東高円寺の商店街、ニコニコロードを抜けて中野。
マルイの真裏に出て来た。
まだ早いため、近隣の飲み屋横丁、
レンガ坂はホンの数軒が開いているばかり。
JR中央線のガードをくぐり、南口から北口方面へ。
ブロードウェイまで続くアーケードは芋を洗うが如し。
人混みを避けて東側の飲み屋街に侵入した。
もっとも此処こそが本日の標的なんだがネ。
コロ助にやられて去年の春、
歴史に幕を降ろした中野のランドマーク的バー、
「ブリック」があのままのたたずまい。
今夜にでも営業できるんじゃないか―。
と思いきや、店先の花壇の草花は枯れ放題だ。
銀座・並木通りの「ブリック」は健在ながら
銀座店以上に独特の雰囲気をたたえた中野店は
使い勝手も居心地もよかった。
いずれにしろ、昼下がりの南阿佐ヶ谷で食べた、
ブリックは美味しかったが
夕まぐれの中野「ブリック」は命涸れ果てていた。
哀しむべし。
この界隈は似たような裏路地が幾重にも重なり、
おびただしい数の飲食店がひしめいている。
中野サンプラザ、中野ブロードウェイに対抗させて
JCは勝手に中野ミルフィーユと呼んでいるのだ。
時刻は16時を回ったところ。
夜の街全開とまではいかなくとも
ポツリポツリと店の灯りが点り始めた。
ミルフィーユを踏破しかかった。
16時ちょうどに暖簾の出た、焼きとん「かっぱ」にしようか―。
念のため、最深部のどんつきに足を踏み入れると、
妙に古びた看板にモダンなガラスのドアが
不思議にミスマッチしている店舗あり。
看板に大きく「北京」とあるから前身は中国料理店だ。
現在の店名は「PEP」、ワインバーの様相を呈している。
中腰になって立て看板のメニューをのぞき込むと、
気の利いたつまみ類が並んでいた。
しかもほとんどの料理にお一人用、お二人用の選択肢がある。
空腹でもない“小食者”には
願ってもないラッキーチャンスの到来だ。
ここでC-C-B(Coconut Boys)のドラムス、
笠浩二の裏声が耳朶に響き出したが
最近とみにおとなしくなった大阪の小姑を刺激して
寝てる子を起こすのははばかられる。
よって見送る。
とにかく「PEP」にキマリだネ。
=つづく=