2025年4月2日水曜日

第3766話 桜づたいに 歩き続けて (その2)

練馬区・桜台は思い出の町ながら
滅多に来る場所ではない。
そば屋のあとは氷川台に向かい、
石神井川沿いの桜を楽しむ腹積もり。

にしん棒煮の身欠きにしんは
脂が少ない上物、いわゆる上干。
三枚おろしの片身がそのまま出て来た。
清酒に切り替えようとも思ったが
こらえてもりそばを半量でお願い。
胃袋のキャパを残しておきたい。

そばがせいろからはみ出したりして
見た目には感心しないものの、
歯応えよろしく悪くはなかった。
そば湯を省いての会計は1670円。

北口商店街はクルマの通行量が多い。
歩いていてちっとも楽しくない、
とにかく氷川台に到着。
駅前を石神井川が流れている。
川べりの美しい桜並木を散策した。

北東に進路を取り、城北公園通りを往く。
城北中央公園の桜も満開で
花見客が木々の下でくつろいでいる。
大人たちの宴会というより、
子ども連れのピクニックてな感じだ。

懐かしいのは川越街道の五本けやき。
中学の遠足の帰りにバスが此処を通ると
うん、もうすぐ学校に着くな、
そう、思ったものだ。

街道を渡って東武東上線・上板橋駅。
ロータリーに王子行きバスが停まっている。
歩き疲れもあって乗り込んだ。
いつもの調子で乗ってから考える。

終点まで行ってもいいが・・・
待て、待て、
板橋本町で降り、旧中山道を南へ歩く。
ほどなくこれまた石神井川に架かる板橋。
上流・下流の両サイドに桜並木が見事だ。

板橋を渡って縁切榎「長寿庵」。
師走の初訪以来、何度もおジャマしている。
この時期は変わりそばの桜切りが主役。
ただ今、休憩中で扉に貼り紙。
”夜の営業は16時を予定しています”
スマホを見たら時刻は15時45分。
こういうことを想定して
昼のもりそばを半量にしておいたのだ。

仲宿をぶらぶらして時間を費やし戻る。
あれえ! 扉は閉じたまんまだヨ。
もう16時20分だぜ。
あらためて貼り紙を熟視。
”夜の営業はPM6時を予定しています”

あちゃ~! やっちまっただヨ。
夢破れて山河あり、障子破れてサンがあり。
傷心を抱えた短気なオッサンは熱くなり、
都営三田線に乗ってしまったのでした。

「松月庵」
 東京都練馬区桜台4-11-14
 03-3994-2552