2016年2月29日月曜日

第1305話 パキスタンの思い出 (その6)

It was a long time ago.
たまたまパキスタンはカラチのホテルで出逢ったスッチー、
いや、こんな呼び方は当時なかったんじゃないかな・・・。
とにかくプールサイドに恋の花は咲かなかったが
ハナシの花が咲いた。

先方の言うところによれば、
東南アジアだろうが西アジアだろうが
とにかく気を使うのは健康管理。
それもコレラとかマラリアとか大それたものではなく、
食中毒に気をつけるのだそうだ。

たとえ食中毒までいかなくとも
腹をこわすと業務の遂行に多大な支障をきたす。
よってバンコクでもシンガポールでもボンベイでも
生食のサラダは避けているとのこと。
加えて水はもとより氷が要注意。
JALのクルーは地上に舞い降りたらアイスは口にしないそうだ。

当方は昨日からの顛末を泡を飛ばして語り聞かせる。
彼女、ひとしきり笑い転げたあと、
「ちょっと部屋に戻りますけど、
 いいもの差し上げますから、待っててくださいネ」―
言い残してモンローウォークの巻である。

   ♪  つま先立てて海へ モンロー・ウォークして行く
    いかした娘は誰 ジャマイカあたりのステップで
    目で追う男たちを 無視して腰をひねり
    ブロンズ色の肌 光受けなまめく    ♪
            (作詞:来生えつこ)

南佳孝が自ら作曲して歌った「モンロー・ウォーク」は
1979年のリリースだ。
翌年には「セクシー・ユー」とタイトルを変えて
郷ひろみがカバーしている。
もっとも曲名変更に対して作詞者の来生えつこネエさんは
怒り心頭に達していたとか・・・、さもありなん。
  
とにもかくにもうら若きスッチーのなまめかしいうしろ姿を
息を殺して見送っていたのでした。
・・・というのは脚色しすぎ、というより嘘に近い。
JALのCAがそんなマネをするハズがないでしょうに。

それにしても気づかなかったなァ。
制服脱いで水着姿じゃ想像もつかない。
ヘアにしたって・・・あっ、ごめん、ゴメン!
そっちのヘアじゃなくって、ヘアスタイルのほうネ。
JALおなじみのシニヨンだったらピンとくるのに
全然イメージが違うんだもんねェ。

=つづく=