2016年2月5日金曜日

第1289話 十年ぶりの中華そば (その1)

 ♪   Ones upon a time
   はるかな夢
   もう誰も ここにいない
   ひき潮の 海のように

   十年ロマンスと
   いわれた愛は
   今もきらめいて いるだろうか

   月の光 あびながら
   肌を見せた
   あの誓いの夜の
   ヴィーナスに 似た人は今 ♪

       (作詞:阿久悠)

1971年1月、
「ザ・タイガース ビューティフル・コンサート」@日本武道館をもって
解散したザ・タイガース。
丸10年後の’81年1月、
有楽町・日劇の取り壊しに伴う、
「さよなら日劇  ウエスタン・カーニバル」@日劇において
ザ・スパイダースやザ・カーナビーツなどとともに再結成を果たす。

同年11月にリリースされたのが上記の「十年ロマンス」。
作詞者の阿久悠は10年ぶりのグループ復活を
十分に意識して詞を書いている。
ちなみに作曲は珍しくも沢田研二自身だ。

ときは移り、2006年1月、
大関・栃東が幕内最高優勝に輝いた。
ご存じのように丸10年間の空白を埋めて
2016年1月、琴奨菊が賜杯を抱いた。

台東区・谷中は夕焼けだんだんのすぐそばに
「一力」という名の中華料理屋がある。
店舗は初音小路の入口脇
年が明けて半月ほど経ったある夕暮れ、
上野公園から谷中霊園を抜けて「一力」に到着した。
本日提供できるものはラーメン&餃子のみと
店先に表示してあった。

いきなりラーメンでもあるまい。
どこか近所で一杯飲ってから
締めにラーメをいただこう、そう思ってヨソに廻る。

JR日暮里駅東口の「いづみや」でおよそ1時間。
晩酌を済ませ、「一力」に舞い戻ったが
すでに閉店したあと、万事休すの巻であった。
まだ19時前、ずいぶん早い店仕舞いになすすべがない。

=つづく=