東京メトロを千代田線・丸ノ内線・副都心線と
乗り継いでやって来た小竹向原。
のみともが棲む町につき、
何度か赴いているが酒盃を傾けるのはいつも駅北側。
小茂根や向原など板橋区だ。
このたび初めて南側の練馬区・小竹町を歩いた。
店らしい店というものがまったくない。
緑あふれる閑静な住宅街といったたたずまい。
酒飲みには場違いなエリアながら狙いを定めてあった。
「まちのパーラー」は町の人気店。
自家焼きのパンを用いた軽食、いや、重食とて可能な店だ。
半地下の店内は近所のママともと思しき女性客ばかり。
5人体制のスタッフもみな女性。
此処は女湯かい? 粗相のないように一応前を隠しておこう。
ただの1席しかないカウンターに促された。
おびただしい種類のパンに加えてキッシュが数種。
ローストポーク、ペコリーノ&トマトのサンドイッチ。
そして10時以降に注文可能なランチセット(1470円)が
トリッパとサルシッチャの二通り。
ほとんど迷わず、トリッパのトマト煮込みを選択した。
飲みものは柄にもなくカプチーノを食後に―。
トリッパは牛の第二胃のこと。
言わば、イタリア風もつ煮込みだが
これはもつ煮ではなく、モッツーニと呼ぶが正しい。
ホントかね?
サラダ(グリーンカール&水菜)とパンがサーヴされる。
出来合いではない、自家製のドレッシングに好感。
パンはフォカッチャ、チーズ・ルスティック、
フルッタ(レーズン&ピスタチオ)の3種が2切れづつ。
いやはや、こんなに食えないや。
有料のバター(66円)を所望すると、
これが評判高きカルピスバター、すっかりうれしくなる。
壁に立てかけられたワイン・ボードに
珍しいチェコのワインを見つける。
白がソーヴィニョン・ブラン&リースリング、
赤はピノ・ノワールでともに1グラス935円。
ネスタレックなる造り手は聞いたこともないが
ものは試しと赤をお願いしてみた。
プラハを訪れたときはビールばかりあおっていて
ワインを飲んだことはない。
いや、チェコでワインなんぞ見かけなかったヨ。
さて、どんなものですかな?
う~ん、ピノ特有のかぐわしさにもの足りなさが残る。
トマト煮込みはトリッパとにんじんがたっぷり。
ファジョリーニ(白いんげん豆)も散見され、
実によく仕上がっている。
イタリアンパセリかオレガノでも散らせば完璧で
リストランテ顔負けの出来映えだ。
残ったパンを包もうとするスタッフの好意を
丁重に辞退して歩く小竹の町。
このあとの行く先は決めていない。
とりあえず、同じ練馬区・江古田駅方面へと
ぶらぶら歩く梅雨の晴れ間の午後でした。
「まちのパーラー」
東京都練馬区小竹町2-40-4
03-6312-1333