2021年7月27日火曜日

第2706話 リトル・バンコク 錦糸町

朝の紅茶を飲みながら

昼めしはカレーにしようと決めていた。

カレー、カレーと申しやしてもいささか広うござんす。

はて、何処のカレーにしようかな?

そうだ、タイのグリーンカレーにしよう。

 

メトロ半蔵門線を錦糸町で降りた。

此処はリトル・バンコクである。

20年余り前、ニューヨークから帰国直後の短い期間、

この街で居そうろうをしていた。

 

マンションは錦糸堀公園に面しており、

週末の夜ともなるとタイの若い女性たちが

公園に集まって来てペチャクチャ、ペチャクチャ。

にっぽんの長屋のおっかさんよろしく、

井戸端会議をおっぱじめるのだった。

若い女性のタイ語はかん高くてよく響く。

7階まで聞こえて来るんだから、いや、マイッたネ。

 

タイ料理店はその名も「タイランド」。

10年ほど前、近くのトリフォニーホールで

コンサートがはねたあと、大勢で押しかけた記憶がある。

北口に出て店へ向かう道すがら

タイ古式のマッサージパーラーが何軒か―。

こんなに乱立してよく共倒れにならないものだ。

 

入口そばの二人掛けに通された。

グリーンカレーのセットをお願いし、

ダメ元でビールのおうかがいを立てるも

オニイさんに首を振られた。

ランチはほかにガパオライス、パッタイ(タイ風焼きそば)、

トムヤムラーメンといったラインナップ。

 

カレーには、鶏もも肉、ナス、タケノコ、

緑&赤ピーマンが投入され、けっこうなボリューム。

バジルに似たハーブはコブミカンの葉っぱだろう。

ライスも多めでジャポニカ米ながら

タイ風にサラッと炊き上げてあった。

 

キャベツ主体のサラダは

ドレッシングのナンプラーがキツく、

東南アジアの魚醤を得意としないJ.C.は持て余す。

日本のしょっつる、いしりはOKなんだけどなァ。

 

デザートはかぼちゃ入りタピオカミルク。

ドリンクはタイ紅茶のアイスを択んだ。

これはバニラ系の香料入り。

すべては食べ切れず、少々残してのお代は950円也。

 

さて、これから緊事宣下でも飲める店を探さねば―。

南口の「B」が門戸を開いているのは知っていたが

あまり“飲指”が動かない。

やはりあの街をめざすしか、策はないものと思われた。

 

「タイランド」

 東京都墨田区錦糸3-12-10

 03-3626-3885