2021年7月15日木曜日

第2698話 ラーメンの泉 ここにあり

銀座の夜に身をまかせたせいで二日酔い気味。

シャワーを浴びての第一感は、ラーメン食いてェ。

この日は理髪日。

不動前に近いラーメン店を思い浮かべる。

 

おっとぉ、ありました、ありました。

「祐天寺 来々軒」がありました。

日本で最初の支那そば屋は浅草六区にあった「来々軒」。

閉業して久しいが20年近く前に訪れた。

 

そこで修業を積んだ料理人(一説には料理長)が

昭和8年に暖簾分けで開いたのがここだ。

支那そば→中華そば→ラーメン

と、呼び名は変遷しつつも、源泉はここにある。

 

メトロ日比谷線の終点、中目黒からひと駅歩いた。

祐天寺はかつてGFの棲んだ町だからなじみがある。

彼女の引っ越し先が不動前で

何か因縁を感じる本日のスケジュールなり。

 

昭和のデパートのお好み食堂を

二回りほど縮めたような店内。

客入りは6~7割といったところだ。

 

二日酔いには何たって向かい酒ならぬ、向かい麦酒。

好みの中瓶を所望した。

注文はもちろんラーメンだが菜單には老麺の表記。

日本最古のラーメンはまさしく日本最長老。

ふさわしい文字を当てたものよのぉ。

 

白コショウと一緒に運ばれた老麺はシンプルなたたずまい。

1枚だけのチャーシューは肩ロース。

やや厚めに切られ、赤い縁取りがあった。

ほかにはたっぷりのシナチクときざみねぎだ。

 

細打ちのストレート麺は

舌ざわり、噛み心地、ノド越し、すべて良し。

鶏出汁主体のスープは魚介をまったく使用していない。

しまいにゃ食卓の作法よろしきJ.C.

どんぶりを抱えて飲み干す始末。

飲み過ぎた翌日は汁物が欲しくなる。

そこを差し引いてもシアワセいっぱいの1杯であった。

 

祐天寺の塀際をすり抜けて目黒不動を目指す。

名刹から名刹に移動を試みている。

懐かしい油面地蔵通りに差し掛かった。

 

かつてたびたびこの商店街に出没した理由はただ一つ。

日本そばの「巴仙(ともせん)」である。

この名店も廃業して久しいが袖看板がそのまま残っていた。

まだ営業を続けている店舗が「本日休業」ってな店先。

人気はないものの、整理整頓が行き届いていた。

 

目黒通りを大鳥神社に向かい、

手前にある奇妙なミュージアム、

寄生虫館の角で右折し、目黒不動に到達しました。

 

「祐天寺 来々軒」

 東京都目黒区祐天寺2-3-13

 03-3713-8811