2025年4月15日火曜日

第3775話 忍ぶ不忍 無縁坂

今日の朝めし前ならぬ、
昼めし前の散歩は不忍池のほとり。
朝食のサンドイッチ作成で
残ったパンの耳をぶら下げていった。

満開の桜に引き寄せられて
来たついでにボート遊びの人が多く、
乗り場の係員は大忙し。
チョイ悪オヤジはその間隙を突いた。

彼らが暇だとマイクで怒鳴られる。
「鳥や魚にエサをやらないで下さ~い!」
大衆の面前でアレをやられると
バツが悪いからネ。

一番人気ならぬ、
一番元気なのはユリカモメ。
ちぎったパン耳を放ってやると
ホヴァリング(停止飛行)が
得意な彼らは難なく空中キャッチ。
ハトやカラスにこんな芸当はムリだ。

ボート池をめぐって不忍通りを横断。
「東天紅」の脇を入ると
前方に無縁坂が見えてくる。
グレープのさだまさしが
歌い出すのも当然の成り行きである。

♪   母がまだ若い頃 
  僕の手をひいて
  この坂を登る度
  いつもため息をついた
  ため息つけばそれで済む
  後だけは見ちゃだめと
  笑ってた白い手は 
  とてもやわらかだった

  運がいいとか悪いとか
  人は時々口にするけど
  そうゆうことって
  確かにあると
  あなたをみててそう思う

  忍ぶ不忍(しのばず)無縁坂 
  かみしめる様な
  ささやかな 僕の母の人生 ♪

  (作詞:さだまさし)

歌詞にある "忍ぶ不忍" は
不忍池と不忍通りにかかっている。
歌詞にはないけれど
母親は世を忍ぶ日陰の身で
坂上には ”僕” の父親が
棲んでいたものと思われる。
読み過ぎかもしれないが・・・

坂を独り昇っていった。
誰ともすれ違わず、
あとからついて来る者もいない。
昔、無縁寺というお寺があって
名前の由来になったらしい。

坂の片側は旧岩崎邸庭園。
赤煉瓦の壁と石垣が坂上まで続き、
そのまま直進すると
右手に東大鉄門(てつもん)が現れる。
東大附属病院の正門が此処です。