2016年2月16日火曜日

第1296話 サメとカスベの一騎打ち (その3)

JR御徒町駅前から上野広小路に移動する。
移動といってもたかだか徒歩1分の距離である。
やって来たのは上野松坂屋の地下1階、いわゆるデパ地下だ。
フロアの北側の端にある鮮魚コーナーは
1年ほど前まで正反対の南端にあった。
以前のほうが広く、品揃えも豊富だったような気がするが
そのぶん青果コーナーの充実を感じる。

ここで遭遇したのサブタイトルにあるサメとカスベであった。
やっと出てきやがったか! ってか?
いや、お待たせしました。
満を持しての登場です。
まぐろ中落ちとしらす干し、
それにすりおろした長芋と大根だけでは
ハナシの種になりやせんからネ。

サメとカスベ、ともに軟骨魚類。
サメはともかく、カスベは初耳という方も少なくないでしょう。
カスベはエイ(鱏)のことであります。
ちなみにスキンダイバーに憧憬されるマンタは
オニイトマキエイのみを指す名称です。

松坂屋で見つけたサメにはアブラツノザメと表記があった。
アブラツノザメのサイズは1~2メートルでちょうど人間と同程度。
サメとしてはもっとも小さい部類ではなかろうか。
普段、デパ地下で見掛ける、
モウカザメ(ネズミザメ)は2~3メートルほどあるから
パックの中の切り身を見てもその小型性が一目瞭然だった。

ふ~む、珍しいサメだなァ。
値段もずいぶん安いねェ。
何と100グラム=100円なのだ。
とにかく試してみなくちゃハナシが前に進まない。
300グラムほどのパックをバスケットに放り込んだ。

お次は隣りのカスベだ。
エイにもガンギエイ、アカエイ、メガネカスベなど、
さまざまな種類があるが
通常はカスベの表記があるだけで
消費者に詳細が伝わることはない。
目の前に並んでいるのはおそらくメガネカスベだと思われた。

サメはめったに買わないがカスベはちょくちょく購入する。
こちらは100グラム300円近い。
そんな高級魚ではないはずなのに
なぜか割高感のある値付けであった。
それでもみずみずしい身肉をながめていると、
買いたくなる、食べたくなる。
ハイ、イン・マイ・バスケット!

300グラムに250グラム、計550グラムの軟骨魚類。
こいつは一晩じゃ食い切れやせんぜ。

=つづく=