2016年2月9日火曜日

第1291話 十年ぶりの中華そば (その3)

一度は袖にされた「一力」の白地に赤い暖簾を見て胸が弾んだ。

 ♪  誰もが物語 その1ページには
  胸はずませて 入ってゆく
  ぼくの部屋のドアに 書かれていたはずさ
  「とても悲しい物語」だと
  窓の外は雨 あの日と同じ
  肩を濡らした君が
  ドアのむこうに 立っていたのは  ♪
         (作詞:伊勢正三)

イルカが歌った「雨の物語」がリリースされたのは1977年。
作詞・作曲は元かぐや姫のメンバー、伊勢正三である。
イルカの持ち歌では世紀の名曲として評判の高い、
あの「なごり雪」より好きだ。
上記はその2番。

またもや脱線転覆するのを承知のうえで
1番を紹介してみたい。

 ♪   化粧する君の その背中がとても
   小さく見えて しかたないから
   僕はまだ君を 愛しているんだろう
   そんなことふと 思いながら
   窓の外は雨 雨が降ってる
   物語の終りに
   こんな雨の日 似合いすぎてる  ♪

もう20年も以前。
当時のGFがちょくちょく口ずさむので
いつの間にか完ぺきに覚えてしまった「雨の物語」。

ある日ふと思った。
何も一緒に出かける前に
相手の化粧するうしろ姿を見守ってなくとも
よさそうなもんじゃないか?
オトコとしてちょいと女々しいんじゃないの?

その疑問を率直にぶつけてみたら
言葉より先に人を哀れむような視線が返ってきたぜ。
おもむろに口を開いた彼女の言うことにゃ

「アナタって見えないヒトねェ。
 二人は一緒に出かけたりしないの」
「じぇじぇ(当時この言葉は世に出てなかったが成行きで)、
 違うんかい? まさか化粧してからベッドインじゃないだろ?」
「バ~カ! バカにつけるクスリはないわネ」
「じゃあ、いったい何なんだ?」

=つづく=