2021年3月4日木曜日

第2603話 地中海の風に吹かれて (その1)

先月、トルコの白鳥と小父さんのおかげで

久方ぶりのトルコ料理に接して以来、

ときどきあちら方面の味が恋しくなる。

心の片隅で眠っていた赤ん坊を起こしちゃったみたい。

 

今回出向いたのは杉並区、メトロ丸の内線・南阿佐ヶ谷。

一昨年夏、JR阿佐ヶ谷駅から続くアーケード、

パールセンターの「らぁ麺 いしばし」で塩らぁ麺のあと、

パール街の奥のすずらん通りで見つけたのが

「地中海料理 Sœurs(スール)」だった。

 

普通のサイズを半分にカットした、

真四角のショップカードが店頭にあり、

珍しさに惹かれてポケットに1枚キープした。

それを思い出しての訪問である。

 

2月一番の寒さと予報された日。

コンパクトなメディターレニアン・ビストロは

コロ助による入店制限もあり、中はいっぱい。

テラスに2卓(二人掛け&四人掛け)あって

「そちらなら?」と女店主がつぶやく。

 

北風ピューピューの店外はごめんこうむりたいが

乗りかかった船だ、思い切って着座する。

彼女、すぐにガスストーブを運んで来てくれた。

 

4種あるランチメニューを紹介しよう。

A―ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)

B―チュニジアンブリック(揚げラヴィオロ)

C―ムサカ(ナスとミート&ベシャメルソースの重ね焼き)

D―エビ&レモンのクリームパスタ

 

Bと一緒にギリシャのビール、ミソスを通した。

オリンピック・ブリュワリーの手になる、

ヘレニック(古代ギリシャの)ラガーの原料は

麦芽・ホップ・麦芽糖・水。

好みのスッキリタイプでアルコール度数は5%。

 

ほどなく外国人カップルが現れてテラスの隣りへ。

イタリア語を話す二人の注文はともにミソス&Bセット。

したがって寒風下の三人は

みな同じものを飲み食いすることとなった。

 

それにしても時間がかかり過ぎるなァ。

注文から25分後、ようやく配膳された。

皿には主役のドデカいブリック(チュニジアの国民食)。

これには大きくカットされたレモンと

ハリッサ(チュニジアの唐辛子ペースト)が添えられ、

サイドにババガヌーシュ(焼きナスと胡麻のペースト)。

そして自家製パンのセットである。

 

思わずブリックのサイズに目を見張ったが

濁りのない、つぶらな両の眼(まなこ)は

オー・マイ・ガッ!

さらなる見開きを余儀なくされたのでした。

 

=つづく=