2021年4月19日月曜日

第2635話 10日で3度の学芸大

渋谷駅から電車に乗って学芸大学へ向かった。

10日のあいだに3度目の学大である。

「次は池尻大橋に停車します」

ん? 何だ、なんだ!

東横線に乗ったつもりが田園都市線じゃないか―。

 

このときJ.C.、いささかも慌てず。

二子玉川で大井町線、自由が丘で東横線、

乗り換えれば、それで済むことだ。

さいわい、すべて東急電鉄だしネ。

 

しっかしこのところ、乗り越しや誤乗が目立つ。

つい最近まで谷根千界隈じゃブイブイ言わせてたJ.C.

今じゃ単なるボケ高年、人生裏街道の枯落葉かァ!

 

誤乗のせいで「やっ古」の予約に遅れること15分。

カウンターの一番奥に通された。

店内をそっと見回すと、15年前とあまり変わっていない。

 

料理担当の店主と補助する接客係、女性二人体制である。

先客は単身男性が2人、互いの距離はじゅうぶんだ。

ハートランドの小瓶を飲みつつ、品書きをながめる。

最初にナルコユリとホタルイカのおひたしを―。

初めてお目にかかる鳴子百合は

接客のオネエさんによれば、ウルイのような山菜とのこと。

 

実際はウルイより緑濃く、歯ざわりも強い。

名前の由来は茎から垂れ下がる提灯状の花弁が

田畑でスズメを追い払う鳴子に似ているため。

プックリ太ったホタルイカは富山湾産に相違ない。

福井や兵庫だとこうはいかない。

 

2杯目は薩摩の芋焼酎、赤兔馬(せきとば)のロック。

同時に自家製の飛竜頭も―。

高級がんもどきは海老・ふきのとう・きくらげ入りらしいが

ふきのとうの香りは薄かった。

 

岐阜の三千盛を上燗でお願いし、カツオたたきを追加。

結果、このカツオくんが当夜のベストとなった。

ガス火の炙りでありながら、ほどよい香ばしさ。

何よりカツオ自体が良質である。

 

締めはもりそば。

店主自らが打ち、本日のそば粉は北海道・摩周産。

やさしい弾力のコシが滑らかな舌ざわりとノド越しを生む。

逆につゆはキリッとし過ぎて、もう少し甘みがほしい。

まっ、このあたりは好みですからネ。

 

それなりの満足感にひたりながらの会計は5500円ほどだった。

一筆加えておきたいのは接客の女性である。

飲みものは右から料理は左から、サービスの基本をわきまえて

一点の狂いもなく、一流ホテルのウエイター・クラス。

小松政夫じゃないけれど、あんたはエライ!

 

さて、今宵また都立大、こちらも10日で3度目だ。

しばらく来れなくなるが15年の放りっぱなしはあるまい。

年に2~3度は学芸&都立大に遠征しよう。

学徒ならぬ、学都出陣を心がけよう。

 

「手打ちそば やっ古」

 東京都目黒区鷹番3-4-13

 03-4291-1012