2026年4月2日木曜日

第4034話 日暮里駅の下と上 (その2)

日暮里と西日暮里をつなぐ道、
にっぽりルートの「太平山」に
蕎歩とも・Mきと二人。
ビールのお通しはめかぶポン酢。
しらすと茗荷が散っていた。

豚肉より玉ねぎのほうが
好きなくらいな J.C.、
玉ねぎ串カツをお願い。
カレー味の冷製フジッリが
たっぷり添えられていた。

相方はウドの酢味噌和え。
驚いたことに立派なイカゲソが
脇に盛られている。
丸みを帯びた姿は
スミイカのソレに相違ない。
さすが海鮮自慢の店だ。

次があるので軽く抑えよう。
それでも大瓶を3本空けた。
相方に生モノを勧めたが
首を横に振られる。
お勘定は五千円弱。

日暮里駅のエスカレーターを
昇って崖の上に到達。
御殿坂を上がって
焼けくそだんだん方面へ。

軽食&喫茶の「あづま家」と
「花家」が2軒並ぶ、
その先につい最近、
「スターバックス」が開店した。

周りの環境に配慮したためか
シックな佇まいながら
3階建ての大箱である。
焼けくそだんだんに
十数メートルの距離。
何もこんな場所に
開かなくともなァ。

驚いたことに麦歩とも・N子、
彼女の娘の旦那の友人が
このスタバを設計したという。
麦歩との関係は深くもないが
偶然といえば偶然だ。

「夕焼け酒場」に到着した。
1週ぶりで今夜も同じママ。
ビールがエビスにつき、
合わせたグラスは
ブラックニッカのハイボール。
突き出しは野菜のコンソメだ。

ところが待てど暮らせど
再会を約したオバちゃんは
現れなかった。
まっ、世の中こんなものかー。
八十路のお年寄りだしねェ。

サングリアに移行して
豚のリエットを乗せた、
バゲットをつまんで
閉店前の22時にはお暇しました。

「太平山酒蔵 日暮里店」
 東京都荒川区西日暮里2-21-7
 03-3801-1919

「夕焼け酒場」
 東京都荒川区西日暮里3-10-15
 電話:やっぱり無かった

2026年4月1日水曜日

第4033話 日暮里駅の下と上 (その1)

ここんとこプッシュして来る、
蕎歩ともと今宵も酌み交わす。
何となれば前週、
焼けくそだんだんの
「夕焼け酒場」に居合わせた、
オバちゃんと再会を
約束したためである。

その前に1軒立ち寄ろう。
日暮里駅の北口改札で落ち合い、
西日暮里へ向かう、
ルートにっぽりを往く。
此処は上野から田端まで続く、
山手線沿いの崖下に当たる。

「太平山酒蔵」は都内に
何軒か残存しており、
四ツ谷しんみち通りに
総本店を名乗る店舗があるが
一度しか利用していない。

最もお世話になったのは
芝大門店で何度も通った。
でも半世紀も前のこと。
ご無沙汰しているうち、
8年ほど前に閉業した模様だ。
あとは人形町店だが
あまり評判よろしくなく
未訪のままにしてある。

さて、日暮里店。
二人訪れるとフロアを仕切る、
大将にカウンターに
着くよう指示された。

「瓶ビールの銘柄は?」
「ウチはサッポロ一本です」
「ハイ、お願いします」
赤星大瓶を注ぎ合った。

経木にビッシリ記された、
品書きが凄まじい。
魚介中心で殊に
貝類の品揃えが豊富である。

串カツ好きの J.C.が
目を留めたのは玉ねぎ串カツ。
ん? 何だコレ?
玉ねぎだけのカツかな?

店主と思しき大将に訊くと
「玉ねぎと豚肉です。
 長ねぎなのか玉ねぎなのか
 訊ねるお客が多いので
 当店では明記してあります」
キッパリ言い放たれた。

=つづく=

2026年3月31日火曜日

第4032話 盟友と TOKIA の地下で はしご酒

先週、蕎歩とも・Mきと
グラスを合わせた東京ビル。
別称TOKIAの地下に再び
潜り込むことになった。

この日は盟友・N田と二人飲み。
酒場「丸の内 おお島」で
現地集合だったが30分先乗りして
地下をブラブラしていたら
そこでヤツとバッタリ。
お互いオッサンは気が早いや。

ドライ中ジョッキをガッチン。
J.C.があらかじめ狙いを定めた、
”カニだけのカニコロッケ”と
好物の雲仙ハムカツを通したら
N田は鳥肉の煮込みを注文。
これは八丁味噌仕立て。
そう、当店は名古屋駅前に
本店を構える尾張の雄である。

珍しい日本酒があった。
地元の樽生日本酒は
純米二兎萬歳70うすにごり。
ずいぶん長ったらしい名前だ。

んん? 炭酸を感じた。
微発泡だな、これは!
ちょいとばかり意表を衝かれたが
まあ、いいでしょう。
すぐお替わりして2杯飲んだ。

2時間制と念を押されたものの、
滞空1時間半で河岸を代える。
2軒隣りの「オカモ倶楽部」へ。
そう、前週にMきと訪れた、
大阪発祥の酒場である。
ウラを返すってことは
お気に召したってことですな。

またもやドライの中ジョッキに
突き出しは蛸のスモーク。
石川の銘酒・菊姫に切り替えて
つまみは前回とまったく同じ。
キンキのにぎり寿司と
松山揚げのおでんである。
痛く気に入ってしまった。

内房へ帰るため、
東京駅の深部へ潜るN田と
握手を交わし、別れたが
近頃めっきり歩かなくなった、
そう云う奴さんに発破をかけた。
明菜が「十戒」を唄い出したが
浪花の小姑が何かまた、
云いそうなので
今日は止めておきましょう。

「丸の内 おお島」
 東京都千代田区丸の内2-7-3
 TOKIA B1
 03-6810-0276

「魚の店 オカモ倶楽部 丸の内店」
 東京都千代田区丸の内2-7-3
 TOKIA B1
 03-5962-9911

2026年3月30日月曜日

第4031話 さらにさらなる渥美清

神保町シアターに通っている。
雨降りしきる日でも。
今日も昼から「八つ墓村」。
過去2回も観ているのにネ。
あとは週央に
「あいつばかりが何故もてる」。
渥美清初主演作を残すばかり。

「拝啓天皇陛下様」(1963)は
監督が野村芳太郎。
松本清張原作映画の専門家である。
岡山・中島遊廓の映像に惹かれ、
女優・左幸子の美しさに開眼し、
山下清の登場には素直に驚いた。

「父子草」(‘67)は
東宝と宝塚映画の合作で
監督は丸山誠治。
何と云っても屋台のおでん屋、
女将・淡路恵子がすばらしい。

石立鉄雄の好演も光り、
若大将のマドンナ役を一手に
引き受けた星由里子がカワユイ。
渥美映画の普段の顔ぶれが
激変したのは東宝映画のせいだ。

「喜劇・男は愛嬌」(’70)は
森崎東監督作品とは
思えぬほどのドタバタでは失敗作。
弟役の寺尾聡の演技が空回りして
ヒロインの倍賞美津子も
渥美との相性がよろしくない。
姉の千恵子が好すぎるのだろう。

「僕はボディガード」(’64)は
久松静児監督の宝塚映画。
そこそこの出来映えながら
特筆すべきは二人の女優、
団令子と浜美枝の魅力である。

殊に団令子は J.C.の大好きな女優。
「椿三十郎」のお姫さま役、
千鳥が今も忘れられない。
若侍・加山雄三との密会を
母親の奥方・入江たか子に
アッケラカンとバラしてしまい、
色を失う加山との対比がおかしく、
彼女の可愛いさ、ここに極まれり。

さて、本日の「八つ墓村」だが
監督ー野村芳太郎 脚本ー橋本忍
撮影ー川又昻 音楽ー芥川也寸志
スタッフが「砂の器」の全員再集合。
渥美清の金田一耕助の起用を
提案したのは原作の横溝正史だ。
松竹の大ヒット作となったが
これは渥美の功績とは云えない。

返す返すも残念なのは
今村昌平の大傑作、
「復讐するは我にあり」。
連続殺人犯の主役叶わず、
緒形拳に役が回ってしまった。

今村が強く望み、
渥美も乗り気だったのに
イメージチェンジを怖れた、
松竹の猛反対で実現しなかった。

今さら死んだ子の年を
数えても仕方ないけれど、
どんな極悪人が生まれたのか?
残念至極の思い、
消えることがありません。

2026年3月28日土曜日

第4030話 歓びアーカイブ 第11回

今日のアーカイブは
東京大学の校内散策です。

2012年2月8日水曜日

第247話 冬の散歩道

♪   Time,Time, Time, see what's become of me
  While I looked around for my possibilities.
  I was so hard to please.
  Look around, Leaves are brown,
  And the sky is a hazy shade of winter.  ♪

だしぬけの横文字で失礼サンにござんす。
手前、この曲が大好きにござんす。

サイモンとガーファンクルの「冬の散歩道」。
ポール・サイモンの手になる
佳曲は1966年の作品だが
出会ったのは’68年頃だったと思う。
高校2年の半ばにサッカー部をやめ、
お気楽な放送部に転部。
昼休み、放課後には
部室にこもって繰り返し聴いた。

歌詞はだんだん哲学的になり、
難解な要素を帯びてくる。
人生の挫折と明日への希望が
入り混じって冬来たりなば春遠からじ。
日本のことわざを連想させもする。

1980年代に活躍した
アメリカの女性ロックバンド、
バングルスがカバーして
リバイバル・ヒットさせたが
本家の持つキレ味、
奥行きには遠く遠く及ばない。
曲の魂を理解しないままに
歌っちゃったのだろう。

1994年に放映されたTBSドラマ、
「人間・失格」の挿入歌に
採用されたから覚えている方も
少なくないと思う。
TBS は主題歌としたかったが
P・サイモンの認可が得られず、
挿入歌にとどめたようだ。

月に2~3回、
本郷の東大キャンパスを歩く。
学食で食事をしたり、
散歩の途中に縦横断している。
部外者立入禁止だが知るもんかー。

都心の一等地に広大な敷地を
占める国立大学じゃないか。
” 構内に立入ることなく
   グルリ迂回せよ” 
シャレた文句、傲慢な態度は
お釈迦様も観音様も
けっして勘弁しやしねェよ。

普段、散歩する場所は
主に台東区と文京区。
台東区なら浅草寺のウラオモテと
吉原、山谷辺りにあとは
上野公園・不忍池・御徒町界隈だ。
文京区だと根津・千駄木のほか
湯島・本郷・小石川の町々である。

去年のクリスマス・イヴ。
「東大中央食堂」で
赤門ラーメンを食べたあと、
正門に向かっているとき、
この光景に出食わした。

西洋絵画的、パリにでもいるような・・・

デジカメを取り出してパチリ。
モミジの紅葉もさることながら
イチョウの黄葉が実にけっこう。
大自然には紅葉、
大都会には黄葉といったところかー。

シャッターを切ってほどなく、
いきなり頭の中に鳴り響いたのは
♪ ダダダダダダダダーン ♪
「冬の散歩道」のイントロでした。

本日追記
根津から千駄木に引っ越したため、
ちょっと遠くなってしまい、
最近はご無沙汰しております。

2026年3月27日金曜日

第4029話 抜栓済みのバルバレスコ

TBSラジオ、
「森本毅郎・スタンバイ!」。
そのNYリユニオンのため、
6人がピッツェリアに集結。
佃島の「ポンテチェントロ」は
夕刻から客があふれていた。

1時間ほど先乗りして界隈の散策。
相生橋の向こうに永代橋を臨む。
両橋間は昭文社の地図では
晴海運河と記されているが
これは間違い。
正しくは隅田川派川(はせん)で
相生橋の下流からが
初めて晴海運河なのだ。

派川沿いの石川島公園を歩む。
カルガモとオオバンのつがいが
1組づつ、仲良く泳いでいた。
中央大橋の南詰を横切り、
隅田川本流のほとり、佃公園へ。
桜の隠れた名所だが
まだ一分咲きといったところ。

18時前に4人が揃い、
ドライ生で乾杯。
他の2人もほどなく現れて
宴会の始まり、始まり。

ブッラータと生ハムの盛合わせが
最初の1皿である。
ブッラータはモッツァレッラと
生クリームの合体版で
近年人気が上昇している。

ピエモンテの白ワイン、
ガヴィ イル・カステッロに移行。
マリナーラは珍しくも
チーズを使わないピッツァだ。

赤は前週に来店して抜栓を
お願いしてあったバルバレスコ、
ジアコーザ・フラテッリ ’20。
1本を前日、もう1本は前々日に
それぞれ抜いてもらった。
口当たりの良さ、滑らかさで
前々日の方が上回る。

続いての仔羊グリルは
1人1本にとどめおく。
物足りなさそうな顔も
散見されたが食べ過ぎると
オッサンの身体にはよくない。

猪のラグーのフェットチーネは
J.C.的に本日のベスト。
牛肉、あるいは合い挽きとは
異なるコク味が身上である。

締めに再びピッツア。
マリナーラがチーズ抜きなら
こちらは4種のチーズ使用の
クワトロ・フォルマッジ。
はちみつをたっぷり掛け回し、
その甘さをドルチェ代わり、
としたのは J.C.の思惑通りだ。

カッフェとエスプレッソを
おのおの楽しんでお開き。
会費は1人1万円ちょうど。
CP の高さに一同揃って頷く。

次回の開催は移転を済ませた、
浅草「ニュー王将」で7月。
メトロ日比谷線と都営大江戸線、
二手に分かれ、手を振り合った。

「ピッツェリア ポンテチェントロ」
 東京都中央区佃2-1-6
 050-5590-6180

2026年3月26日木曜日

第4028話 寅さんだけが 渥美じゃない!

意に染まる特集の欠如により、
ご無沙汰してしまった、
神保町シアターに復帰。
現在、進行中は
 俳優・渥美清
彼の大ファンとして
行かねばならん、
行かねばならんのだ~っ!
三波春夫「大利根無情」は
平手造酒の心境なり。

「あゝ声なき友」(1972)は
病のおかげで本土帰還かなった、
男が戦友たちに託された遺書を
日本全国に配送する物語。
原作に心動かされて
渥美自身が製作に加わった。

感動を呼ぶ名作ながら
注目したのは豪華な女優陣。
小川真由美・倍賞千恵子・
市原悦子・香川美子・長山藍子・
春川ますみ・吉田日出子・
悠木千帆(のちの樹木希林)。
主役級が揃い踏んでいる。
監督は今井正、原作が有馬頼義。

「友情」(’75)の監督は宮崎晃。
瀬戸内に浮かぶ真鍋島が舞台だ。
岡山県の笠岡諸島に属する島は
映画「瀬戸内少年野球団」や
「獄門島」のロケ地になった。
人より猫の数が多い島としても
世に知られている。

暗い過去を持つ中年男と
苦学しながら大学に通う、
青年との友情物語で
青年役に五代目・中村勘九郎。
彼を助ける年上の恋人に
松坂慶子が扮している。

有島一郎・名古屋章・
米倉斉加年・笠智衆・
谷村正彦・加藤嘉らが脇を固め、
三十路となった佐々木愛が
初々しさを失うことなく可愛い。

全12作中「男はつらいよ」が3本。
複数回観ているので
今回は見送るとして
残り9本中、8本を観る予定。
寅さんだけが渥美清じゃない!
渥美はもっと厚みのある役者だ。
予定の詰まった年度末なのに
渥美ファンはつらいよ、ジッサイ。

2026年3月25日水曜日

第4027話 スタート地点は丸の内 (その3)

御徒町にやって来た二人。
上野に向かい、アメ横を往く。
入店したのは「かのや」2階。
此処の1階で遠来のニューとも、
K藤サンと飲んだのは去年の師走。
それ以来になる。

ドライ大瓶を注ぎ合ってカチン。
つまみはカニコロッケ1皿のみ。
19時前の到着だったが
30分後にはほぼ満席。
ワイガヤが頂点に達した。
こりゃかなわんと大瓶2本で退散。

さて、何処へ行こう。
上野から鶯谷、日暮里まで歩いた。
崖の下側、ロータリーの周辺を
フラフラするも的に当たらず。
駅の反対側、谷中方面へ昇った。

焼けくそだんだんに差し掛かると
「夕焼け酒場」の外で
煙草を吸っていたオばちゃんが
「中、空いてますよぉ!」
相方・Mきがそれに反応して
ステップ・インの巻である。

ビールはエビスのみ。
仕方なくハイボールを飲む二人。
「角瓶ですか?」
「ブラックニッカです」
ママが応える。
お通しは菜花を添えた小冷奴。
ふきのとう味噌が載っていた。

カウンターに常連のオバさんと
さっきの煙草オバさん。
仲良し同士のようだ。
小卓に陣取ったわれわれと
言葉を交わし始める。

ママは雇われで月数回の出勤。
次回はちょうど1週後とのこと。
彼女たちとまた此処で会う約束を
交わしてしまった。
酔うとこういうことがよくある。

そこへアジア系の若者が一人、
入店して来たじゃないかー。
われわれの卓に招き入れ、
エビスを注いでやって乾杯。
シンガポールからの来日だと云う。
彼の地で4年も暮らしたJ.C.、
自ずと会話に弾みがついた。

ビール1本で彼は宿に帰り、
あとはオバさんズと
また盛り上がる。
気が付けば看板の11時。
4人揃って夜更けの町に
出ましたとサ。

=おしまい=

「かのや」
 東京都台東区上野6-9-14
 03-5812-7710

「夕焼け酒場」
 東京都荒川区西日暮里3-10-15
 電話:無いみたい

2026年3月24日火曜日

第4026話 スタート地点は丸の内 (その2)

東京ビル(TOKIA)の地下、
「オカモ倶楽部」で
松山揚げのおでんを通した。
豆腐の薄切りを揚げたもので
食感はサクッのフワッ。
愛媛・松山の名物である。

大皿に2枚タップリ運ばれた。
ゲッ! こんなに来んのっ!
「支払うから1つは
 賄いのときみんなで食べて」
「エエッ? いいんですか?」
「いいともサ」
「ありがとうございますっ!」
ハハ、試食したことないんだな。

松山揚げは実に美味しかった。
「香川・愛媛せとうち旬彩館」に
あるはずだから
新橋に行ったら買ってこよう。

勘定は5千円と少々。
そこそこ飲んだものの、
お通しとにぎり2カンに
おでん2皿だけだから安上がり。

鍜治橋通りでガードを潜り、
高橋で亀島川を渡る。
橋上から見る南高橋の水景は
都内屈指の絶景である。

新川2丁目を抜け、
中央大橋で隅田川を渡ると佃島。
「ポンテ・チェントロ」という、
ピッツェリアにやって来た。
店名のイタリア語は中央大橋、
そのまんまの直訳である。

実は翌週、此処でTBSラジオ、
「森本毅郎・スタンバイ!」の
リユニオンが催される。
そのための赤ワイン、
バルバレスコを2本、
抜栓して貰うため、
デポジットを納めに来店した。
電話予約時のS木クンが
居てくれて話はスムースに進む。

晴海運河を越えて
門仲という手もあったが
まだ腹は減らないし、
帰路に近い所へ移動しちまおう。
意見の一致を見て
都営大江戸線に乗り込んだ。
下車したのは上野御徒町である。

=つづく=

「魚の店 オカモ倶楽部 丸の内店」
 東京都千代田区丸の内2-73
 TOKIA B1
 03-5962-9911

2026年3月23日月曜日

第4025話 スタート地点は丸の内 (その1)

蕎歩(きょうほ)とも・Mきから
皮肉交じりのライン着信。
「最近N子サンとお盛んらしいけど
 アタシもどっかに連れてゆけ!」
との仰せである。
フーテンの寅さんじゃないが
男はつらいよ、ジッサイ。

数日前に雄姿を拝んだ東京駅。
丸の内南口で14時半の待ち合わせ。
八重洲口で女子会があったそうだ。
よって相方は満腹状態。
夜まで食い物不要とあっては
自ずと飲み中心になる。

いずれにしろ今日もあちこち
飲み歩くことになりそうだ。
とにかくスタート地点は
丸の内南口であった。

かつての東京中央郵便局、
KITTEビルの隣りの東京ビル。
ニックネームというか、
またの名をTOKIAというらしい。
その地下に潜り込んだ。
此処はチェーン店もどきの佳店が
集客を競い合っている。
ハッキリ云って都心の穴場だ。

「魚の店 オカモ倶楽部 丸の内店」。
気に染まって足を踏み入れた。
都内には新宿と恵比寿にあり、
近々、渋谷店もオープンの予定。
瓶ビールが無いので
ドライの中ジョッキをガッチンコ。

おそらく有料と思われる、
お通しが出て来た。
辛子明太子である。
ひと箸付けたら胡麻油が香った。

J.C.はたらこ好きで
明太子嫌いなんだが
全く食べないワケじゃない。
明太に胡麻油かァ・・・
アイデアとして
悪くはない気がした。
でも勘定書きによると
1人当たり495円(税込み)は
ちょっとなァ。

加賀の銘酒、菊姫に切り替える。
わりと好きな酒である。
つまみゼロの愛想ナシは避けたい。
壁の札書きにキンキにぎりを発見。
2カンだけ通してみた。

するとコレがなかなかの美味しさ。
皮目を炙ることにより、
脂がほどよく抜けている。
江戸前鮨の店ではムリだが
北海鮨なら人気の鮨種となろう。

飲みに徹するMきを尻目に
何かもう1品いっとこう。
おでん種に松山揚げがある。
しばらく口にしていない。
どういう状態で来るのか
判らないけどオネエさんに
「松山揚げを二つお願いネ」
「ハイ、かしこまりました」

=つづく=

2026年3月21日土曜日

第4024話 歓びアーカイブ 第10回

今日は ”食べる歓び” から
お届けします。

第700回 2009年3月10日

=おかめの顔に心が和む=

M倉サンと大井町の「オリガノ」で
チキンドリアとミックスピザを
分け合ったあと、そこからほど近い
大井三ツ又交差点にある、
日本そば「吉田家」に向かった。

本店は立会川の旧東海道に
風格あるたたずまいを見せている。
支店のほうもどうしてどうして
なかなかに風雅な趣きがある。

素敵でしょ?

店先の品書きも親切にして品がよい。
二人ともおかめそばをお願い。
この店ではまだ温かい種モノを
試していない J.C.が選んだおかめに
M倉さんが追随したのだ。

注文後も品書きをつぶさにチェック。
せいろ・かけは735円。
けっこうなお値段である。
種モノは冷・温問わず、
1000円の品が多い。

頼んだおかめもそうだが
なめこ・とろろ・にしん・力・山かけ・
鳥南ばん・カレー南ばん、
みな千円札1枚である。
メニューの幅がきわめて広い。

ほぼ全種類、そば・うどんを選べる。
にぎわいそばって何だ?
お子様そばってどんな内容だ?
興味をそそられることしきりなり。

一品料理も充実のラインナップ。
まぐろぬた・いか納豆・酢の物・
焼き魚・揚げ出し豆腐・和風さらだ、
相当な品揃えである。

ごはんものにしても
天重や天ぷらごはんはもとより、
かき揚げごはんに地鶏すき焼きごはん、
鉄火重までカバーしている。
金2850円也の刺身ごはんは
どれほど立派な刺身が来るのだろうか。

鍋物まであった。
うどんすき・鴨すきに加えて、
あんこうすきには唖然としてしまう。
立会川の本店でさえ、
ここまでの布陣は揃っていなかった。
そうこうするうち、おかめそば登場。

ユーモラスな表情を見せるおかめそば

いいですねェ、この顔。
両目はこちらを見ているが、
頬っぺたは片頬だけを見せている。
しいたけと湯葉がその頬っぺに当たる。
生麩の眉毛が ”キミたちひょうきん族”。

この陣容ならそばを抜くおかめ抜きで
日本酒を飲んでみたくもなる。
かまぼこがズドンと2枚に
玉子焼きとほうれん草の青味。
一片の柚子も気が利いている。
後日、本店でもおかめそばをいただいた。

湯葉が鼻になっていた

よく似てはいるが、
眉毛と鼻が微妙に違う。
二つを並べて比べてみると、
三ツ又店のほうが
目鼻立ち整う、器量よしである。

【本日の店舗紹介】

「大井三ツ又 吉田家」
 東京都品川区大井3-6-7
 03-5718-5501

「吉田家本店」
 (現・そば懐石 立会川 吉田家)
 東京都品川区東大井2-15-13
 03-3763-5903

つい先日、旧東海道の「鈴乃家」に
立ち寄ったあと本店を通りすがり、
店頭の品書きにびっくり。
価格が暴騰していたがこれは
円安のせいばかりではあるまい。

気になって大井店の価格を
調べたら大変なことが判明。
何と去年の11月30日で
閉店していてもっとびっくり。
今のところ理由は不明です。

2026年3月20日金曜日

第4023話 バッタリ出逢った 珍魚・オジサン

テレビ東京の人気番組、
「YOUは何しに日本へ ?」で
チャーハン好きの仏人が
訪れた上野の「珍々軒」。
久々に出向いたら定休日だった。

はて、何処に行こう?
引き込まれたのは
向かいの「ほていちゃん」。
カウンターの右隅に立ち、
赤星大瓶を発注した。
割安価格の瓶ビールは
カウンターでしか飲めない。

つまみはホタテ塩辛と
牡蠣のバタ焼きポン酢。
この酒場は安いわりに
一ひねり加えた料理がなかなか。

大瓶1本で切り上げて移動した。
近くの「立飲み たきおか」は
スーパードライ大瓶が主力。
ほとんどの客がこれを飲む。
豚白モツ満載の煮込みも
人気商品で驚きの200円だ。

当店も大瓶1本で退散。
晩酌用つまみの調達に向かった。
なじみの「吉池」を物色する。
何か珍しいものがあるかな?
あった、あったヨ、
三重県産のオジサンと来たもんだ。
ほうら、桜たまこも唄い出した。

♪   おじさん 好きならば
     夢の中 今
     おじさん どこまでも
     連れてって 今
     きらめく恋の夜 ゆれてる
     あなただけ今晩わ
     これから これから 
     二人はどうなるの
     教えて 教えて 愛のゆくえを
     おじさん ちょっぴりの
     倖せが好き
     恋する東京娘    ♪
  (作詞:石坂まさを)

「東京娘」は1976年のリリース。
渡辺マリが1961年にヒットさせた
「東京ドドンパ娘」の
リメイクとも言われた。

それはそれとしてオジサンである。
鯉より長いひげのおかげで
こんな名前になった。
赤身がかった派手な身体を持ち、
仏料理の重要食材、
ルジェ(ヒメジ)を二回りほど
大きくした感じだ。

千葉・竹岡産のクロダイと
購入して刺身にしたら
ピンクの身肉が実に美味。
ごちそうさん、オジサン!

「ほていちゃん 上野本店」
 東京都台東区上野6-10-13
 03-5846-6660

「立飲み たきおか」
 東京都台東区上野6-9-14
 03-3833-2777

「吉池」 
 東京都台東区上野3-27-12
 03-3831-0141

2026年3月19日木曜日

第4022話 よみせ通りに沖縄誕生

一昨日のことである。
WBC準決勝を観る気も失せて
何もやることが無い。
ボーッとしているうちに13時半、
何か食べに出よう。

近所の「一寸亭」で
大瓶と半チャーハンにしようと
出向いたものの、
こんな時間なのに8人待ち。
「さくら食堂」で中瓶2本に
カキフライ3個でもいいや。

よみせ通りを北上していた。
アレェ? いつの間にやら
沖縄そば専門店が出来ていた。
「3chome dining bar」から
昼のみ間借り営業の様子だ。
フラフラっと入ってしまった。
メニューはいたってシンプル。

沖縄そば        1000円
沖縄そばと
 じゅーしーおにぎり  1200円
ミニ沖縄そばと
 じゅーしーおにぎり    800円
オリオンビール       400円

これだけである。
まずはオリオンを通す。
少食派の逃げ道はただ一つ。
ミニそば&おにぎりしかない。
出来上がりを待つ間にもう1缶。

若夫婦だろうか?
ツーオペの店内に客はわれ一人。
ちょいとばかり集客が心配だ。
そば&おにぎりだけだもんネ。

着卓したミニそばは本当にミニ。
極太ちぢれ麺は
わんこそば2杯分ほどしかない。
でもれっきとしたソーキそばで
小さなソーキ(豚スペアリブ)に
岩のり、小ねぎ、紅しょうが。

このそばは2007年に
那覇で食べて以来だから
18年半ぶりになる。
嫌いじゃないのに食べる機会を
与えられなかった。

じゅーしーおにぎりは
醤油味の炊き込みごはんで
ひじき・にんじん・豚挽き入り。
ジューシーはいいが食べるうちに
バラバラ崩れて難渋した。

ここ数年、都内の沖縄料理店は
ずいぶん増えたが
なんとなく二の足を踏んでしまう。
出張で幾度も本島はじめ、
南西の島々を訪れた盟友・N田は
「沖縄料理が旨いと思ったことは
 ただの一度もないぜ!」
言い切って憚らないくらいである。

「沖縄そば屋ちょこっと」
 東京都文京区千駄木3-43-9
 電話ナシ

2026年3月18日水曜日

第4021話 桜はつぼみの靖国神社 (その2)

濠端をさらに歩む。
気象庁、消防庁を通り過ぎ、
大手町1丁目1番地、
三井物産にやって来た。

カルガモの池でも眺めよう。
敷地内に歩を進めると
ややっ! やややっ!
池は消えて芝生が植わっている。

何じゃ、こりゃあ!
いつ埋め立てたんだァ!
責任者、出て来いっ!
カモが戻って来ることは
もう永遠にないだろう。
動物好きには哀し過ぎる結末だ。

カルガモ代わりに
和田倉濠のカメたちを眺めた。
彼らはアカミミではなく、
日本古来のイシガメである。
さすがに天皇陛下のお膝元だ。

丸ビル内を通り抜けると
ほうら、佐藤千夜子が唄い出す。

♪ 恋の丸ビル あの窓あたり
        泣いて文書く 人もある
  ラッシュアワーに 
  拾った薔薇を
  せめてあの娘の 思い出に ♪
  (作詞:西條八十)

「東京行進曲」は1929年のリリース。
この半年後にウォール街は
破綻を迎えることになる。
株価が元の水準に戻るまで
実に四半世紀の歳月を要した。

いくらなんでも「東京行進曲」を
浪花の小姑はご存じあるめェ。
丸ビルを抜けながら思う。
”泣いて文書く”ってオフィス内で
ラブレターを書く娘が
はたしているだろうか?

”ラッシュアワーに拾った薔薇”って
そんなところに薔薇が
落ちているだろうか?
よしんば落ちていても
人々に踏み潰されて粉々だろう。
西條御大の想像力は
われわれの想像を超えてしまう。

鍜治橋通りでガードをくぐり、
交通会館に到着したときは
二人してガス欠状態。
さっそく地下の「徳田酒店」に
飛び込み、カウンターに横並ぶ。
ドライ大瓶を注ぎ合った。

つまみの定番、鯛皮ポン酢に加え、
わかさぎ天ぷら、鰹の塩たたき、
豚バラ黒胡椒焼きを続注する。
結局は薬局、二人で大瓶4本を
空けちゃったのでした。

「徳田屋酒店」
 東京都千代田区有楽町2-10-1
 東京交通会館 B1F
 090-3483-6999

2026年3月17日火曜日

第4020話 桜はつぼみの靖国神社 (その1)

ドッピア&パニーニのあとは
いつも通りにひたすら歩く。
天神町の交差点を左折して
早稲田通りを往った。

なじみの「よしやセーヌ」に入店。
珍しい鮮魚と出逢えるのが楽しみだ。
この日は鹿児島産の夜光貝。
海中最大の貝がコレ。
初めてお目に掛かるが
正直言って度肝を抜かれた。
興味のある方は魚図鑑をご覧あれ。

先が長いので何も買わずに
神楽坂を下ってなおも真っ直ぐ。
早稲田通りの起点に到着した。
靖国神社のドデカい第一鳥居が
その地点である。

境内の桜はまだつぼみのまま。
本殿には向かわず、
くるりUターンして九段坂を下る。
ほうら、千代子が唄い出した。

♪ やさしかった 兄さんが
  田舎の話を 聞きたいと
  桜の下で さぞかし待つだろ
  おっ母さん
  あれが あれが 九段坂
  逢ったら泣くでしょ 
  兄さんも ♪
   (作詞:野村俊夫)

「東京だョおっ母さん」は
1957年3月のリリース。
J.C.一家四人が故郷・長野を追われ、
東京に落ち延びたのがこの頃だ。
「おっ母さん」は覚えてないが
三波春夫の「船方さんよ」は
よ~く覚えている。
小学校に上がる1年前だった。

九段下の昭和館で映画ニュースを
3本見て先を急いだ。
九段会館(旧軍人会館)を横切り、
内堀通りを竹橋に至ると
左手に毎日新聞社。
経営は苦しいのに
相変わらずビル本体は立派だ。

あれは金融界に身を投じた1年後、
1981年のことだった。
毎日新聞社最上階のレストラン、
「アラスカ」で夕食後の帰り際。
思いがけない人と出逢った。

中学・高校時代の恋人、
N村K子がクローク係をしていた。
卒業後も付いたり離れたりの
繰り返しだったのだが
この出逢いが焼けぼっくいに
熱い火を付けてしまった。

わが女性遍歴において
出逢いと別れの繰り返しが
幾度も重なるのは彼女一人のみ。
人生のほろ苦き思い出である。

=つづく=

2026年3月16日月曜日

第4019話 プーリア名物・ドッピアを

毎度のことで恐縮ながら
またもや麦歩とも・N子の登場。
落ち合ったのはメトロ有楽町線、
江戸川橋駅の2番出口だ。
早稲田行きのバスで先乗りした、
 J.C.は界隈の山吹町を徘徊。

あれは2年前のこと。
大塚は三業通りの「小倉庵」を
皮切りに都内各所の「小倉庵」を
めぐりにめぐりまくった。

本家は現在も日本橋本町で
営業を続けるが昼のみ。
リーマン・OL 向けとなった。
利用者の評判も芳しくはない。

実質的な家元はかつて
この山吹町に暖簾を掲げていた。
諸般の事情で店を閉じたが
ほぼすべての「小倉庵」は
山吹町の暖簾分けである。
江戸川橋通りの跡地では現在、
セブンイレブンが暖簾を・・・
いや、暖簾こそないが営業中だ。

N子をピックアップして
赴いたのは「アルタムーラ」。
フォカッチェリアである。
旧「小倉庵」(現セブン)の
3軒ほど隣りに在った。
こんなに至近だなんて
単なる偶然とは思えな・・・
いや、単なる偶然だよネ。

入口のレジで発注と支払いを
済ませるシステム。
店主のワンオペでは仕方がない。
イタリアのモレッティ小瓶2本に
ドッピアとパニーニを1つづつ。
二人掛けテーブルに着いた。

長靴の国・イタリアのかかと部分。
プーリア州第二の都市、
アルタムーラの名物・ドッピアは
英語のダブルと同義語だ。

薄焼きフォカッチャ上下2枚で
具材を挟むことが名前の由来。
中身はモルタデッラと
モッツァレッラだった。

一方のパニーニは
生ハム・モッツアァレッラ・
セミドライトマト・水菜。
ごく一般的なものである。

分け合って食べて
ともにまずまずながら
わざわざ出向かずとも
フツーにありつけるレベル。
期待ほどではなかった。

ビール好きの2人が
小瓶1本づつでは
とうてい満足できないが
何となく退場の雰囲気。
滞空は30分だけでした。

「アルタムーラ」
 東京都新宿区山吹町5
 03-6265-3842

2026年3月14日土曜日

第4018話 歓びアーカイブ 第9回

アーカイブの第9回は
ハマの弘明寺です。
相方は前話の Pチャンとは
無関係の P子です。

2014年10月17日金曜日

第949話 観音に 裏があるなら 下もある (その5)

弘明寺の「廣州亭」で
P 子とビールを酌み交わしながら
料理の出来上がりを待っている。
ふと気がつけば、悩みでもあるのか
接客担当の店主が思案にくれていた。
にわか仕立ての考える人
「開業は何年くらい前ですか?」
「親の代からだから戦前ですねェ」
「オヤジさんが二代目ってこと?」
「ええ、でもアタシで終わりかな?」
笑い顔に悲哀がにじんでいる。

いかにも手造りといった焼売が運ばれた。
ゴツゴツとして肉々しい  
もうちょいと、つなぎの片栗粉や
玉ねぎが主張するタイプが好みだけどなァ。
味にインパクト薄く、
添えられた辛子だけではもの足りない。
そこで酢・醤油・辣油の助けを借りた。

横浜名物・サンマーメンは
小ぶりのドンブリで登場。
 これで400円は大バーゲン
具の野菜にトロみがかかり、
典型的なサンマー・スタイル。
ストレートで色白な麺は
中華街における主流タイプだ。
しかし、焼売同様、
どことなくパンチ不足。
相方が酢を掛けたいと云うので
ご自由にどうぞ!である。

料理に特筆すべき点はないものの、
好きだなこういう店。
この古く良かりし空間に
身を置けただけでもシアワセだった。 
 客層も年配者ばかり
会計を済ませてオモテへ。
目の前に懐旧の情を誘う
「ジャーマン・ベーカリー」があった。
P子はしきりにホットケーキを食べたがる。
しかし、そんなものは
間髪入れずに冷たく却下した。

駅へ戻る道すがら弘明寺観音に立ち寄る。
この寺は瑞應山蓮華院と号し、
1300年の歴史を有する横浜市内最古の寺院。
見たところ、それほどの古刹(こさつ)とも
思えぬがやはり名刹なのだろう、
端正なたたずまいを見せていた。
相方もお気に召したようだ。
仁王門から本堂へつづく石段
二人並んで手を合わせたら
観音下から坂を登り、駅に舞い戻った。
ここから河岸を代えて、
本格的な注ぎ合いが始まる気配なり。

=おしまい=

 「廣州亭」
 神奈川県横浜市南区大橋町3-66
 045-731-391

弘明寺はその後も何度か訪れている。
商店街を歩くのが好きなのです。

2026年3月13日金曜日

第4017話 お通しのなまこ酢に驚く

5年前に上野のそば屋で出会い、
たまさか酌交するようになった、
Pチャンと上野ー御徒町をつなぐ
上中通りでバッタリ。
どちらからともなく一杯いこうか?
入店したのは御徒町駅のそば、
「清龍酒蔵 上野店」だ。

埼玉県・蓮田市で1958年創業、
清龍酒造の直営店である。
なじみの薄い蓮田市だが
上尾市と春日部市にはさまれて
ひっそり(?)と存在している。

J.C.は「清龍」とは古いつき合い。
自慢じゃないがここだけの話、
池袋店では高校時代から飲んでいる。
同じ池袋「銀座ライオン」と双璧。
わが青春の謳歌に
一役買ってくれた酒場だ。

赤星中瓶を注ぎ合ってカチン。
元気そうで何よりである。
彼の棲む市川市は
J.C.にとっても思い出深き場所。
一しきりその話題で盛り上がる。

お通しが立派ななまこ酢。
れっきとした一品に
仕上がって量もたっぷり。
おそらく能登産と思われる。
会計後に判明したが
お通し代はたったの200円。
これには J.C.心底驚いた。
適正価格は800円から千円だ。

出来合いのマカロニサラダなど
愚にもつかない代物で
500円玉1枚をせしめる、
悪徳店が見受けられるなか、
こんな有料お通しは大歓迎だ。

清龍の升酒に切り替え、
ホタルイカ&ニラのチヂミと
春野菜の天ぷらをお願いする。
うど・たらの芽・春菊は
いずれもまことにけっこう。

升酒を何杯かお替わりし、
締めの皿うどんは
ほとんど相方におんぶ&だっこ。
ツレの存在の有り難味を
ひしひしと感じた。

互いにまだ時間があるのと
飲み足りなさに背中を押され、
ガード下の「味の笛」に移動。
紙コップのドライ生を
2杯づつ飲んでお開きにした。

言い忘れたが Pチャンは
大陸の山東省出身で J.C.には
数少ないチャイニーズ・フレンド。
年内の再会を約し、
御徒町駅改札で見送りました。

「清龍酒蔵 上野店」
 東京都台東区上野5-21-8
 03-3831-9373

「味の笛 本店」
 東京都台東区上野5-27-5
 03-3837-5828

2026年3月12日木曜日

第4016話 初めて食べた富倉そば

秋葉原は嫌いな街である。
でもそれは線路の西側、
いわゆる電気街に限られ、
東の昭和通りを越えてしまえば
こっちのものだ。

其処のスーパー「ライフ」は
たびたび利用している。
都内各地に散在する「ライフ」で
品揃えが群を抜いているからネ。
この日も食材とワインを
調達するために出向いた。

その前に腹ごしらえ。
狙いの「仙丹坊」は生憎と満席。
入店かなわず近辺を物色する。
出合ったのが「つなぎ庵」。
日本そば屋の店頭の立て看板に
惹き寄せられた。

当店は、長野県飯山市富倉に
伝わる、つなぎに山ごぼうの
茸毛(葉の繊維)を使った
富倉そばを提供する店です。
香り良く、コシが強く、
のど越しも良い富倉そばを
ぜひご賞味ください。

んん? 富倉そばはすぐそばで
生まれていながら初めて聞いた。
ぜひご賞味しなければ!
そう思ったことである。

店内はほぼいっぱい。
席は9割方埋まっていた。
辛うじてカウンターに着き、
赤星中瓶と天丼セットをー。

通常のもりより色が濃い。
コシも強めで噛み締め感があり、
とても美味しいけれど、
つゆにはもう少し辛味が欲しい。
一般的な信州そばとは
異なる印象を受けた。

ところが問題は天丼にあった。
何かサカナの切り身が2つに
茄子・春菊・さつま芋。
野菜に罪は無い。
サカナにも罪は無かろうが
このサカナを使った店主には
一言モノ申したい。

何とソレはブリと来たもんだ。
こんな脂っこいヤツを油で
揚げるなどもってのほか。
それが証拠に他店では
全くやらない蛮行だからネ。

そもそも天ぷらは江戸の昔から
江戸湾の小魚を丸1匹揚げるモノ。
大ぶりな穴子ですらそうだ。
切り身はタブーなのである。

生まれて初めて食べた富倉そば。
これまた初めてのブリ天ぷら。
当店の評価はプラスと
マイナスが相殺されて
ののちゃんのテスト結果同様に
O点なのでした。
いや、次回はそばだけ食べれば
それで済むことだよネ。

「つなぎ庵」
 東京都千代田区神田和泉町
 1-7-10
 03-3862-4569

2026年3月11日水曜日

第4015話 歓びアーカイブ 第8回

今日は水曜日。
なのに歓びアーカイブです。
どうしても本日でなけりゃ
ならない理由があります。
そう、15年前の今日、
悲劇が発生して東京の街も
グラグラときたのでした。

2011年3月11日金曜日

第9話 的矢の牡蠣に最敬礼!

牡蠣の季節も残りあとわずか。
季節が過ぎれば半年近くお別れだ。
自分の好きな食べものを
思い浮かべると牡蠣は間違いなく、
3本の指に数えられる。

 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺
     (正岡子規)

 牡蠣食えば 喉が鳴るなり わが身かな
     (J.C.オカザワ)

であります、いや、お粗末。

先の土・日は2日間連続の散歩日和。
昨夏の猛暑がウソみたいなこの冬には
貴重な天の恵みだった。
武蔵野のはずれに遊んだのは土曜日。

翌日曜は谷根千をひとめぐりして
駒込から白山を散策。
途中で沈丁花の香りを幾度もかいだ。
多少の寒気がぶり返してこようとも
もう春が来ている。
木々が芽吹き、花は開き、
山菜が出回るようになると
やがて牡蠣が別れを告げる。

白山の坂を下って小石川に差し掛かり、
「クイーンズ伊勢丹」の前に出た。
散歩の途中でスーパーに出くわすと
店内を徘徊することが多い。
鮮魚売り場が狙いである。

この日も迷わず入店。
そして思いもかけぬ、
うれしい出会いを、まずはご覧あれ。

5粒入りで798円也

道東・三陸・瀬戸内と、
牡蠣の名産地は数あれど
J.C.がこよなく愛するのは
三重県・的矢の産である。
牡蠣においては濃厚クリーミーより
淡麗フレッシュが好み。
よって岩牡蠣(夏牡蠣)は大嫌い。
ここであったが百年目、
小躍りして買い求める。

この出会いにより、
本日の夕食は自宅に決定。
ほどよく肉割れした肌が輝く、
ばちまぐろの赤身も買った。

せっかくの生食用牡蠣だから生でー。
と言ってもこのまま
食するのは愚の骨頂。
ふたたびご覧あれ。

汚れやあぶくが見えるでしょ?

これをザルにあけ、
まんべんなく振り塩を施す。
すばやく強く小刻みに
ザルを横振りすると
灰色に濁ったアクが
次から次と出るわ出るわ、
あまりの光景に初めての人は
言葉を失うだろう。

あえてそのアクを
お目に掛けることは慎むが
みたびご覧あれ。

水洗いして水気を切った牡蠣

汚れを落とされ、塩で〆られ、
プルルンと張りつめた柔肌の美しさ。

 やは肌の あつき血汐に ふれも見で
    さびしからずや 焼いて食う君

1粒はそのまま、
次の2粒にはレモンを搾り、
最後の2粒は甘酢を作って酢がきにー。
これには手製の山わさび醤油漬を
あしらったりもしてー。

このようにして文字通り、
手塩に掛けてやらなければ
牡蠣は旨みを閉じてしまい、
その本領を発揮してくれない。
素晴らしすぎる的矢の牡蠣に
あらためて最敬礼!

本日追記
この稿を呑気にアップした6時間後。
J.C.は根津の「赤札堂」にいました。
避難を促す館内アナウンスで
外に飛び出たとき、
根津交差点の電線は大揺れに揺れ、
まるで少女たちの遊ぶ縄跳びの
 ”お嬢さん、お入り!” 状態でした。
急いで帰宅すると
ビデオやCDが床に散乱しており、
怯えた愛猫プッチは身を隠して
しばらく姿を現さなかったのです。

「クイーンズ伊勢丹 小石川店」
 東京都文京区小石川1-17-1
 03-5840-6231