2026年8月18日火曜日

第4163話 稀有なる女優 小川眞由美

女優・小川由美が
3月26日に亡くなっていた。
好きな女優さんだった。
晩年は得度して尼さんに
なったと聞いてはいた。

たまたま彼女が亡くなる12日前。
神保町シアターで
「あゝ声なき友」を観た。
渥美清の向こうを張っての共演は
なかなかの佳品であった。

渥美と肉体関係を持つ女性役だが
彼の作品でそんな経緯が
明らかになること自体が珍しい。
寅さんはそういうこととは
無縁というか、苦手というか、
そのイメージでシリーズが
成り立って来たからネ。

彼女の魅力は何だったのだろう?
昨晩、菊正を手酌で飲りながら
あらためてじっくりと考えた。
最初に断っておくが J.C.は
彼女を美しいと思ったことがない。
むろん不美人とも思っていない。
器量よしではあろう。

では何ゆえ彼女に惹かれたのか?
男顔負けの存在感だろうかー。
思い至ったのは観る者に
強い予感を抱かせること。

彼女がスクリーンに現れると
何か起こりそうな気配が
プンプン匂い立つ。
強烈な ”何か起こりそう感” 。
そこに魅了されるんだ。

例によって彼女の出演作から
マイ・ベスト5をいきましょう。

① 食卓のない家
② 復習するは我にあり
③ あゝ声なき友
④ 八つ墓村
⑤ 陸軍中野学校
次点: 鬼畜

TVの「女ねずみ小僧」も
忘れ得ぬドラマだった。
岩下志麻と並び、
寅さんシリーズのマドンナ役を
ぜひ演じて欲しい女優だった。

最後に以前も紹介したが
「食卓のない家」のエピソード。
金魚を食べるシーンがあり、
眞由美は生の金魚を嚙み殺す。
共演者の岩下志麻は
卒倒しそうになったと打ち明け、
スゴい女優さんだと
感服したそうだ。

極めつけはそのあとの一言。
「金魚って小骨が多いのね」
まさしく小川眞由美の特性が
噴出している。

安らかな眠りにつく人ではない。
はるか星空の彼方でも怪演、
いや、快演を続けられるよう、
心からお祈りします。
合掌。