2016年2月22日月曜日

第1300回 パキスタンの思い出 (その1)

先日、朝日新聞のコラム「特派員メモ」に目がとまった。
サブタイトルに
 ◆イスラマバード 国営航空 正常化を
とあった。
前半分だけ抜粋してみましょう。

国営のパキスタン国際航空(PIA)のプロペラ機で
地方都市に降り立った時のことだ。
30人ほどの乗客と預けた荷物を待っていると、
地上職員がやってきて言った。
「荷物の格納庫は空っぽでした」。
信じがたいが、乗客の荷物を積まずに飛んだという。

こんなこともあった。
出発ロビーで搭乗を待っていると、
PIAのパイロットや乗務員、地上職員が駐機場から、
わらわらと引き揚げ始めた。
突然のストで出発は4時間遅れた。
別の日には、出発地も到着地も快晴なのに
「悪天候でキャンセル」だったこともある。

いやはやトンデモない国営航空があったものだ。

今は昔の1975年、2年ほど滞在したロンドンから帰国する際に
お世話になったのがPIAだった。
選んだ理由? 
一番安かったからであります。
エコノミー・クラスなら、どのキャリアに乗っても
そんなに違いはないッスからネ。

ロンドンからのフライトで最初の機内食はその日のディナー。
面白くも何ともないプレートが目の前に運ばれた。
ところが隣りの乗客、おそらくパキスタン人だったと思うが
彼の食事はドライカレーみたいな料理であった。
白いライスにキーマカレーが乗ってるタイプではなく、
カレーピラフみたいなヤツだ。
のちに判ったことだが、あれはマトン・ビリヤニに違いない。

食いしん坊のJ.C.、お仕着せのつまらんメシより
断然、ビリヤニが食べたくなったものの、
差し替えを要求する勇気が湧いてこなかった。
周囲を見渡すとパキスタン系の乗客はすべて現地食、
そうでない欧州系・東南アジア系はみなお仕着せなのである。

カレーかァ、しばらく食べてないなァ、
隣りをチラチラのぞくと、
オッサン、また旨そうに食うんだよネ。
こちらはただただ指をくわえるほかに手立てがない。
ところがおよそ10時間後、
待望のカレーにありつくことができたのでありました。

=つづく=