2025年4月10日木曜日

第3772話 本店の 心配りに 頭(ず)が下がる (その2)

荒川区・東尾久の「滝乃家本店」。
麺も少なめ、飯も少なめの配慮に
頭(ず)を下げながら
鴨とじ御膳(1750円)を通した。
週に一度はお世話になるそば屋でも
滅多にお願いしない一品である。

立派なお膳が配された。
みつばを浮かべた鴨肉の玉子とじに
もりそば、竹輪の煮もの、ごはん、
きゅうり浅漬け&たくあんである。

まずはノビないうちにそば。
冷めないうちに鴨とじ。
つまんだそばを熱いつゆにくぐらせた。
うむ、うむ、けっこうなお味ですな。

もりを片付けたあと。
残った鴨肉やら竹輪やらで白飯に挑む。
カレー南蛮に半ライスはよく見掛けるが
鴨南蛮に半ライスはあまり見掛けない。
鴨づゆに玉子が加わると一気に
飯の友となるんだネ。

食事がほぼ終わる頃、
やっぱり大瓶1本じゃ飲み足りないなァ。
胃袋は満足してるのに
肝臓が不満をもらしてる。

飲みものリストをパラパラしたら
春の限定酒が2種類あった。
福島の名倉山 春酒・純米原酒と
群馬の水芭蕉 春酒・純米吟醸生貯蔵酒。
どちらにしようかな?
ここで石井の好子オバさんが歌い出した。

♪   夏が来れば 思い出す
  はるかな尾瀬 とおい空
  霧のなかに うかびくる
  やさしい影 野の小路
  水芭蕉の花が 咲いてる
  夢見て咲いている 水のほとり
  しゃくなげ色に たそがれる
  はるかな尾瀬 遠い空  ♪
   (作詞・江間章子)

「夏の思い出」は1949年に
NHK「ラジオ歌謡」で放送され、
尾瀬人気の火付け役になったものの、
レコードには収録されず、
藤山一郎盤まで実に5年の歳月を
待つことになった。

ともかく水芭蕉は好かった。
最近の J.C.は酒場や居酒屋ではなく、
そば屋で美酒に逢っている。
敬愛する池波正太郎翁の来た道を
踏襲しているからこそだ。

食後のそばゼリーもそばの実が
カリカリと好いアクセント。
美味しくいただきました。

「滝乃家本店」
 東京都荒川区東尾久4-27-7
 03-3893-8801