バスが来ないので千駄木から根津へ歩いた。
池之端の行きつけで昼飲み兼昼めしの予定だ。
根津の交差点を越えたとき、
不忍通りを上野方面から来る、
大塚行きのバスが見えた。
またもや反射的にかつ、衝動的に飛び乗る。
大塚へは東大農学部→菊坂下→
文京区役所→小石川を経て往くが
どこか途中で気に染まる店があるハズ。
頭の中の記憶をフル回転させる。
思い当たったのは1軒の日本そば屋。
東京屈指の桜の名所、播磨坂下で遭遇し、
そのうち行こうと決めていた。
黒澤明の「赤ひげ」の舞台となった薬草園、
今は小石川植物園の正門そばである。
「斉藤庵」なんぞと人の苗字に
”庵” を継ぎ足した珍妙な屋号だが
まっ、いいか。
店内は五分の入り。
接客のオバちゃんに促され、
テレビの真正面の卓に着く。
ビールはキリン一番搾り中瓶。
ラガーよりは相手にしやすい。
空腹でもないのに初訪の店では
ついつい、セットに目がいく。
注文一つで二つの味が楽しめるからだ。
ミニ丼セットがズラリ並ぶ中、
ミニエビかつ丼セット(980円)が珍しい。
「セットはおそばの量も少な目ですか?」
「いいえ、おんなじ量です。
少なくできますが、お値段一緒です」
「じゃ、ミニエビかつ丼をそば少な目でー」
「はい、かしこまりました」
エビかつ丼につい釣られちゃった。
そばは相当にコシが強い。
つゆも町場のそれとしては辛口だ。
ただし、肝心のエビかつがイマイチ。
自家製だろうか? 出来合いだろうか?
判然としないが、う~ん、イマイチ。
エビかつは飯よりパンとの相性が良い。
モスバーガーの海老カツバーガーとかネ。
お勘定は1580円也。
さっきバスで来た千川通りを北西に歩く。
界隈は飲食店が多い。
10分少々で猫又坂下に到達、此処は不忍通り。
自宅前を通る松坂屋行きのバスを待ちました。
「斉藤庵」
東京都文京区白山3-1-24
03-3811-1466