2021年8月10日火曜日

第2716話 根津から谷中に来た酢豚

よみせ通りの東側にして谷中銀座の北側に

小道が縦横に入り組んだ住宅街がある。

住民の方に失礼ながらゴチャゴチャした一画は

ストレンジャーにとって歩きにくく迷いやすい。

 

たまたま足を踏み入れた際、

遭遇したのが中国料理店「華(はな)」。

あれ、この店は以前、

根津の交差点にあったんじゃないかな?

ありそうでなさそうな店名だから間違いあるまい。

 

後日、訪ねた。

カウンターはたった3席。

奥に別室か2階があるようだが

中へ進まないと、その様子は判らない。

 

カウンターに促され、メニューを吟味。

ランチセットが3種あり、

自慢酢豚、青椒肉糸、海老チリ。

これが昼の主力とみられる。

 

炒飯は焼き豚と海老の2種。

会飯(ホイハン)も五目中華丼と天津飯の2種。

麺類は五目、海老、担々、酸辛、高菜などが並ぶ。

週替わり麺は五目炒麺だった。

季節柄、冷やし中華があってこれも

五目(クラゲ入り)と棒々鶏の2種揃う。

 

なぜか酢豚だけに“自慢”の二文字が光っている。

よほどの自信作とみた。

確か、根津時代に食べた記憶があるが

味までは覚えちゃいない。

 

その“自慢”を通しながら

ダメ元でビールの伺いをたてるとやはり、

「すみません、今は―。

ノンアルコールありますが・・・」

ここは辞退の一手です。

 

配膳されたトレイは主菜のほかに

小さな中華風冷奴、ザーサイ、鳥団子&大根入りスープ。

お替わり自由でありそうなごはん。

 

酢豚は片栗粉のとろみが強く独特の甘みがあった。

使用される野菜類は、玉ねぎ、にんじん、

きゅうり、竹の子、そして珍しくもさつま芋。

なかなか美味しくできていた。

 

食後、お店の方々と談笑。

家賃が高い根津を4年前に閉め、

ブランクを経たあと再開して2年半になる由。

2年半ねェ、ちっとも気づかなかったヨ。

 

バイトの女性は代わったがオーナー夫妻はそのまんま。

根津から谷中に来た酢豚といっても

酢豚に足が生えて来たわけではなく、

酢豚を作る夫婦がやって来たのでした。

近隣の住人としてウェルカムであります。

 

「中国料理 華」

 東京都台東区谷中3-17-11

 03-3823-0692