今日の朝めし前ならぬ、
昼めし前の散歩は不忍池のほとり。
朝食のサンドイッチ作成で
残ったパンの耳をぶら下げていった。
満開の桜に引き寄せられて
来たついでにボート遊びの人が多く、
乗り場の係員は大忙し。
チョイ悪オヤジはその間隙を突いた。
彼らが暇だとマイクで怒鳴られる。
「鳥や魚にエサをやらないで下さ~い!」
大衆の面前でアレをやられると
バツが悪いからネ。
一番人気ならぬ、
一番元気なのはユリカモメ。
ちぎったパン耳を放ってやると
ホヴァリング(停止飛行)が
得意な彼らは難なく空中キャッチ。
ハトやカラスにこんな芸当はムリだ。
ボート池をめぐって不忍通りを横断。
「東天紅」の脇を入ると
前方に無縁坂が見えてくる。
グレープのさだまさしが
歌い出すのも当然の成り行きである。
♪ 母がまだ若い頃
僕の手をひいて
この坂を登る度
いつもため息をついた
ため息つけばそれで済む
後だけは見ちゃだめと
笑ってた白い手は
とてもやわらかだった
運がいいとか悪いとか
人は時々口にするけど
そうゆうことって
確かにあると
あなたをみててそう思う
忍ぶ不忍(しのばず)無縁坂
かみしめる様な
ささやかな 僕の母の人生 ♪
(作詞:さだまさし)
歌詞にある "忍ぶ不忍" は
不忍池と不忍通りにかかっている。
歌詞にはないけれど
母親は世を忍ぶ日陰の身で
坂上には ”僕” の父親が
棲んでいたものと思われる。
読み過ぎかもしれないが・・・
坂を独り昇っていった。
誰ともすれ違わず、
あとからついて来る者もいない。
昔、無縁寺というお寺があって
名前の由来になったらしい。
坂の片側は旧岩崎邸庭園。
赤煉瓦の壁と石垣が坂上まで続き、
そのまま直進すると
右手に東大鉄門(てつもん)が現れる。
東大附属病院の正門が此処です。