2016年2月18日木曜日

第1298話 サメとカスベの一騎打ち (その5)

モハメド・アリやら琴奨菊やら
脇道にそれるととどまるところを知らない。
深く考えもせず、勝手に指が文字をたたき出す。
困ったものよのぉ・・・。

上野松坂屋で買い求めたサメとカスベであった。
調理する道は三つ。
まず煮付けは無条件決定。
何たって一番簡単だし、酒にも飯にもピタリと寄り添う。
第二は焦がしバターだ。
本来はカスベ向きのソースだが
これをサメにも応用したい。

白身魚のブール・ノワゼットはフランス西部、
ブルターニュ地方の郷土料理が発祥。
厳密にはサカナをブイヨンで茹でなければならない。
ところがせっかちなJ.C.はそんな悠長なことはしていられない。
ソテーしたところに白ワインとワインヴィネガーを振りかけ、
フタをしてしばらく蒸し煮にすることで手を抜く。

そして第三の方法は以前何度かカスベで試した味噌粕漬。
味噌漬でも粕漬でもない味噌粕漬である。
語呂合わせから”カスベのみそっかす”と命名した。
サカナの味噌漬によく使われる西京味噌では少々甘すぎる。
酒粕使用の粕漬はちと酒っ気が強すぎる。
よって両者を合わせ、いいとこ取りを画策したわけだ。

真田幸村ゆかりの信州・上田の信州味噌と
灘の清酒・月桂冠の酒粕をよく練り合わせる。
そのままでは上手く混ざらないので
日本酒とみりんを適量加えてやる。
市販されている一切れよりも
小さめに切り分けたサメ&カスベを漬け込んだ。
もちろん水気はていねいに拭い去ってネ。

買い物当日の夜。
ビールの缶をプッシュウと開けてグラスに注ぎ、さっそくイッキ。
われこの瞬間のために今日一日を生き抜けり。
そう言い切れるほどに”生きる歓び”が満身を駆け抜ける。
明日もまたシアワセが待ち受けているのであろう。
そんな気分になってくる。
 ♪ 明日という字は 明るい日と書くのね~ ♪

卓上にはしらすおろしが一鉢。
ここでJ.C.、巷の食堂・居酒屋に対して苦言を呈したい。
釜揚げしらすと大根おろしはどちらも大好き。
品書きに載っていれば30%を超える確率で注文する。
三度に一度は頼んでいることになる。
これは全盛期の王・長嶋の打率に匹敵するくらいだ。

ところが外食時のしらすおろしは
肝心のしらすがホンのチョッピリしかなく、
ケチくさいことはなはだしい。
お通夜のご焼香じゃあるまいし、
もちょっと気前よくバラまいてくれないもんかネ。

=つづく=