前週の「ソルジャー・ブルー」に続き、
ドキュメンタリー・タッチの劇映画、
「福田村事件」を観るため、
再び池袋の新文芸座へ。
関東大震災が招いた悲劇にして惨劇は
千葉県北西部の福田村(現野田市)で起こった。
この事件は長いこと埋もれていた。
いや秘匿されてきたのだ。
官憲やマスコミが煽った事件だからネ。
当時の防犯ポスターには
=あやしい行商人を見たら
警察へ連絡せよ・千葉県警=
とある。
近年、事件の顛末は次第に明らかにされ、
千葉県史上最大の汚点が
白日のもとに晒されることとなった。
とは言っても日本人による日本人の殺害が
衝撃的だったからこそで
日本人による朝鮮人の殺害は
関東のあちこちで行われ、
被害者は数千人に及んでいる。
このことについては後述したい。
映画は讃岐(香川県)から来た、
薬売り行商団の平和な道行きで始まる。
当地の船頭と情婦(戦争未亡人)、
朝鮮から帰国したばかりのハイカラ夫婦、
朝鮮人の飴売り娘などが登場し、
土地の風景と相まって抒情的な香りすら放つ。
最終盤で事件が再現されるが
史実に忠実とは言えない部分も目につく。
殊に行商団の虐殺の口火を切ったのが
赤子を背負った若い母親というのは
あまりの脚色と断じざるを得ない。
しかも最初の被害者が行商団のリーダーだ。
15人中9人(胎児を含めて10人)が惨殺された。
死の直前、リーダーの永山瑛太が言い放つ。
「鮮人(朝鮮人)なら殺してもいいんかい?」
このことである。
首謀者たちは有罪判決により、投獄されるが
2年数カ月後には昭和天皇即位による恩赦を受け、
全員が釈放される。
同胞を手にかけてこの程度の処罰では
朝鮮人に対する殺戮は闇から闇に葬られた。
ネタバレにつながるため、このへんで止めよう。
気持ちは荒んでも晩酌は怠らない。
これがJ.C.の良いところ、いや、悪いところだ。
1951年創業、東口駅前の居酒屋「バッカス」へ。
利用するのが初めてなのは
店先の品書きに全然興味を覚えなかったから。
地下へ降りてゆく入口も何だか胡散臭い。
結果はやはり肌に合わなかった。
ハムカツで中ジョッキを2杯飲んだが
カツのコロモがガシガシでどうにもならない。
砂を咬むような思いはけっして
店の責任ばかりじゃないけどネ。
「バッカス」
東京都豊島区南池袋1-27-8
03-3985-5624