2026年3月30日月曜日

第4031話 さらにさらなる渥美清

神保町シアターに通っている。
雨降りしきる日でも。
今日も昼から「八つ墓村」。
過去2回も観ているのにネ。
あとは週央に
「あいつばかりが何故もてる」。
渥美清初主演作を残すばかり。

「拝啓天皇陛下様」(1963)は
監督が野村芳太郎。
松本清張原作映画の専門家である。
岡山・中島遊廓の映像に惹かれ、
女優・左幸子の美しさに開眼し、
山下清の登場には素直に驚いた。

「父子草」(‘67)は
東宝と宝塚映画の合作で
監督は丸山誠治。
何と云っても屋台のおでん屋、
女将・淡路恵子がすばらしい。

石立鉄雄の好演も光り、
若大将のマドンナ役を一手に
引き受けた星由里子がカワユイ。
渥美映画の普段の顔ぶれが
激変したのは東宝映画のせいだ。

「喜劇・男は愛嬌」(’70)は
森崎東監督作品とは
思えぬほどのドタバタでは失敗作。
弟役の寺尾聡の演技が空回りして
ヒロインの倍賞美津子も
渥美との相性がよろしくない。
姉の千恵子が好すぎるのだろう。

「僕はボディガード」(’64)は
久松静児監督の宝塚映画。
そこそこの出来映えながら
特筆すべきは二人の女優、
団令子と浜美枝の魅力である。

殊に団令子は J.C.の大好きな女優。
「椿三十郎」のお姫さま役、
千鳥が今も忘れられない。
若侍・加山雄三との密会を
母親の奥方・入江たか子に
アッケラカンとバラしてしまい、
色を失う加山との対比がおかしく、
彼女の可愛いさ、ここに極まれり。

さて、本日の「八つ墓村」だが
監督ー野村芳太郎 脚本ー橋本忍
撮影ー川又昻 音楽ー芥川也寸志
スタッフが「砂の器」の全員再集合。
渥美清の金田一耕助の起用を
提案したのは原作の横溝正史だ。
松竹の大ヒット作となったが
これは渥美の功績とは云えない。

返す返すも残念なのは
今村昌平の大傑作、
「復讐するは我にあり」。
連続殺人犯の主役叶わず、
緒形拳に役が回ってしまった。

今村が強く望み、
渥美も乗り気だったのに
イメージチェンジを怖れた、
松竹の猛反対で実現しなかった。

今さら死んだ子の年を
数えても仕方ないけれど、
どんな極悪人が生まれたのか?
残念至極の思い、
消えることがありません。