真鯛の売切れにより、
めぬけに逃れたものの、不発に終わった。
いったん帰宅し、夕刻にまた出掛ける。
行く先は墨田区最大の繁華街・錦糸町だ。
Zooとも・白鶴と喫茶店で逢った。
喫茶と言っても
おチャの代わりにおチャケを飲む。
柿ピーをつまみにビールだけだけどネ。
「ニット」は古く良かりし昭和の喫茶である。
食事メニュー豊富にして
女性にはパフェやホットケーキの人気が高い。
しばし互いの近況を語り合ったのち、
帰宅の途に着く鶴をバス停まで送り、
「それじゃ、またネ」と手を振った。
J.C.にはこのあと、狙い定めた店がある。
駅そばの「丸清寿司」に向かった。
久々の鮨屋だが実はここ数年、
あまり鮨屋に行かなくなった理由がある。
いくつかあり、いい機会だから列挙してみよう。
① 生モノ中心に魚介を食べ続けるのがツラい
② 生わさびを驚くほど使うため、
店に嫌がられるし、他客の手前も体裁悪し
③ 白身は昆布〆、赤身はづけ、青背は酢〆、
穴子・はまぐりは煮る技術を自分で習得
④ 年々、江戸前シゴトを施す店が減り、
鮨種の鮮度ばかりに偏重しがち
ザッとこんなところであります。
一時は週に3回も通った鮨屋なんだがねェ。
「丸清寿司」に惹かれたのは数週前、
店先の品書きに穴子の刺身を見とめたため。
ほかにも穴子にぎり三点盛りと称して
生・炙り・煮の盛合わせがある。
韓国の釜山で出逢って以来、
穴子刺しには目が無いのだ。
生の姐御(アネゴ)もけっこうだが
生の穴子(アナゴ)はもっと好き。
つけ場に立つのは八十路の親方と
還暦前後と思しき二番手である。
面立ちが似ているから親子だろうかー。
「穴子刺しお願いします」
「あっ、穴子が売切れちゃってー」
ガッビ~ン! こんなのあり~ッ?
昼は鯛、夜は穴子に蹴飛ばされちまった。
スーパードライがスーパー苦い。
結局は薬局、つまんだにぎりは
小肌・さば・すみいか・しゃこ・赤身、
そして穴子を1カンづつ。
さすがに鮨種の穴子はあり、
全体的に水準は高いものがあった。
20年以上も前に仙台の国分町で飲んだ、
宮城県川崎町の銘酒、伯楽星を1杯飲りながら
「穴子刺しは電話予約しなきゃダメですか?」
「いえ、いえ、今日はたまたまなんですヨ」
「じゃ、近いうちにウラを返しますネ」
「すみませんねェ」
お勘定は3300円でした。
昭和の鮨屋、錦糸町にあり。
「ニット」
東京都墨田区江東橋4-26-12
03-3631-3884
「丸清寿司」
東京都墨田区江東橋4-29-1
03-3634-7935