前日から築地本願寺そばの中華と決めていた。
明暦の大火で焼失した本願寺は元あった場所、
日本橋横山町での再建かなわず、
幕府から江戸湾海上が与えられた。
海の上に寺を建てろ!
乱暴な話だが佃島島民中心の埋め立て工事により、
築き上げられた土地に復興した。
地名・築地の由来である。
「中華
ふぢの」は初訪問。
以前、築地場内(現在は豊洲市場へ移転)に同名店があり、
そちらは何度か利用した。
通常“ふじの”と綴るべきところ、
“ふぢの”の表記はきわめて珍しい。
何らかの関係があるに決まっている。
メトロに揺られながら思い浮かべていたのは
五目焼きそばor冷やし中華の二択。
到着時はあまりの暑さに冷やし一択となっていた。
細打ちちぢれ麺が加水多めのシコシコ。
ヒタヒタのつゆは昔恋しいケレンなき味。
具材が焼き豚・錦糸玉子・きゅうりと
おなじみの御三家に紅しょうが少々。
昭和そのまんまの冷やし中華であった。
入れ替わり立ち代わり現れるリーマン&OLには
チャーハンが一番人気の様子。
若い娘たちも麺類&半チャーハンと食欲旺盛だ。
近所のオジさんが独りで入店して来て
半ラーメン&半チャーハンを通した。
ありそうでなかなかないコンビネーションを
涼しくなったら試しに来よう。
会計時、女将サンに旧築地店との関連を訊ねると
あちらは女将サンの母君の実家だったが
今は何の縁戚関係もないとのこと。
往時、場内の中華といえば、
「ふぢの」と「やじ満」が二枚看板だったなァ。
昭和そのまんま冷やしに満足して
オモテに出ると折からのにわか雨。
新大橋通りを走るクルマがしぶきを上げている。
太陽が出てるのにこの雨足はいったい何なんだ。
目の前のメトロ入口に逃げ込もうとも思ったが
店先にたたずむこと5分で雨は止んだ。
これならだいじょうぶだろう。
地下に潜るのをやめて散歩を決断。
勝鬨(かちどき)橋に向けて歩を進めました。
「中華 ふぢの」
東京都中央区築地3-3-9
03-3541-6989