2021年4月22日木曜日

第2638話 ザ・ママ・フロム・CB (その2)

江戸川区・一之江の夕べ、モレッティの小瓶に切り替えた。

相方にはキャンティを注いでやる。

「美味っしい~!」

「グルメ番組のリポーターみたいだな」

「あの人たちは何でも美味しいって言うけど

 ワタシは違うもん」

「ハイ、ハイ」

 

突き出しはパルミジャーノ・レッジャーノの削り落とし。

合わぬ道理がない。

アンティパストは2皿。

サーモントラウトのカルパッチョ、

北海道産ワカサギのカルピオーネ(南蛮漬け)が

前後してサーヴされ、どちらも水準に達していた。

 

「オステリア・キタッラ」は夫婦二人体制。

シェフはトスカーナで修業したとのこと。

J.C.もワインに移行する。

通常はここでプリモ・ピアットのパスタだが

あらかじめ炭水化物は

セコンドのあとにお願いする旨、伝えてある。

 

1皿目は、ひな鶏のディアボラ(悪魔風)。

名前の由来は丸ごと一羽の姿カタチが悪魔のようだという説。

ピリッと辛いところが悪魔の一突きみたいだという説。

J.C.は姿説をとりたいが

「サイゼリヤ」なんか、丸一羽使うわけじゃないしネ。

 

注文した半羽はこんがりと焼き上げられ、

ももを胸から素手でもぎとると肉汁があふれ出す。

米国産ゲームヘンは生後ひと月ほどの雛(ひな)鶏。

不味いわけがない。

付合わせは新じゃがのローストとベイビーリーフ。

 

トスカーナ風のパンとオリーヴオイルを所望。

バルサミコを落としたエクストラ・ヴァージンが運ばれた。

 

続いて本日の主役、フィレンツェ風仔牛のTボーンステーキ。

こちらはカナダ産で食べでがあり、

二人でシェアするにじゅうぶん。

惜しむらくはすでに穀物を飼料としたため、

肉が赤みを帯びている。

乳呑み仔牛を期待したが、もうちょい年かさの若牛だった。

 

締めは手打ちパスタのパッパルデッレ(リボン状パスタ)。

白ワインで煮込んだ子うさぎのラグーである。

ここまで来ると、二人ともいっぱい、イッパイ。

最後の一口、二口を前にフォークがパッタリ止まる。

 

エニウェイ、3種の肉を満喫した。

若牛の背中に子うさぎ乗せて、子うさぎの背中にひな鶏乗せりゃ、

これはもう、ちょいとした「ブレーメンの音楽隊」だネ。

 

ドルチェとカッフェはスルーして振り出しに戻り、

ハートランドの生で締めると、早くも閉店時間だ。

年内の再会を約し、

千葉へ帰る相方をプラットフォームで見送った。

 

「オステリア・キタッラ」

 東京都江戸川区一之江7-30-6

 03-5879-9912