2021年4月7日水曜日

第2627話 都立01最後の日 (その3)

桜新町の「餃子荘 紅蜥蜴」にて

生ビールを飲みつつ餃子と春巻を待っている。

“餃子荘”を名乗るからには当店の名代は餃子。

900円均一の昼定食は、ニラレバ、回鍋肉、麻婆豆腐など。

焼・水を択べる餃子&半炒飯のセットも同値だ。

 

運ばれた3カンの焼餃子は小さめの春巻みたいな形状。

肉々しさが前面に出て好みのタイプではない。

一方の春巻は太くて長い葉巻みたいなカタチ。

こちらは蝦々しさが際立って好きだ。

 

オネバさんにラストオーダーを促され、中ジョッキのお替わり。

しばらくすると、背後から麺のすすり音が聞こえてきた。

後ろに客はいないはずだが、いつの間にか彼女が賄い中である。

食事の終了を待って言葉を交わす。

 

紅いトカゲは開業20年、スタッフは男性2人と彼女が日本人。

夜の接客係のみ、若い大陸女性の由。

子育てが済み、数年前からパートを始めたと言う。

言葉の端々に人柄の好さがにじみ出てくる。

昼の客は7割近くが担々麺を注文するとのこと。

生ビール2杯、焼餃子3個、春巻1本の会計は1940円也。

 

さて、町の散策である。

長距離は都立01に任せたが、そのぶん各町の探求を深めたい。

成城学園前、桜新町、都立大学、学芸大学を踏破する腹積もり。

玉川通りからサザエさん通りへ。

 

長谷川町子美術館は入口にオニイさんが

番兵のごとく立ちはだかっていた。

J.C.はハナから入館する気がないが

これでは訪れる客もためらうだろう。

 

代わりに裏手のサザエさん公園に立ち寄る。

草花が咲いているものの、敷地のほとんどは立ち入り禁止。

磯野家の人々の像を眺めて退出した。

 

1時間あまり歩き、再び都立01の乗客に―。

都内に名立たる狭隘(きょうあい)路線は

狭いだけでなく起伏にも富む。

深沢坂などかなり長くて急だし、

01が廃止になったあと、年配者の脚には酷だ。

 

都立大の町歩きを始める前に電話を1本。

晩酌は学芸大学の日本そば屋「やっ古」の予定で

その予約だが、あいにく本日は満席。

それでも学芸大で止まり木を探すつもりでいた。

 

1時間ほど都立大をブラブラし、学芸大に向かうも

たった一駅なのにちょいと厄介だ。

道の造りが歩行者を想定していないネ。

環七を超すために迂回を余儀なくされる。

幹線の目黒通りを真っ直ぐ行けばよかろうが

それでは面白くも何ともない。

 

そう言いながら目黒通りで環七を渡った。

すると、右手に何やら不気味な建物が現れた。

 

=づづく=

 

「餃子荘 紅蜥蜴」

 東京都世田谷区新町2-4-15

 03-3425-2233