2018年9月25日火曜日

第1966話 焼きとん・貝刺し・とんかつの夜 (その2)

東中野の「もつ焼き 丸松」。
焼きとんは3本にとどめて
当店の人気メニューであるらしい、もつカレーを追加注文。
日本酒にカレーもないものだが、
大衆酒場ではミスマッチが思わぬ相性の妙を生み出す。

カレーは汁気に乏しいペースト状。
バゲット、いや、バタールかな? パンが2切れ付いてきた。
もつはシロが主体でファイバーの立った赤身肉も散見される。
味付けは市販のルウが全面に出て
何かもう一ひねり、スパイスのパンチがほしい。

会計は2千円と少々。
「秋元屋」同様に下町酒場の情緒はない。
それでもかなりの賑わいではあった。

次のターゲットは新宿区・中井の居酒屋「錦山」。
歩いて15分ほどの距離だが雨が降り出したので
都営地下鉄・大江戸線を利用する。
たった一駅だがネ。

中井の町も実に久方ぶり、やはり20年は経ったろうか。
妙正寺川のほとりに初めて訪れる「錦山」はあった。
川のほとりというロケーションは
独特の風情があって心にも小さなさざ波を立てる。

先客はカウンターにオバさんとオバアさんの二人連れ。
近所の常連だろう、親しげに店主と言葉を交わしている。
老夫婦の切盛りと聞いていたが代替わりしたようだ。
こちらは奥へ進んでカウンターの端に座った。
サッポロの中ジョッキを通すと、
妙な突き出しが同時に運ばれた。

一箸つけて缶詰のツナとキャベツの炒め煮びたしと判明。
カレー味で仕上げてあった。
ツナ缶はあまり好きではないがキャベツの甘さ、
カレー粉の風味が上手に作用してビールのつまみに悪くない。
もつカレーのあとでカレー炒め、
ハレでもないし、ケでもない、今日はカレーの日であろうか。

先ほどの「丸松」以上に念を入れて品書きを吟味する。
店のイチ推しは、お刺身ちょっと盛り(780円)。
本日の陣容は、まぐろ・かつお・かんぱち・たこ・海老・ねぎトロ。
もう9月なのに”はづきセット”(520円)があって
こちらは馬刺し・黒むつ・水なす。
さしみ三品(520円)は、まぐろ・かつお・たこ。
夏の天ぷら(480円)は、きす・かに・夏野菜。
初物さんま塩焼き(480円)に
マカロニポテトミックスさらだ(380円)なんてものも。

結局、注文したのは貝三昧(980円)なる一皿。
赤貝・つぶ貝・とり貝・姫さざえの盛合せとあった。

=つづく=

「もつ焼き 丸松」
 東京都中野区東中野1-56-4
 03-5338-4039