2020年10月23日金曜日

第2509話 歩いて歩いて 世田谷区 (その1)

ウルトラマン商店街の洋食屋でハズしたあと、

1時間余り界隈をほっつき歩いて町を出た。

この日は長距離散歩を敢行するつもり。

小田急線沿いに東へ向かう。

 

隣りの千歳船橋を目指して城山通りを往った。

歩き初めて10分ほど、

遭遇したバス・ストップでアイ・ストップ。

停留所名が笠森稲荷前。

どうして笠森稲荷がこんなところに―。

そのことであった。

 

大阪・高槻市に創建されたこの稲荷神社は

東京・谷中の天王寺境内に勧請され、

江戸中期、明和年間には門前の水茶屋「鍵屋」の看板娘、

お仙が評判となり、人気を博して大いににぎわった。

 

それがなぜ遠く離れた世田谷・砧の地に?

調べてみても経緯は判明せず。

ネットの写真では廃れ果てたという感じだったが―。

 

千歳船橋は平成の終りの春以来。

大型10連休の2日目に「旬菜 すがや」で飲んだ。

ちょいと心配で訪ねてみたら営業を続けていて一安心。

 

道筋をそのまま直進してT字路にぶつかり、

通りの名前を記す標識を見てビックリ。

何と森繁通りだとサ。

森繁と聞いたら希代の名優、森繁久弥意外に思いつかない。

 

こちらは調べたらすぐ判った。

かつて通り沿いに名優が棲んでおり、

いつしか地域の住民が呼び始めた俗称が

区も認める正式名称になった由。

 

経堂にやって来た。

此処には「はるばる亭」がある。

カウンター数席だけの小体なラーメン店だが

昼から酒を飲ませてくれる。

したがって呑ん兵衛が2~3人も集まると、

回転率が極端に落ちてしまい、

ラーメンだけの客は相当待つ破目に陥る。

 

チャーシューかシナチクでビールをと思い、

十数年ぶりの再訪。

すると、店先に貼り紙1枚。

 

紅葉の季節となりました

旅に行ってきます

  =店主=

 

ハハハ、一風変わった人だったけど

まるでフーテンの寅さんみたいだネ。

 

 =つづく=