2025年4月11日金曜日

第3773話 ロマンポルノは半世紀ぶり

神保町シアターの原節子シリーズは
1本の急な上映変更に
嫌気がさしたわけでもないが
2本観ただけであとはパス。
何だか不本意な結果になった。

4月の新シリーズは
映画で紐解く
花街、色街、おんなの街
東京(江戸)の吉原だの、
大阪(浪花)の飛田だの、
赤線地帯オンパレードだ。

好きな方はうれしいだろうが
J.C.はあまり興味がない。
よって16本中、
観るのは2本の惨状と相成った。
シリーズ2連続2本の貧打ぶりだ。

初めの1本は日活ロマンポルノ、
「赤線玉の井 ぬけられます」(1974)。
監督・脚本は神代辰巳。
”じんだい” でも ”かみしろ” でもなく、
”くましろ” を名乗る御仁である。

ロマンポルノを観たのは過去に一度きり。
1975年、ロンドンから帰京してすぐ、
池袋東口の映画館で観た。
あれから50年、実に半世紀ぶりだ。

この道に長けた方には
タイトルの「ぬけられます」を
見ただけで私娼窟・玉の井だと知れる。
永井荷風作「綺譚」の舞台である。

立て看板の ”ぬけられます” は
玉の井のトレードマークながら
赤線廃止から数年後、
”環境を良くする町宣言” の看板に
すげかえられた。

ロマンポルノの常連女優が顔を揃えるなか、
ひときわ光るのは宮下順子。
宮下といえば、同じ ’75年に封切られた、
「実録・阿部定」が白眉。

実在の本人と似ているわけでもないのに
J.C.の頭の中で阿部定は
順子以外に考えられない。
「愛のコリーダ」の本番女優、
松田暎子すらしのぐ魅力に満ちている。

当作の上映は本日19:15が最終回です。