友あり、遠方より来たる。
福岡県・K市から新幹線に乗って―。
3年ぶりの上京に、何を食べたいか訊ねると
一も二もなく、うなぎと来たもんだ。
あゝ、いいヨ、任せなさい、ってなもんや三度笠。
チェーン店の「宇奈とと」というワケにはいかず、
ましてや牛丼屋のWうなぎともいくまい。
最近、頑張ることの多いJ.C.、この日も頑張った。
胃ブクロではなく、フトコロに頑張らせた。
待合せたのは築地本願寺前。
定刻に落合い、向かったのは
創業明治26年「つきじ宮川本廛」だ。
これで文句を言われたひにゃ、
あとはもう、ハブかマムシでも食わせるほかはない。
いや、ヤッコさん、歓びやしたネ。
満面の笑みがそれを物語っていた。
予約もせずに到着すると、待ち客2組4名。
日曜日の13時過ぎでこうだから
人気の老舗は「コロ助なんか、関係ねェ!」ってことサ。
待ってる間に注文を取られる。
うな丼・うな重を択べる、
イ・ロ・ハ・ニがあって価格帯は3630~4950円。
ただし、最安のイは売切れ。
というより単価が上がらないのでハナから出す気がないネ。
うなぎのランク付けは一様に質より量だから
年配者や女性にはキツいんじゃないかな。
このあたり歴史を誇る名店らしからぬ、あざとさを感じる。
よってロ(4070円)のうな丼と肝吸い(440円)を二つづつ。
お新香(770円)を一つお願いした。
たっぷり30分待ってようやく着席。
ドライの中瓶を注ぎ合ってグラスをカチン。
それにしてもテーブルのど真ん中で二人を隔てる、
アクリル板がうっとうしいのなんのっ!
ビールのアテのお新香が運ばれた。
他店では上新香と呼ばれるけれど
(上)を省くところが粋といえば粋だ。
ここで再びただし、内容に感心しなかった。
かぶ・きゅうり・にんじんの糠漬に
出来合いのなす塩漬・甘らっきょう・奈良漬。
殊に出来合い品の質がよくない。
以前はこんなじゃなかったハズだが・・・。
顔を見合わせて首をひねり、
お運びさんにビールの追加をお願いした。
=つづく=