2025年4月1日火曜日

第3765話 桜づたいに 歩き続けて (その1)

不忍池のほとりの桜がほぼ満開。
渡り鳥のキンクロハジロも
まだ何羽か残っており、
池畔をめぐっていて楽しくなる。

そうだ! 桜を愛でるために
何処か遠くへ出掛けよう。
J.C.が東京都内で最も愛するのは
港区内のとあるお寺。
けれどもこればかりは公表できない。

寺とは無縁の花見客が
大挙して押しかけたひにゃ、
お寺に迷惑がかかるからネ。

ほかに気に入りの場所を列挙すると、
神田川&石神井川沿い、
茗荷谷の播磨坂、隅田川下流の佃公園、
ぞんなところだ。

世に知られた上野のお山は凡庸だし、
浅草の隅田公園は砂ぼこりがヒドく、
美しい千鳥ヶ淵は人出がすさまじい。
目黒川沿いもイマイチ好みに合わない。

池袋から西武池袋線で4つ目、
その名も桜台にやって来た。
中学の同窓生で人生最初のGF、
K子が此処に棲んでいた。

彼女のアパートで
二人だけのささやかな宴を持ったのは
J.C.がシンガポールに赴任する、
その直前だったから1983年の初春。
あれから42年かァ、いや、懐かしい。

桜台北口商店街の「松月庵」へ。
桜花を愛でる前の桜台で
腹ごしらえという寸法だ。
商店街といってもこの通りは
メトロ有楽町線・氷川台へと続く、
幹線道路沿いで車の往来が激しい。

とにかく暖簾をくぐった。
椅子席と入れ込みの掘りごたつ式が
半数づつ共存している。
2人掛けの椅子席に落ち着く。

お運びのオバちゃんに
ビールの銘柄を訊ねると
大瓶がラガー、中瓶はドライ。
無条件で中瓶を所望する。

つまみの欄に、にしん棒煮があった。
京都の街並みを思い浮かべながら
発注に及んだ。

=つづく=