吾妻橋「どぜう
ひら井」は通算10回目。
不動のどぜうメニューはいつも通りだが
脇役陣は普段の3分の1程度に縮小されている。
いわしの三杯酢、江戸前小魚の天ぷら、
ともにいっとき、その姿を隠していた。
これもみなコロ助野郎のせいだ。
互いにしこたまビールを飲んできたため、
此処ではハナから相酌で冷酒。
京都・伏見の玉乃光純米吟醸である。
突き出しは、かつおの酒盗おろし。
相方がこのわたに目がないので即発注。
どぜうは、抜き鍋→丸鍋→天ぷらの順に
三段構えでお願いし、生玉子も忘れずに―。
ほどよく煮えた抜きをパクリとやった元ママ。
「美味し~い! このあいだ食べたのと全然違う~ぅ!」
何処で食ったか訊ねると、千葉から来た姪っ子夫婦が
うなぎを食べたいってんで
伝法院そばのうなぎ屋に連れてったら
旦那がどぜうもリクエストした由。
うなぎ屋の出すどぜうはせいぜい柳川どまり。
伝法院のそばなら「K」に相違なかろうが
そもそも、どぜうはうなぎ屋で食うもんじゃないんだ。
どぜうとうなぎじゃ、施す江戸前シゴトがまったく違う。
抜きのどぜうは途中から溶き玉子をくぐらせる。
格好の味変になるし、
割り下が煮詰まり、しょっぱくなってくるからネ。
丸どぜうのサイズはかなり小ぶり。
頭も中骨も食べるからデカいと口中に不快感をもたらす。
天ぷらも堪能し、元ママは相好を崩していた。
300ml入りの冷酒を5本は空けたかな?
ほどよく酔いが回り、20時近くとなってお開き。
歩いて帰る相方に吾妻橋の西詰で
ちょいとキツめのハグをして手を振った。
雷門前から都営バスに乗り込む。
三ノ輪の大関横丁までは覚えていたが、そこから爆睡。
ハッと気づいたときにゃ、終点の池袋駅東口と来たもんだ。
せっかく来たんだ、酔い覚ましに美久仁小路をぶ~らぶら。
年末に迷い込んだコリアン・ママのいる、
スナックもまだ営業を再開していなかった。
徐々に頭と身体がシャキッとしてくる。
駅に戻って山手線外回りに乗り、帰宅の途。
車内はガラガラだがグルリ一周は勘弁と、
立ちん坊を貫いてたら頭の中で岡林信康が歌い出す。
♪ 工事終ればそれっきり
お払い箱のおれ達さ
いいさ いいさ
世間うらんで 何になる ♪
明日は焼酎を飲もうっと―。
=おしまい=
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