2024年11月8日金曜日

第3663話 乗り越しの おかげで昔を 思い出し (その1)

この日は上野アメ横に行く予定だった。
銀行に立ち寄る前に腹ごしらえ。
上野三大レトロ喫茶の1軒で
ナポリタンかハムサンドをつまみながら
ビールを飲む腹積もりである。

家のそばで上野松坂屋行きのバスを
待っていたら台東区のコミュニティバス、
めぐりんが先に来て
反射的に乗り込んじまった。

京成上野駅前で降りればそれでよい。
ところが車内で揺られながら
思いは散り散りに乱れる。
途中、池之端の行きつけ付近を通るため、
もつ煮込み&もりそばでもいいや。
と考えたりもしたが
いや、やはり初心を貫徹しよう。
思いとどまった。

上野広小路に差し掛かり、
そろそろ到着というときに
待てよ、上野なら都営バスでいいじゃない。
せっかく東武浅草駅行きに乗ったんだから
もっと先まで行ったろうやないかー。

浅草寺界隈はしょっちゅう徘徊してるから
ちょいと手前の松が谷あたりで
昼めしとまいろう。
「松月庵」の十割そばがいいな。

めぐりんは北上野と東上野を分断する、
かっぱ橋本通りをひたすら走ってゆく。
ところがボーッとしていて乗り越した。
こりゃチコちゃんに
お叱りを受けること必至である。

一つ先の西浅草三丁目で降りた。
目の前はどぜうの「飯田屋」だ。
昼間っから独りでどぜう鍋もなァ。
読者に「哀れなヤツよのぉ」なんて
どじょうならぬ、
どうじょうされるに決まってる。

稲荷町から移転して来た、
日本そば「おざわ」に行くと
シャッターが降りている。
ここで不図、ひらめいたのが
すぐそばの古いラーメン店だった。

読者の方々は浅草の「来集軒」を
ご存じでありましょうか?
かつては浅草随一の人気と実力を誇る、
ラーメン屋だったのです。

=つづく=