。

荒川土手を歩む。
隅田川と荒川の分岐点、
岩淵の真っ赤な水門を臨み、
赤羽の街に至り「まるます家」。
軍都・赤羽のランドマークが此処。
めしの量多かったので
もう何も入らない。
しかし愛想なしは避けたい。
スッポン鍋を赤星中瓶と通した。

スッポンはゴリゴリの頭&首肉。
プヨプヨのエンペラも1枚。
野菜と豆腐はたっぷりで
出汁がとてもよろしい。

そのままビールを飲み続ける、
Mきを尻目にこちらは
ライム&ミントの
モヒート酎ハイを。

どうでもいいけど、
うなぎとスッポンで精をつけ、
この精の捌け口を
どこに求めたらよかんべサ。
相方とはそういう仲ではないため、
とにかく歩き続けましょう。

「行田屋」
 東京都北区浮間4-10-21
 03-3966-9613

「まるます家」
 東京都北区赤羽1-17-7
 050-5890-2386

2026年2月25日水曜日

第4003話 初めての ちゃん系ラーメン

長いこと禁自模していた麻雀。
去年の夏に再び打ち始めて以来、
ひんぱんに卓を囲むようになった。
主戦場は神田、ときどき京橋。

11時スタートがほとんどで
19時にタイムアップを迎える。
セブンイレブンとは
真逆のイレブンセブンである。

いつもは自宅で朝食を取ったあと、
プレー中は何も食べない。
ただし、生ビールを飲み続ける。
それも1日8杯はいっちゃうネ。
メンバーはみんなビックリしてる。

先週、空腹感を覚え、
10時過ぎに神田ガード下の
ラーメン店に立ち寄った。
コの字カウンターだけの店は
朝から立て混んでおり、
行列も珍しくない。

暖簾がめくり上がっているため、
店名が判らずミャンマー人と
思われるオネエさんに訊ねたら
「ちえちゃんラーメン」。
うん、うん、聞いたことあるゾ。

小さいサイズがあって
迷わず赤星中瓶とともに
小中華そばを発注した。
「白めしどうですか?」
「うん、ちょっとだけネ」

ふ~ん、薄い色のスープに
油が浮いて見た目はギトギト。
飲んでみると意外にスッキリ。
刻みねぎとシナチクに
ももチャーシューが5枚も。
築地場外で火事の延焼により、
焼失した「井上」のソレに
よく似ている。

あとで調べたら今あちこちで
ちゃん系ラーメンが流行という。
なるほどなァ。
油にはちょいとたじろいだが
自分の好みに合っている。

よって今週、ウラを返した。
太打ちちぢれ麺がヤワ系につき、
麺カタでお願いし、
かねて狙いの岩のりトッピングも。
そしたら岩のりの量がものスゴい。
3人でシェアしてちょうどだろう。

とはいえ、美味しくいただき、
”ちえちゃん” のご利益か
戦果は目を見張るものがあり、
連戦連勝と相成りました。

「ちえちゃんラーメン」
 東京都千代田区鍛冶町2-13-7
 03-6206-0324

2026年2月24日火曜日

第4002話 町そばを 居酒屋風に 飲みこなす (その2)

荒川区役所にほど近い、
町そば屋「ますや」で
独り昼麦酒を楽しんでいる。
どこの誰にもジャマされぬ、
至福の時間を過ごしている。

まぐろとろろと一緒に
菊正の常温をお願い。
冷たいのがいいけれど
当店には常温か、燗しかない。
一升瓶用の冷蔵庫がないんだネ。
大瓶の隣りに置けそうな気が
しないでもないけどねェ。

存分にビールを楽しみ、
づけのためにひと肌脱いで
貰った菊正に切り替える。
ここでカツ煮を追注した。
とんかつ屋のソレみたいに
分厚くないのが好もしい。

みんな貧乏だった昭和の時代。
ぜいたくな厚切りなんか
ついぞ見ることはなかった。
今日は酒の肴につき、
普段あまり使わない七色を
パッパと振っていただく。

大した距離じゃないし、
時間的余裕もあるから
浅草「三富珊瑚」に向けて
テクテク歩く。

荒川仲町通りから
東日暮里の正庭通り。
三ノ輪・竜泉を経て
かっぱ橋道具街を南下。
田原町に到着したのは
開店間もない16時15分。

入店すると先客は
常連の若いカップル1組。
ドライ中瓶を貰い、
目と目で彼らと乾杯。
お通しはいつものジーマーミ。
プルンとした沖縄豆腐である。

比嘉酒造の残波888(サンパチ)に
スイッチして
島らっきょうを所望に及ぶ。
宵の口から強い酒はのちのち
支障を来たす怖れがあるので
ソーダ割りにしておく。

冬季五輪の女子カーリングを
観ながらの滞空時間は
1時間ちょっと。
この日は季節外れの新年会が
控えており、K世ママに送られて
田原町をあとにした。
「じゃ、またね」
「お待ちてますっ!」

「ますや」
 東京都荒川区荒川2-3-7
 03-3891-0993

「三富珊瑚」
 東京都台東区西浅草1-3-17
 03-6795-1344

2026年2月23日月曜日

第4001話 町そばを 居酒屋風に 飲みこなす (その1)

浅草は田原町の「三富珊瑚」。
ママの K世チャンと
来訪の約束をしたので
夕刻には顔を出さねばー。
その前の遅いランチは
結局よくあるパターン。
昼めし転じて昼飲みとなった。

千駄木から浅草行きのバスに乗り、
荒川三丁目下車。
当欄にも登場済みの町そば、
「ますや」のカウンターに
スルリと滑り込んだ。

足立区・谷在家の「みたけ食堂」も
親父サンがフロアを仕切るが
この日の接客は
オジさん代わりのオネバさん。
「みたけ食堂」同様、
ドライ大瓶を所望した。

新鮮かつ泡の少ない生ビールは
大好きながらなかなか出逢えない。
よって普段は生に見向きもせず、
もっぱら瓶ビール一本やり。
それも大瓶が好もしい。
中瓶は中途半端だし、
大の男が小瓶なんか
飲んでられやしない。

今日は蕎麦も丼もほしくない。
気の利いたつまみがあればいい。
ほうら、裕次郎が歌い出した。

♪ 今夜は歌も
  ギターもほしくない 
  夢のささやきが
  ただようクラブ ♪
  (作詞:池田充男)

「ささやき」はかくれた名曲につき、
ぜひ YTしてみて下さい。
作曲の村沢良介は同じく
裕次郎の「口笛が聞こえる港町」、
鈴木三重子「愛ちゃんはお嫁に」を
世に送り出している。

ドライ大瓶を運んで来てくれた、
オネバさんにまぐろとろろを通す。
他店で云うまぐろ山かけは
よく注文する肴だが
まぐろブツにとろろを
ぶっかける店が多い中、
当店の薄切りがうれしい。

何となればまぐろを即席づけに
するためでブツだと厚すぎる。
その点、薄切りは素直に
づけとなってくれるんだ。

=つづく=

2026年2月21日土曜日

第4000話 歓びアーカイブ 第5回

東北大震災の直後に
綴り始めた”生きる歓び” も
おかげさまを持ちまして
4000話を迎えることができました。
ご愛読に感謝いたします。

今日は土曜日とあらば
=歓びアーカイブ= であります。
その第5回をどうぞ。

2013年12月9日月曜日

第725話 クラブが出て来てこんにちは (その2)

近隣のスーパーで
購入した千葉県産のアサリ。
砂抜きのために張った、
塩水の中に小さな生きものを
発見したハナシのつづきです。
百聞は一見に如かず、
とくとご覧くだされ。
それは蟹であった
貝殻の中に潜んでいたに違いない。
蟹クン、しばらくはジッとしていた。
その後、静かに着地を試みて
ひとしきり歩き回った末に
1粒のアサリの下に隠れた。
徘徊中の蟹
アサリやハマグリを食べていると
かような小蟹に遭遇することがある。
しかし、それは貝と一緒に
火を通されたあとの亡骸。
小さな身体も緋色に変色している。

今は昔、1980年代初頭。
丸の内北口にある「丸の内ホテル」内の
仏料理店をたびたび利用した。
建て直す前の建物は
準シティホテルといった佇まいで
現在の姿とは趣きが異なっていた。

記憶は定かではないものの、
フレンチは確か「バンブー」という、
名前ではなかったろうか。
気に入りの料理は
ハマグリのクリーム煮だったが
ここで三度続けて
貝の中に小蟹を発見した。
「へぇ~っ、こんなことってある?」
率直な印象を抱きつつ、
そのまま食べたっけ・・・。

懐かしのレストランも
今は「ポム・ダダン(のど仏)」と
その名を変えている。
ポム・ダダンは英語のアダムズ・アップル、
そう、アダムのリンゴだ。
なるほど仏料理で、のど仏ですかいな。

以来、貝の中の蟹には
たびたび出くわしている。
そしてこの現象は
貝が蟹をエサとして捕獲し、
サァ、これから食ってやるか・・
そう思った瞬間に今度は貝自身が
人間に捕らわれてしまい、
食事どころでは
なくなったものと信じていた。

今回なんとなく
ふと気になって調べてみると
意外なことが判明した。
この小蟹の正体は
英名・ピンノで和名・カクレガニ。
貝に捕まったのではなく、
自らの意思でプランクトンの頃より
貝の中に移り住んだ、
永遠の居候だった。

生まれて初めて宿った貝の中で
一生を過ごし、貝が死ねば、
自分もあとを追うというか
エサを捕る術を知らないから
生き延びることができない。
一蓮托生とはまさにこのことで
自然界の不可思議ここに極まれり、
でありましょう。

本日追記
今思うと、いくら小蟹にせよ、
あんな狭い所で一生を終えるんじゃ、
この世に生まれた甲斐がない、
というもんじゃないのカニ?

2026年2月20日金曜日

第3999話 日暮里に「神谷バー」もどき

2年ほど前だった。
突如として日暮里駅前に
現れた「荒川スタンド」。
この街には似合わない、
洒落た立ち飲みワイン酒場だ。

平日は15時オープンながら
週末は12時に開く。
昼から飲み始める身には
15時ではちと遅すぎる。

よって利用はほぼ土日限定。
初回で気に染まり、
すでに何度かおジャマした。
サッポロ黒ラベルの生を
「泡少なめでお願いネ」ー
そう云って通したら
ほぼ泡無しでサーヴされた。

こんな佳店は本当に少ない。
今は何処かへ行っちゃった、
錦糸町「Vivo」の山チャンを
久方ぶりに思い出した。
元気にしてるかな?

つまみは欧州カラーが強い。
茄子のバルサミコ、
鶏レバーのコンフィ、
オムレツ・パルミジャーノ、
デミグラスもつ煮、
スペイン風ミートボール、
ゴルゴンゾーラのニョッキ、
そんな連中が並んでいる。

J.C.がつまむのは
極厚ハムカツかカキフライ。
大阪森田屋の塩で食べるコロッケ。
そして生ハムを乗せたゼッポリーニ。
これはイタリアのパンで
海藻を練り込むのがミソ。

先日、壁の貼り紙に
ポンカチェッロを見つけた。
イタリアン・リキュール好きなら
すぐにピンと来るハズ。
レモンを使ったリモンチェッロの
ポンカン版である。

生ビールを飲みながらその脇に
チェッロ姉妹のどちらかを
従えて味わってると
あたかも浅草「神谷バー」で
ビールと電氣ブランを
愉しんでいるかの如し。

過日は姉妹揃って飲っつけたら
見覚えのあるスタッフ娘に
「ショットを2杯も飲むなんて
 お酒が強いんですネ」
なんて冷やかされた。

エ~エ~、そうともヨ。
今週末も来てまた一飲に
及ぶつもりでありんす。

「立ち飲みワイン 荒川スタンド」
 東京都荒川区東日暮里6-60-1
 03-5604-9310

2026年2月19日木曜日

第3998話 泡盛の古酒に つい誘われて (その2)

とにもかくにも婆っちゃまと
パクパク食べてグビグビ飲んだ。
その結果、大瓶が3本空いた。
そろそろお開きと思いきや、
まだ時間があるから歩きたいと
婆っちゃまがヌカした。

まっ、いいか。
せっかく西新井大師西駅まで
来たことだし大師さまにでも
行ってみようかー。
進路を東に取り、歩みを進める。
パクパク、グビグビのあとは
テクテクである。

大師の裏側は北参道だが
J.C.は裏参道と呼ぶ。
裏から境内に入り、
本堂をすり抜けて
草だんごを食べさせようと思い、
「清水屋」に来ると本日は貸切り。

それじゃ仕方がない。
けっこうな距離を歩いて
北千住に到達した。
なじみの「千住845」は
15時開店の10分前に着いた。

快く迎えられ、ドライ大瓶。
互いに腹一杯、つまみは〆鯖と
かれいエンガワで軽めにー。
油紙に火を点けたように
ベラベラしゃべる相方の話を
聴いてやり、此処でも3本。

ようやくメトロ千代田線に
乗って帰路についた。
西日暮里で降りる相方に
手を振って当方は
一駅先の千駄木下車。

近所の鮮魚店に立ち寄り、
つまみを調達して
自宅での晩酌はビールと
くだんの泡盛古酒を抜栓。

玉友(ぎょくゆう)甕仕込み
5年古酒30度はさすがだった。
含んで舌上に転がすと
奥行きを存分に拡げ、
ゴクリ飲み下せば、
余韻を残して滑り落ちてゆく。

まだあるうちに
沖縄風のつまみと一緒に
飲み直そうと決めたのも
むべなるかな。

「みたけ食堂」
 東京都足立区谷在家2-5-2
 03-3890-4421

「千住845」
 東京都足立区千住2-39
 03-5284-7588

2026年2月18日水曜日

第3997話 泡盛の古酒に つい誘われて (その1)

最近ひんぱんに行動を共にする、
麦歩とも・N子よりメール到来。
何でも久米島旅行の土産に
泡盛を買って来たとのこと。
それも古酒(クース)と聞いて
呑ン兵衛・J.C.、
にわかに色めき立った。

ブツを引き取るだけじゃ悪いんで
サクッと昼めしということにー。
とにかく彼女とは
逢瀬の回数が増えており、
また以前同様、
読者の方々にあらぬ期待を
抱かせないとも限らない。

もうちょっと日を空けようとは
思ったものの、
古酒の魅力には勝てまへん。
正午前に日暮里・舎人ライナー、
西新井大師西駅で落ち合った。

午後の予定が押してるそうで
彼女の住まいのそばを
指定されちまったのだ。
何せ、埼玉県人なんでネ。

ライナー沿線では
唯一の行きつけ店、
「みたけ食堂」に直行の巻。
朝めし&昼めしを出し終わると
早々に店を閉めちゃう食堂だ。

いつもの親父サンに
ドライ大瓶をお願いし、
自分でトレイに取る料理は
相方が切り干し大根、卯の花、
茄子しょうが焼き。
当方はハンバーグ、回鍋肉、
生たらこで、彼女のために
ごはん&味噌汁もゲットした。

双方の戦利品を見つめて
ため息交じりに思わずつぶやく。
「何だか婆ちゃんと
 孫の食事風景だな」
「タハッ、云われりゃそうだネ」

まったくもって
N子の好みはヤケにババ臭い。
茄子はともかくとして
切り干しとオカラだもんな。
まっ、婆っちゃまとの食事も
たまにゃ、悪くないもんです。

=つづく=

2026年2月17日火曜日

第3996話 大船に乗ったつもりで「黒船」へ (その2)

不忍池にほど近い上野広小路。
「黒船亭」でニューうたともと
向かい合っている。
料理が調う間はもっぱら
二人の生い立ちについて語り合う。
これは個人情報に当たるため、
つまびらかにはするまい。

スモークサーモンが登場。
まあフツーである。
ケイパーはいいんだが
もうちょいオニオンが欲しい。

生ハムは一般的なイタリア産以上。
ワインもそうだけれど
スロベニアのものが目立ち、
思い入れがあるらしい。
ウエイターに訊ねたらオーナーが
惚れ込んでいるとのこと。

旧ユーゴの構成国・スロベニアは
19年前に一度だけ訪れた。
首都・リュブリアーナは
まさしく美食の都であった。

旅行中、イタリアや
フランス各地で
何度も朝食を取ったけれど
リュブリアーナが断トツで
パリなど足元にも及ばない。
もっともコンチネンタルの
ブレクファーストだから
仕方がない面は否めない。

オイスターチャウダーも秀逸。
クラムの上をいくネ。
プックリ太った牡蠣は
おそらく岩手の広田湾産だろう。
ここで島根県産の生姜仕様の
ジンジャーハイに切り替えた。

ビーフシチューは
特筆とまでいかないものの、
水準をじゅうぶんにクリアし、
老舗としての安定感に満ちている。

ところがカニコロッケはイマイチ。
クリーミーに過ぎるのだ。
蟹肉をもっと入れておくれ。
蟹座としてそう思わざるを得ない。
向かいに座った牡牛座は
パクパクやってたけどネ。
いずれにしろ洋食好きのお眼鏡に
かなって歓ばしい。

勘定を済ませレセプションを
すり抜けると、
順番待ちが10人近く。
前回訪れた20世紀末は
ずっと空いていた。
いつの間にやら大人気店に
変貌した黒船来襲おそるべし。

「黒船亭」
 東京都台東区上野3-12-6
 050-5868-0521

2026年2月16日月曜日

第3995話 大船に乗ったつもりで「黒船」へ (その1)

浅草観音裏のスナックで出逢い、
ニューうたともになった、
M祢チャンとカラオケボックスへ。
ビールを飲みながら
歌い続けること3時間。
その後、ディナータイムである。

この夜は洋食好きの相方のため、
それなりの店を
あらかじめ予約しておいた。
上野で一番の人気を誇る、
洋食店「黒船亭」を訪れた。

最後の訪問はニューヨークから
帰国して数か月後の1998年2月。
実に丸28年ぶりになる。
信頼感指数の高い店につき、
大船に乗ったつもりで
黒船に乗り込んだ次第なり。

エレベーターで4階に上がると
懐かしい光景が開けていた。
18時の到着でほぼ満席。
上野広小路とはいえ、
ビルの階上だから
ロケーションの利があるとは
いえないが老舗の底力を
まざまざと見る思いがした。

そういえば上野には
同じ洋食の「さくらい」、
何でも供する「吉池食堂」と
ビルの上の人気店が多い。
”上野” を訪れる人は
”上” に上がることを苦にしない。

一番奥の二人掛けテーブルに
案内されてメニューを開く。
飲みものの品揃えは
思ったほど多くはない。

カラオケでビールを
さんざ飲んで来たので
相方はカシスをスパークリングで
割ったキール・ロワイヤル。
当方は山椒ハイボール。
グラスをカチンと合わせた。

吟味を重ねて通した料理は
スモークサーモン、
スロベニア産生ハム、
オイスターチャウダーを
各スモールサイズでー。
カニコロッケと
ビーフシチューはフルサイズだ。

=つづく=

2026年2月14日土曜日

第3994話 歓びアーカイブ 第4回


お約束通りに
土曜日限定のアーカイブです。


2014年10月31日金曜日

第959話 ブルースに寄せて (その1)

前話で行きががり上、
紹介した「暗い港のブルース」。
さっそくお二人の読者から
反響があった。
いただいたお便りを披露してみたい。
最初に北海道・函館市のY村M明サン。

突然のメールで失礼します。
いつも楽しく「生きる歓び」を
拝読しております。
今日は突然、「暗い港のブルース」が
出てきて驚きました。
この曲は私の思い出の曲なんです。

当時、私は札幌のレストランに
勤めていました。
そこへ何人かのアルバイトの
女子大生が入ってきました。
ほとんどが夏休み期間だけの
短期採用でしたが私は一人の女性を
好きになってしまいました。

一度だけデートをしました。
映画に誘ったのです。
それが何と、J.C.さんが
いっておられた「ある愛の詩」で
二度びっくりです。
失恋みたいなかたちで
はかない夢に終わりましたけど、
彼女のことは
今でもときどき思い出します。

働いていた店に
ジュークボックスがあって
20円か50円か忘れましたが
コインを入れて楽しみました。
そこに「暗い港のブルース」が
あったんです。
彼女の去ったあと、
面影を慕いながら
よく聴いたものです。

青春時代にスリップさせて
いただき、まことに
ありがとうございました。

こういう便りはうれしいなァ。
実は J.C.、Y村サンのメールに
びっくり仰天したのである。
忘れもしない1972年、
「暗い港の~」がリリースされた
翌年だが芝公園のシティホテルで
こちらもバイトをしていた。

ビヤガーデンのはずれに
「プリンス ビラ」なる
別館レストランがあり、
しばしばその店に配属された。
そこにはやはり
ジュークが設置されていて
しかも「暗い港の~」が
カバーされていたのだ。
そしてY村サン同様、
よく聴いたのだった。

いやはや、
こんな偶然ってあるんですねェ。
ホントにびっくらこきました。

それにしても1960年代から
’70年代前半にかけて
都内の(日本全国だろうが)
飲食店にはけっこうな数の
ジュークボックスが置かれていた。
シティホテルのレストランでさえ
そうだから推して知るべしだろう。

ジュークが消えていったのは
カラオケが世に現れた、
’70年代後半だったように
記憶している。

=つづく=

キングトーンズの面々は
ほとんど星になってしまい、
生で聴くことはかなわぬ夢。
あのドゥーワップを
忘れることができません。

2026年2月13日金曜日

第3993話 ラムにまみれた御徒町

しょっちゅう飲み歩く御徒町。
いつも立て混んでいて
ときには順番待ちの列まで
できる店が気になっていた。
「羊香味坊」を名乗るからには
ラム中心のメニュー構成だろう。

存在の認知後、
だいぶ経って初訪問。
1階は満席で2階に上がる。
前話の「尾張屋」がよみがえった。

ビールはサッポロ赤星中瓶。
羊香水餃子とラム串5本セットを。
どちらもまずまずだが
逸品とまでは云えない。
何故こうまで人気なのだろう?
客層は若者の比率が高い。

目の前のワインセラーをのぞくと
ボトルのネックに値段が
書き込まれている。
ん? 見覚えのある光景だゾ。

そうだ、神田駅ガード下、
「味坊」じゃないか!
かれこれ10年も前に
一度だけ利用した記憶がある。
あそこのワインにも
値段が書かれていた。

そこで初めて気が付いた。
あちら「味坊」。
こちら「羊香味坊」。
同系列であることが判る。

赤星をお替わりして
何かもう1品いっとこうかー。
メニューを吟味し、
惹かれたのが羊香炒飯だった。

半炒飯が理想なんだが
あるワケないよな。
小姐に訊ねるとやはり無かった。
意を決してフルポーションに挑戦。
われながら無謀である。

結局は薬局。
けして不味くはないのに
道半ばでリタイアの憂き目。
ラム串でビールが飲めれば
それで満足なんだから
少しは自分の歳を考えろヨ。
後悔、先に立たず。
そんな上野の昼下がりでした。

「羊香味坊(ヤンシャンアジボウ)」
 東京都台東区上野3-12-6
 050-5868-0521

2026年2月12日木曜日

第3992話 温そばに おろし生姜とは!

千駄木からバスに乗って浅草へ。
いつも飲むだけの「神谷バー」で
たまにゃ食事を取ろうと目論むが
折悪く休業と来たもんだ。

数軒隣りの並び、
「尾張屋 支店」の敷居を
数年ぶりにまたぐ。
1階は満席、2階に通された。

当店の人気は天ぷらそばと天丼。
海老がデカいからネ。
J.C.はさほど海老天を好まない。
(車海老なら文句ないけど)
むしろ小ぶりな芝海老が好き。
芝に限らず小さめが好きで
乾焼蝦仁(海老チリ)や
シュリンプカクテルを好む。

でも、久しぶりだから
天南ばんをいってみよう。
ドライ中瓶とともに通した。
天ぷらそばだと
2尾付けだが南ばんなら1尾。
値段も安く節約につながる。

運ばれ来たどんぶりは
老舗らしく威風堂々。
海老もさることながら
長ねぎの存在感が際立つ。
そもそも天南ばん、鴨南ばん、
カレー南ばんの南蛮は
ねぎのことを指す。

ささがきの斜め切りではなく、
スパッと縦に真っ二つ、
いわゆる唐竹割りが武士好みだ。
通はこのねぎを南蛮切りとも呼ぶ。

傍らの薬味はさらしねぎに
ん? んん?
何と、おろし生姜と来たもんだ。
確かに温そばとわさびは
相性がよろしくない。

「尾張屋」では常に冷たいそば。
温そばなら当店の常連だった、
永井荷風が好んだかしわ南ばんを
食べたことはあるが
生姜なんざ付いて来なかった。

あれは「尾張屋 本店」のほうで
10年も昔だからなァ。
とにかく素晴らしくはなくとも
そこそこ美味しくいただいた。
生姜もちょっぴり使ってネ。

「尾張屋 支店」
 東京都台東区浅草1-1-3
 03-3841-8780

最近始めた=歓びアーカイブ=。
浪花の小姑・らびちゃんはじめ、
多くの方々のご好評をいただき、
その声に応えたく、
今週から休載日の土曜に
お届けすることにしました。
ご愛読のほどよろしく願います

2026年2月11日水曜日

第3991話 柴又に 続いて芝を 往きました

柴又街道を往った翌々日。
今度は芝を歩く J.C.の姿を
見ることが出来た。
ん? ンなモン、
見たかないぜ! ってか? 
そう仰らずに先をお読み下され。

まずは腹ごしらえ。
芝二丁目界隈で
人気の「サンギュリエ」へ。
ライスの上に骨付き鶏モモが
ドーンと1本乗った、
ムルギカレーが看板商品だ。

ムルギカレーと茄子カレーが
どちらも北里柴三郎1枚。
トッピングと呼ばれ、
両方乗ったのが100円増し。
しかし茄子人気は冴えず、
ほとんどの客がムルギを注文。
J.C.も右へ倣えである。

黒ラベルの生ビールは
チューリップ型グラスに
300ccくらいかな?
1杯700円と少々割高だが
2杯飲みました。

さっそくのサラダは
サニーレタスにりんごが
ちょびっと添えてある。
じゃが芋みたいな色合いは
王林だと思われた。

運ばれ来たカレー皿には
真ん中にライスの山がこんもり。
てっぺんにくだんのチキン。
その周りを囲む山のふもとは
ヒタヒタのカレーソース。
具材が見当たらず、
シャバシャバのスープカレー風。

カレー自体はとても美味しい。
備え付けの辛味ペーストも
きちんと役割を果たしている。
少食派にはライス多過ぎで
代わりにソースはもっとほしい。
デカい鶏モモを食べ切れず、
ライスも5分の1ほど残した。

狭い地域ながら芝二丁目を
グルグル歩き回る。
旧新堀町はのどかな一郭である。
食べもの屋が何軒も建ち並び、
港区では赤坂や六本木、
挙句は麻布十番をもしのぐ、
最も好きなエリアだ。

町中華風本格派「綿徳」。
穴子天ざるの「ざるそば屋」。
酒場兼食堂「浜松屋」。
それぞれに魅力的で定期的に
通うこととなるのでしょう。

「サンギュリエ」
 東京都港区芝2-24-1
 03-3451-9041

2026年2月10日火曜日

第3990話 柴又街道を往きました (その2)

前話のつづき。
わけの判らん店が出張ってきて
図々しくも「とらや」を
名乗ったものだから
松竹と山田洋次監督は
「とらや」から「くるまや」へ
屋号の改名を余儀なくされたのだ。
世の中に悪の種は尽きず、
悪人もまた絶えることがない。

ドライ中瓶2本&だんごセット。
3本付けの1皿には
焼きだんご(みたらし)。
草だんご(あんこ乗せ)。
磯おとめというのは
醤油の素焼きに切り海苔まぶし。

周りを見渡すと
だんごセットの客がほとんどで
二人連ればかりだ。
30分の滞空後、せっかくだから
帝釈天へ向かう。
門前で一礼し、参拝はしない。

相方が柴又駅前で向かい合う、
寅&さくらの銅像が見たいと云う。
連れてったら、ちとシラけ気味。
うん、デキが良くないんだ。
さくらはちっとも似てないし、
寅さんはスゴんだやくざみたい。

目の前の居酒屋「春」を
チラリとのぞいた。
ママが元気に立ち働いている。
あとは娘と初見のオバちゃん。
女ばかりの3人体制である。

立ち寄るべきか、素通りするか、
かなり迷ってハムレットの心境。
「ねえ、どうするの?」
せっつかれ、結局は薬局、
ステップ・インの巻。
当店では渥美清が撮影の合間に
納豆オムレツを食べている。

一番搾り中瓶を注ぎ合い、
本日三度目の乾杯だ。
つまみは目の前の大皿から。
当方がマカロニサラダ。
相方は甘らっきょう。

柴又ハイボールに切り替え、
ママに訊いてみた。
「23年前に3回続けて
 おジャマしたけど
 覚えてないでしょ?」
「それは昔過ぎるわ」

ツレは往時の元カノ・K子。
ママが彼女を気に入って
帰る際に柴又駅のホームまで
見送ってくれたものだ。
オニイちゃんを見送る、
さくらみたいにー。

ちょいと高めの濁り酒、
三戸ドンベリを1杯いただき、
「またおジャマするネ」
「ハイ、もっと短いスパンでネ」
今回は見送りがありませんでした。

「高木屋老舗」
 東京都葛飾区柴又7-7-4
 03-3657-3136

「春」
 東京都葛飾区柴又4-8-14
 03-3657-3518

2026年2月9日月曜日

第3989話 柴又街道を往きました (その1)

本日は麦歩とも・N子と
京成小岩で待ち合わせ。
上野発の電車を日暮里から
乗り込もうとしたそのとき
グイッと右腕をつかまれた。

ん? なんだ、なんだ!
振り向けば乱暴者は 
N子その人だった。
大した偶然ではないけれど
まあ、プチ偶然ではあるわな。

目的地に到着した途端、
石川さゆりが歌い出す。

♪ 上野発の私鉄電車
  降りた時から
  京成小岩は風の中
  家へ帰る人の群れは
  誰も無口で
  改札口を抜けてゆく
  われわれ二人
  コートの襟を立て
  こごえそうな肩を寄せて
  歩いていました
  あゝ柴又街道・冬景色 ♪

去年の暮の級友との忘年会。
京成小岩からJR小岩の南まで
歩いたときに遭遇したのが
「淡路島バーガー」なる店だ。

淡路島特産の玉ねぎを
ふんだんに使ったバーガーと
カレーライスが主力商品で
どうせなら両方食べたい。
でも一人じゃムリ。
そこで相方に肥掛け、もとい、
声掛けしたのであった。

バーガーはプレーン。
カレーには玉ねぎカツ。
うむ、どっちもなかなかだ。
玉ねぎの甘みが味覚を魅了する。
ハイネケンの小瓶を
二人で3本飲っつけた。

あとで調べたら「淡バーガ」は
都内に10軒近くあった。
でも、出逢った店を訪れるのが
筋というものだろう。

柴又街道を北に向かって歩む。
けっこうな数の飲食店を
通り過ぎて帝釈天参道に到達。
迷うひまもあらばこそ、
「高木屋老舗」に入店した。

柴又に来れば寄るの「高木屋」は
寅さん映画の舞台、
「とらや」のモデルになった店だ。
参道中ほどの「とらや」は
真っ赤な偽物だから読者は
くれぐれも騙されないようにネ。

=つづく=

「淡路島バーガー 京成小岩店」
 東京都江戸川区北小岩2-5-6
 03-5876-8651

2026年2月6日金曜日

第3988話 歓びアーカイブ 第3回

今日は =歓びアーカイブ= 第3回。
”生きる歓び” の前身、
"食べる歓び” から
その第1回をお届けします。

第1回 2006年7月3日

= J.C.って何なのサ?=

私に関する質問でイチバン多いのは
「J.C.って何のことですか?」
まずは名刺代わり、
このお訊ねにお応えします。

初めて金融業界に
アシを踏み入れたのは1980年代。
当時、神谷町にあった、
英国のマネーブローカーでした。

最初の3ヶ月間ほどは毎朝、
英国陸軍出身の支店長による
直々のトレーニング。
外国為替取引とはなんぞや、
東京ドルコール市場とはなんぞや、
懐かしく思い出される若き日々です。

休憩時間にスモーカーだった私は
愛飲していたゴロワーズを一服。
ところがこの支店長、
エジプト葉を使う、
フランス煙草の匂いが大嫌い。

いつしか私を典型的な
フランス男子の名称の
ジャン・クロードと呼び始め、
そのニックネームが定着しました。
そのうちイニシャルの J.C.に
縮まったワケなのです。

閑話休題。
「食」の話題をご披露せねば。
前フリが長くなったので
初回は軽く今日の昼メシ。

神保町の中華料理屋で
雲呑麺でもツルツルやろうと思い、
A1出口を出ようとすると、
突然の驟雨に見舞われる。
雨宿りの群集に混じって
しばし思案投げ首だ。

ふと見れば「大衆酒場 一休」が
目の前の半地下にー。
大衆酒場で酒は飲んでも
メシは食わない主義で
メシなら大衆食堂のほうが
信頼感指数が高い。

とは言うものの、
泣く子と降る雨には勝てんもん。
運ばれ来たる焼き魚定食(800円)は
赤魚粕漬け・きんぴら・
きゅうりと大根のぬか漬け・
わかめの味噌汁・ごはん。
ボリュームたっぷりだ。

オマケに希望すれば、
納豆か生玉子がサービスで付く。
朝メシじゃないからサービス品は辞退し、
パクパク食べて
味のほうはともかくも栄養は摂取した。

それにしても客の9割近くはみなお父さん。
学生街なのに学生がおらん。
女性客の姿も見えん。
調理にいそしむ娘さんが
不釣合いに可愛いのが救い。

地上に出ると、カラリ雨も上がって、
まぶしいほどに太陽がいっぱい。
「さぁ、オフィスに戻って原稿書くぞぉ!」
と書き上げたのがコレ。
今後ともヨロシク願います。

と、こんな感じで
第一歩を踏み出したのです。

2026年2月5日木曜日

第3987話 出雲そばと岡山にぎり

2泊3日の旅の最終日。
米子を発ったバスは出雲大社へ。
20年前に来たときは
みんなしてぶっとい注連縄に
賽銭を投げつけ、縄に刺されば
ご利益があると聞いたが
今は誰一人投げていなかった。

昼食は「観光センター いずも」。
云わずと知れた出雲そばである。
申し訳ないが出雲そばを
旨いと思ったことは一度もない。

若き日、ホテルで働いていた頃。
大パーティーには模擬店が並ぶ。
一番人気はにぎり鮨。
二番が天ぷらで出雲は毎度残る。
神田神保町に専門店もあったが
いつしか消えて中華に代わった。

中海(なかうみ)に浮かぶ、
大根島の由志園へ。
通年咲き誇る牡丹と
雲州人参(高麗人参)で名を成す。
ツアー一同、人参茶を振る舞われ、
人参の効能を聞かされた。

お次はデッカい鬼太郎像と
海産物が待つ境港へ。
水槽の活本ずわい蟹で
一番高いのは2万5千円也。

此処で遭遇したのがババア。
いえ、人間の婆さんではなく、
サカナのババアだ。
噂には聞いていたが
実物には初めてお目に掛かった。
奇想天外な容貌をしており、
タナカゲンゲあるいは
キツネダラの異名を持つ。

冷凍の切り身が売られており、
見初めたサカナは必ず買う J.C.、
嬉々として購入に及んだ。
ん? ジジイがババア買って
どうすんだ! ってか?
フン、ほっとけや!

2時間ほど走って岡山着。
旅の終わりの駅や空港へは常に
早め早め、今回も例外ではない。
1時間の余裕があった。

歓び勇んで切歯扼腕。
駅周辺の止まり木探しだ。
蛇の道は蛇、飲む店は呑兵衛。
「飛鳥」なる瀬戸内酒場に入店。

何となれば、店先の看板に
”岡山にぎり” を発見したからだ。
いずれも岡山名物、
ままかり・しゃこ・穴子が
2カンづつ計6カンで1500円。
絵にかいたような J.C.好みに
迷うことなく中瓶と一緒に通す。

そう云や、昨夜も米子で
3種6カン食べたっけ・・・。
中国地方でも歴史は繰り返す。
ところが好事魔多しの諺通り、
揃ってイマイチと来たもんだ。

それでも阿呆巻、もとい、
恵方巻なんぞよりは
ナンボかマシだろう。
生涯一度も食ってないけどネ。

しかし、岡山で飲めたことは
僥倖と云わねばなりません。

「観光センター いずも」
 島根県出雲市大社町杵築東273
 0853-53-3030

「飛鳥」
 岡山県岡山市北区駅元町3-10
 0862-52-4151

2026年2月4日水曜日

第3986話 鯖しゃぶで飲む あんみつ姫

松江城の周りを散策して
バスに乗り込んだ。
今夜の宿泊は米子、鳥取県に戻る。
途中、足立美術館に立ち寄った。
此処は美術品より日本庭園で有名。
雪景色の鳥取砂丘とは対照的に
白と緑の織り成す景色は
目を和ませてくれた。

米子駅前のホテルに投宿後、
すぐさま街に飛び出す。
駅前通りの「ゆらく」へ。
目当ては米子名物・鯖しゃぶだ。

NYリユニオンのメンバーで
米子市出身のフタちゃんに
強く推奨されたのが鯖しゃぶ。
米子市淀江産の銀のさばは
陸上養殖で天然より美味という。

鯖しゃぶの前ににぎり鮨をー。
山陰特産の猛者(もさ)海老。
本まぐろの幼魚・よこわ。
馬頭鯛というのは的鯛のこと。
3種を2カンづつ通した。
いずれも美味しくビールが進む。

鯖しゃぶの用意が調った。
薄造りは17切れあった。
鍋には大量の玉ねぎが浮き沈み。
まずはそのまま刺身で7切れ。
しゃぶは箸先で軽く泳がす。
下関のふくに勝るとも劣らない。

くだんのフタちゃんに
勧められたものがもう一つ。
いなたひめ強力(ごうりき)なる、
純米吟醸酒だ。

稲田本店は米子で1673年創業。
山口県・岩国市の銘酒、
獺祭をツンとすました、
かぐや姫と見立てれば、
稲田姫はおちゃめな味わいが
ありもしてさしずめ、
あんみつ姫といったところかー。
美味い酒である。

銀鯖しゃぶもいなたひめも
佳いものすすめてくれて
フタちゃん、あんがと!

「ゆらく」のマネージャーに
米子の歓楽街を訊ねたら
角盤町周辺との応答。
駅から遠く、15分以上歩いた。

ふ~む、米子の街は
県庁所在地の鳥取より
迫力があって盛り場にも
パワーが噴出している。

スナックを求め、ぶ~らぶら。
品定めは十軒近くに及んだ。
J.C.が長年培ってきた嗅覚は
自分で云うのもなんだが鋭い。

「さんらいず」のドアを引く。
先客はゼロでマニラ出身のママ。
鳥取県はフィリピーナが多い。
客が来ないのをいいことに
デュエットを含め、
二人で十数曲づつ歌った。

滞空は3時間にも及び、
飲んだのはドライ小瓶5本。
クルマを呼んで貰い、
ハグして See You Again !
夜の米子は女子(おなご)まで
なかなかにイケておりました。

「美酒佳肴 ゆらく」
 鳥取県米子市明治町227
 0859-21-2606

2026年2月3日火曜日

第3985話 香住のカニより 松江のカツ

翌朝はホテルを早く出発し、
白壁土蔵の町・倉吉へ。
町の英雄は元横綱・琴桜で
銅像や記念館まである。

売り出し中の伯乃富士も
当地の出身だが若いくせに
立会時の礼儀作法が
なっちゃないから
負ければうれしい。

降り積もった雪のため、
歩行は難渋を極めた。
サクッとめぐったらガス注入。
旅先では昼前から飲むのが常だ。

1軒の古い造り酒屋を発見。
ドライのレギュラー缶を購入。
冷えがちと甘いため、
道端の白雪に埋め、冷え冷えに。

ふと思い、プラコップに
雪を一握り投じてビールを注ぐ。
雪割り桜ならぬ、雪割り麦酒は
なかなかにオツなもので
もう1缶買いに戻ったほど。

次の行く先は島根県・松江。
自由昼食を含めて
与えられたのは丸2時間。
下調べの末に狙いを定めた、
「西洋軒」へまっしぐら。
昭和7年創業、洋食の老舗だ。

2名以上は2階テーブル、
単身客は1階カウンターに
案内される。
カウンターのほぼ真ん中に
陣を取り、ドライ中瓶を所望。

エビフライ・カニクリコロ・
ハンバーグ・タンシチュー・
オムライスが主な品揃えだが
松江名物にして一番人気の
カツライス(1100円)を発注。

おざなりではないしっかりとした、
サラダを食べるうち主役が調った。
タップリのライスの上に横たわる、
ロースカツにはこれもタップリの
デミグラスが掛かっている。

うん、いいネ、いいですネ。
とんかつソースとは
ひと味異なる濃厚な旨みが
ライスにピタリと寄り添う。
さすがのご当地名物に満足。
香住のカニでなく松江のカツに
軍配が挙がるのも致し方なし。

店は京橋川沿いに佇んでいる。
川面にキンクロハジロのつがい。
何度も水中に
潜り込んでは浮き上がる。
不忍池ではお馴染みのキンクロが
カワウみたいに潜る姿を
初めて見たけど、可愛いものです。

「西洋軒」
 島根県松江市片原町111
 0852-22-3434

2026年2月2日月曜日

第3984話 雪に埋もれた鳥取砂丘

今話も股旅、もとい、また旅です。
此度は山陰を訪れた。
のぞみは8時東京発。
雪のため20分ほど遅れたが
3時間少々で岡山着。

そこからバスでまっしぐら。
鳥取砂丘は雪に埋もれて
真っ白の銀世界だった。
ものは言い様でTD曰く、
「雪の砂丘はレアです。
 貴重な体験ができました」
(フン、アンタが歩きなさい)

おりしも霰(あられ)の襲来。
頬をたたいて痛いのなんのっ。
サイズが小さいから
雹(ひょう)ではなく霰だ。

写真撮影用のラクダも
小屋に引きこもってお休み。
ボ~ッとしてたら
「月の沙漠」のメロディーが
聞こえてきた。

♪ 雪の沙漠を はるばると
  旅のオヤジが 雪ました ♪

17時スタートと早めの夕食は
砂丘の真ん前の「砂丘会館」。
主役はタグ付きの紅ずわい蟹で
兵庫県・香住の産である。

ハサミを入れてシャブりつく。
そこそこ旨いが、ちと水っぽい。
蟹は茹でたらダメなんだ。
旨みが湯に流れ出すからネ。

蒸すのが一番だけど客の数が
増えたらインポッシブル。
一般家庭で生が手に入ったら
茹でずに蒸すことを
強くおすすめしたい。

蟹以外の食事内容は刺身が
猛者海老・かんぱち・サーモン・
スルメイカ・うに・いくら。
あとは鳥取牛すき焼き、
甘海老&白菜鍋、蟹ちらし。

中瓶を2本飲んだが
足りるはずもなく、
ホテルに投宿後はすぐ夜の街へ。
雪のせいで歩きにくい中、
たどり着いたのは
「マコの店」なるスナックだ。

ママも補佐役もフィリピーナで
ともにルソン島北部の街、
バギオ近くの出身だという。
J.C.は34年前にバギオを訪れた。

そんな話から盛り上がり、
3人してずいぶん歌った。
銘柄の知れないハイボールを
5杯も飲んじまいやした。

「砂丘会館」
 鳥取県鳥取市福部町湯山2164
 0857-22-6835