2014年8月8日金曜日

第899話 深川が葛飾にあった! (その2)

藤圭子の「はしご酒」で

♪   金がなくても 金町は  
  させてあげます いい思い  ♪  
     (作詞:はぞのなな)

と、歌われた金町で見つけた「深川酒場」。
舞い戻ったのは初回の二日後のこと。
暑中涼あり!
夕風そよぐ宵の口であった。

同行をうながしたのは
江戸川の向こう岸、松戸市在住のK音サン。
J.C.も1980年前後に7年ほど棲んだ松戸の近況を訊いてみたい。
K音サンと一緒に飲んだのは
記憶が確かならば、二年半ほど前だろうか。
なかなかにイケる口で”はしご愛好派”である。
”たしなむ程度”と差し向かいではこちらもピッチが上がらず、
イマイチ、ノリが悪い。

隅田川近辺ならのみともに事欠かないけれど、
江戸川の両サイドまで遠征すると、
さすがに手駒は限られてくる。
とにかく相方がすぐに見つかってよかった。
めでたし。

早めに仕掛け、入店のは17時半。
まだガラガラと思いきや、すでにカウンターは近所の常連、
それも中高年の男女でいっぱいだ。
中にはあぶれて小上がりのヘタに腰掛け、
身体をカウンターに向けて
他の客との会話に割り込んでいるジイさんまでいた。

われわれはそのジイさんの脇をすり抜け、
小上がりの奥におさまったのだった。
人なつっこい御仁はこちらに
「よォ~!」ってな感じの笑顔を見せる。
当方も軽く会釈を返す。

瓶ビールを注ぎあって乾杯。
旧交を温める前に料理の注文を済ませておかねば―。
この店の献立はおおむね三本立て。
刺身と煮物がメインで
それを補うのが焼き魚だったり、焼き鳥だったり、
あとはチョコチョコっとした手料理だ。

実は今宵のため、秘かに持込んだ一品があった。

=つづく=