お不動さまの参道を逆に抜け出て
美容室の隣りのスーパーでロング缶を調達し、
飲みながらハサミに頭をまかせた。
いつも通りに理髪は45分で終了。
まだ16時前だが19時にはリカーストップとなる。
早めに仕掛けなくちゃと五反田へ向かった。
駅界隈を物色するもなかなか当たらない。
線路の西側、目黒川のほとりに建つビルの2階に
バカデカい看板を掲げる酒場あり。
目立つから存在を認知はしていても未踏だった。
品書きをチェックすると
ドライのエクストラコールドがあるじゃないか―。
よお~し、決めた、階段をトントントン。
リカーOK最終日の前々日、浅い時間で店内はガラガラ。
人の好さそうなオバちゃんに意中のコールドを通したら
今日はないんですと申し訳なさそう。
そりゃそうだネ、樽に余らせたらその後の処理に困る。
普段通りにドライの中ジョッキをグビ~ッ!
よく冷えていてノドが快感にふるえている。
「美味しいでしょう、毎日ていねいに洗浄してますから」
「ホントだネ、ところでいっぱいに注がなくていいから
泡少なめでお願いできるかな?」
「ハイ、いいですヨ」
「こんな感じでよろしいですか?」
2杯目の泡の深さはたった2ミリ、もう完璧でうれしくて
オバちゃんをハグしちゃいたいくらいだ。
口の中をクリーミーな泡が満たすと味わいは格段に落ちる。
J.C.は校内暴力及び、口内発泡に絶対反対する。
「美味いねェ、タモリがTVで美味いねェってやってるけど
アレとは比べものになんないねェ」
「ホホホ、でもあの人、飲めないんですよネ」
「エッ、そうなの?」
何だよぉ、タモリは視聴者をあざむいてたのかよぉ。
これから色メガネで見てやろう。
突き出しはひじき、マミツはとん平焼きを通す。
6切れにカットされたとん平がいいデキだ。
添えられたゆでもやしはあまりうれしくないが
食べてるうちに無いより在ったほうがよくなった。
居そうろうが3杯目の茶碗をおそるおそる出すごとく、
3杯目の中ジョッキをお願いしてみたら
オバちゃんニッコリ微笑み、再び泡2ミリを運んでくれた。
しかもサービスの枝豆をたずさえて―。
いたれりつくせりとはまさにこのこと。
五反田に来たら必訪の「酒蔵
ごたん田」と相成った。
イエス、アイ・シャル・リターン!
「酒蔵
ごたん田」
東京都品川区西五反田1-4-2
03-3490-9233