板橋本町の「長寿庵」。
今が季節の桜切りを思い切れない。
2日後に舞い戻った。
千石から乗った都営三田線に
揺られていると往年の名歌手、
菅原都々子が歌い出した。
特徴のあるソプラノだ。
♪ 思い切れない 未練のテープ
切れてせつない 女の恋ごころ
汽笛ひと声 汽笛ひと声
涙の波止場に
わたし一人を 捨ててゆく
連絡船よ ♪
(作詞:大高ひさを)
「連絡船の唄」は昭和26年のリリース。
この名曲は後年、都はるみの大ヒット曲、
「涙の連絡船」に多大な影響を与えている。
それはそれとして「長寿庵」。
ビールはラガーとプレモルしかなく、
以前よりなんぼか飲みやすくなった、
ラガーの大瓶を所望した。
桜切りの完売を心配して
お運びのオネバさんに
「あとで桜切りなんだけど、
今のうちに頼んどいたほうがいいかな?」
「オホホ、だいじょうぶですヨ、
いっぱい打ってありますから・・・」
「じゃ、あとで声掛けするネ」
つまみは焼き油揚げ。
これは単なる素揚げではなく、
きつねそば用に一度甘く煮たものを
あぶり直してある。
そこに刻み海苔&刻みねぎ、
貝割れ大根と繊切り大葉がタップリ。
他店にはない一品で
麦酒にも清酒にもピッタリ。
自家製マヨが好いシゴトをしている。
清酒に切り替えた。
ピンク色が美しい尾瀬の雪どけを
お願いしたら品切れ。
桜の季節にバッチリなのに残念。
それではと山形正宗を頼んでみたら
こっちも品切れと来たもんだ。
どうなってんだい? この店は!
温厚な性格の J.C.がキレかかった。
許す、赦す、J.C.はユルす。
気を取り直してこれまた季節に寄り添う、
かたの桜というヤツをー。
霞の香 純米吟醸を謳い、
搾ったまま何も加えずに瓶詰めした、
フレッシュな限定酒です! とあった。
霞に香りなんてあったっけ?
よくよく見れば、大阪府の産だとサ。
大阪の酒は飲んだ記憶がまずない。
まっ、いいか、いってみよう。
=つづく=