2025年10月1日水曜日

第3896話 北千住 馴染みの店が もう1軒

来ることの多い北千住を
この日も訪れた。
所用を済ませ、昼飲みのお時間。
ホームグラウンドの「幸楽」に
向かいながら思いとどまる。
たまにはヨソに行こう。

存在を知っていたが未訪だった、
「千住 845」の敷居を跨いだ。
コの字カウンターの両サイドに
テーブル席が配置され、
かなりの大箱である。
コの字に着き、ドライ大瓶をー。

つまみを慎重に吟味する。
朝食が遅かったため、
飲みものは普通にノドを通るが
食べものはストマックの許容量に
限界が生じている。

白羽の矢を立てたのは
馬肉赤身カルパッチョ。
するとコレが予想を上回る逸品。
薄切り馬刺しの上に
クレソン・ラディッキオ・
もってのほか(食用菊)が敷かれ、
上にたっぷりのパルミジャーノ。
イタリアン顔負けの出来映えで
食味も申し分なし。
冷えた菊正の樽酒に切り替えた。

数日後に再訪し、大瓶とともに
おすすめボードの一番目にあった、
秋刀魚刺しの発注に及ぶ。
すると今回もまた予想を上回り、
前回同様、舌鼓をポンポン。

生モノをもう一品いっとこう。
赤貝は切れていたが
ヒモなら用意できると云うので
ソレをお願いする。
こちらは秋刀魚ほどではなく、
まずまずの品質だった。

菊正の樽にスイッチし、
穴子の天ぷらを追注。
水準をクリアして
天つゆの塩梅も好い。

北千住の街に来れば
ほとんど「幸楽」一辺倒。
そこに強力なライバルが出現し、
今後はあっちに行ったり、
こっちに来たりが可能だ。
いずれにしろ馴染みの店が
1軒増えたことは誠に歓ばしい。

「酒と魚 千住 845(ハシゴ)」
 東京都足立区千住2-39
 050-5594-0528

2025年9月30日火曜日

第3895話 日暮れの里の リトル・ミャンマー

自宅最寄りのJR駅は日暮里。
此処はその昔、
日暮れの里と呼ばれていた。

駅に隣接する、
ステーション・ポートタワーに
ミャンマー料理店「門」が
開業したのはこの春のこと。
ラーメン店の居抜きである。

或る日、フラリと立ち寄った。
10人も入れば満員で
入口の券売機に向かうと
「ソレ今、使ってません!」
前の店の置き土産がそのまんま。
客は全員ミャンマー人で
邦人はわれ独りの完全アウェーだ。

カウンターの隅に着いて
ドライのレギュラー缶をお願い。
写真入りのメニューを眺めると
モヒンガー(魚出汁麺)と
クイッティアオ(米粉)は
理解できたがあとは皆目判らず。
クイッティアオの汁有りを通す。

叉焼麺と見紛うばかりに
厚切りの叉焼が4枚も。
あとは魚団子と半玉に空心菜、
おでんの大根みたいなのと
揚げ玉ねぎに砕いたピーナッツ、
そしてトップにはパクチーが。
食べ出があって味も好い。
すかさず缶ビールのお替わり。

隣りのミャンマー娘の料理に
興味が湧いて訊ねたら
メニューを指し示してくれて
モーラミャインアトッソン。
何のことやらサッパリ判らない。

「美味しいヨ」ー
野菜炒めみたいなのを指さし、
彼女がニッコリほほ笑んだ。
彼女はソレをおかずに
大盛りライスをもりもり。

翌週、再訪する。
この日もミャンマー人一色。
此処は日暮れの里に生じた、
リトル・ミャンマーである。

ドライの缶とソレを
オカズ&ライスともに半量で通す。
温かい炒め物と思った料理は
冷製の和え物だった。

具材は、油揚げ・米粉・もやし・
きゅうり・砕きピーナッツ。
辛味の効いたタレで和えてある。
うむ、うむ、イケるじゃないか。
半量でも多いくらいだが
もやしとカブと揚げ玉ねぎの
スープとともに完食した。

2缶飲んで会計は1800円。
次回は真鯛の出汁の
モヒンガーを試すつもりです。

「アジアン フード 門」
 東京都荒川区西日暮里2-20-1
 ステーション・ポートタワー
 070-8987-0287

2025年9月29日月曜日

第3894話 彼と彼女が 逝きました

今月11日のこと。 
中が良いのか悪いのか、
喧嘩の絶えない兄弟デュオ、
ビリー・バンバンの兄、
菅原孝が肺炎で亡くなった。

彼らのナンバーはデビュー曲、
「白いブランコ」や坂本冬美の
カバーで再ブレークした、
「また君に恋してる」より
「さよならをするために」、
この1曲がすべての J.C.である。

今でも忘れられない1972年夏。
年上の恋人・M子の住まいが
千葉県・市川市郊外にあり、
純真な青年は足繁く通った。

田んぼの中の一軒家で
蛙がゲコゲコ夜通し鳴いていた。
日曜の朝「さよならを~」が
ラジオから流れて
初めて聴く曲に胸が震えた。

翌年、旅先のナイロビから
空路ロンドンに入り、
金欠病に見舞われて働き始めたが
職場のレストランでBGMに
「さよならを~」を掛けたところ、
同僚のスペイン人、カナリア出身の
ミゲル・ゴンザレス・ロドリゲスが
ビューティフル・ソングと
痛く気に入って毎日、
リクエストするようになった。
忘れ得ぬ思い出である。

先週23日にはわが愛しの女優、
クラウディア・カルディナーレが
この世を去った。
彼女の主演映画で
大の気に入りは「ブーベの恋人」。

C・ルスティケリのテーマ曲も
強く印象に残っている。
日本語版はザ・ピーナッツと
いしだあゆみの競作となり、
それぞれにヒットした。

J.C.が観て来た映画の中では
「ブーベの~」の彼女が一番好き。
三白眼の上目遣いと
薄い上唇の下の厚い下唇。
あんな女(ひと)を恋人にしたい、
そう思ったものの、
いまだに実現していない。

この際、いい機会だから
2位と3位も公表しよう。
「シャレード」のヘプバーン。
「めまい」のキム・ノヴァク。
この二人でキマリです。

2025年9月26日金曜日

第3893話 独り宴の客となる

早稲田行きのバスを
上富士前で降りる。
メトロ南北線・駒込駅に向かい、
歩き始めたらいきなりの雨。
バスを降りたら雨が降り出した。

豪雨じゃないけど傘は必要な雨足。
テイク・ア・シェルター・
フロム・ザ・レイン の一手だ。
予備知識もないまま、
アチラ系中華に飛び込む。

「宴客」とはまた奇妙な店名。
屋号に ”客” をあしらう店を
他に知らない。
まっ、いいけどサ。

ドライ中瓶に皮付きピーナッツ。
中華特有のものだが小粒で旨い。
五目そばの麺を半分にして貰い、
半炒飯とともに通した。
ともにまずまずの仕上がりだ。

中瓶をお替わりして菜譜に見入る。
晩酌セット(1300円)がいいネ。
A.飲み物  B.料理  C.点心
1品づつ択ぶことができる。

翌週、舞い戻った。
瓶ビールはセットの対象外につき、
同じアサヒの中ジョッキと八宝菜、
小籠包のトリオでお願いした。

中生は1分で飲み干し、
すかさず中瓶に切り替える。
泡の量を自分で調節可能な瓶は
J.C.のビール愛をしっかりと
受け止めてくれる。

八宝菜がとても好い。
小海老・イカ・帆立・豚バラ・
うず玉・キクラゲに
野菜もいろいろ入り、
ヤングコーンやフクロ茸までも。
上品な薄味に奥行きを感じた。

小籠包もまた好く、
飛鳥山の行きつけに肩を並べる。
中瓶をお替わりしたあと、
甕出し紹興酒にスイッチした。

「宴客」にて独り宴の客となり、
秋の夜長を存分に楽しむ。
白玉の歯にしみとほる秋の夜の
酒は独りで飲むべかりけり

若山牧水の名歌をちょいと
アレンジさせていただきました。

「宴客 駒込店」
 東京都豊島区駒込2-7-6
 03-3949-6959

2025年9月25日木曜日

第3892話 プランツォは ニョッキだけ

何かと出掛ける機会の多い、
神田神保町である。
この町のことはすべて
知り尽くしたつもりだが
つい先日、今まで
気づかなかった店に出逢った。

「Chat Gatto」は不思議な店名。
"chat" は仏語で猫。
"gatto" は伊語でやはり猫。
猫好きの J.C.は理解できたが
”猫々”って何じゃらほい?
仏料理・伊料理の枠にとらわれず、
伸び伸びと料理する、
そんな意味を持つらしい。

しかもこの店が変わっているのは
水・木・金と3日間限定の
プランツォ(昼食)が
ニョッキだけなのだ。

その日は2種のソースから。
鶏としいたけのトマト煮込み
しらすセロリのガーリックバター
しらす(チチェニエッリ)を
お願いしてみた。

さて、ビール。
瓶は最も苦手なエビスのみ。
生はちと理解に苦しむのが
壁に貼られていた。
本日の生ビール 1杯1000円
柚子のばかたれエールのラガー版
「ばかたれラガー」

ほとんど意味不明ながら
エビスよりマシだろうと
発注に及んだものの、
結論から云ってしまえば失敗の巻。
不味くはないけど美味くもない。
それにたかだか250ccで
1000円はないだろう。

野菜たっぷりのスープと
天然酵母パンがサーヴされ、
これは好かった。
でもネ、しらすがデカい。
育ち過ぎている。
ニョッキも12個は多く、
食べ切れなかった。

夢破れて山河あり。
障子破れて・・・
おっと、これは昨日も書きました。

「Chat Gatto(シャガット)」
 東京都千代田区神田神保町1-54-19
 03-5281-8660

2025年9月24日水曜日

第3891話 松風騒ぐ 根津の町

この日の昼もまた文京区・根津。
「蕎麦 松風」を初めて訪れた。
♪ 松風騒ぐ 丘の上 
  古城よ独り 何偲ぶ ♪
三橋美智也の歌声が
聴こえてきたけど浪花の小姑が
ぶつぶつ云うのでやめとく。

毎日のように正午には
数人の列ができ、
彼らの肩越しに中をのぞくと
席数は15席あるかないか、
小さな店である。

ビールはキリンラガーの生のみ。
まずは通して品書きの吟味だ。
わさび茎醤油漬けを見つけ、
笑みをもらして即注に及ぶ。

この一品が優れモノ。
立派な茎だから
本体のわさびは五年物、
いや、七年物かも知れない。

板わさも行っちゃおう。
鈴廣か籠清と推察される、
良質なかまぼこに
おろし立てがタップリ。
結構な量のわさび漬けも
添えられていた。

生は2杯目、すぐ3杯目。
わさ茎も板わさもまだ残っている。
山形の銘酒・鯉川を冷たいので
お願いすると常温だけだという。
いいでしょう、いただきましょう。

締めそばはすでに決めてあった。
ピンク・グレープフルーツの
冷やかけというヤツだ。
どんなのが出て来るのか
興味津々もいいところ。

でもネ、見てみてガッカリ。
ピンクというよりルビーが
半月形にスライスされ、
10片もそばに乗って来た。
夏によく見るすだちそばの
グレープフルーツ版だ。

夢破れて山河あり。
障子破れてサンがあり。
もりそばにしとけばよかった。
細打ちのそば自体はいいので
許す、赦す、J.C.はユルす。
お勘定は6300円でした。

「蕎麦 松風」
 東京都文京区根津2-37-12
 03-6882-0842

2025年9月23日火曜日

第3890話 黒・白重に 目が白黒

文京区役所で所用を済ませ、
ちょいと早いが昼めしのお時間。
東京ドームの脇をすり抜け、
水道橋にやって来た。

JR総武線・水道橋駅にほど近く、
1軒の鰻屋の店先で足が停まる。
此処は千代田区・神田三崎町。
「うな重」と書いて
「UNASHIGE」と読ませる。

店頭にパネルが2台。
苦手な J.C.がとまどってると
中からスタッフの女性現る。
アジア系でミャンマーかな?
こうなったらもう逃げられない。
今日のランチは此処でキマリだ。

品書きは明瞭にして単純。
蒲焼きの乗った重箱が黒重。
白焼きになると白重。
それぞれ並・大・特大があり、
1200円・1700円・2200円は
うなぎのサイズによるもの。

彼女の助けを借りながら
並の黒重とハイネケン小瓶を購入。
卓上の大根醤油漬けをアテに
オランダビールを飲みつつ待つ。

10分ほどで調い、
カウンターに出向いて受けとる。
吸い物は自分で作った。
永谷園の茶漬けみたいな粉末に
ポットの熱湯を注ぐ。

いや、予想以上の美味しさに
正直驚いてしまった。
よくこの値段で
こんなうなぎが出せるものだ。

翌週舞い戻り、白重を試す。
こちらもなかなかだったが
白焼きだけでは
ごはんのおかずに成りにくい。

蒲焼のタレと異なるのは
自明の理ながら
何かもう一工夫ほしい。
酒のつまみにはよかろうが
酒類はビールの小瓶だけだ。

黒重&白重を食べ比べ、
驚きの廉価に
目を白黒させたものの、
今のままだと黒重がオススメ。

安いうなぎ屋なら
近頃、もの凄い勢いで全国に
繁殖する「鰻の成瀬」より、
「UNASHIGE」を格上に
ランク付けしました。
一度食べてみて下さい。

「UNASHIGE 水道橋本店」
 東京都千代田区神田三崎町2-8-10
 03-6268-9303

2025年9月22日月曜日

第3889話 「幸楽」をあきらめて

やれ振込みだ、やれ引き出しだと
銀行に用事ができると
ほぼ毎度、北千住にやって来る。
口座を持つ3つの銀行がすべて
10m四方に建ち並び、便利だ。

用事を済ませ、昼飲みのお時間。
行きつけの「幸楽」に来たら
なぜか店が閉じている。
本日休業らしい。
ヨソに廻ろう。

ふと、思いついたのは
東武伊勢崎線で2ツ目の五反野。
ここにも「幸楽」がある。
「渡る世間は鬼ばかり」の舞台も
「幸楽」だが、あちらは町中華。
北千住と五反野は大衆酒場だ。

「幸楽」にフラレて「幸楽」に
流れるのもまた一興なり。
先日も行きつけのスタジオで
幸楽に逢ったばかりだしネ。
おっと、アレは好楽師匠でした。

伊勢崎線のプラットフォームへ。
ありゃ、電車が行ったばかりだヨ。
けっこう待たなきゃならない。
J.C.は待つのが嫌いである。
荷物を持つのも大嫌いだ。
”待つ”のと”持つ”のが
二大苦手分野である。

一計を案じ、階段を降り昇り。
逆方向の浅草行きに乗った。
「幸楽」をあきらめた瞬間だ。
行く先は決めてないが
どこでもいいやという気分。

4ツ目の東向島で下車した。
元の駅名は玉の井。
永井荷風の名著、
東奇談」の舞台が此処である。

大正通りを西に歩く。
「柏屋食堂」の暖簾が見えてきた。
最後の訪問はいつだったっけ?
帰宅後、調べたら2006年8月。
19年ぶりである。
朝7時に開けるが昼過ぎには閉店。
ちゅうちょなく敷居をまたいだ。

見覚えのあるオバちゃんが
立ち働いている。
往時、この人は娘だった。
「おかずが少なくてすみません」
そう言いながらペコリと
頭を下げるのが常。
好い印象が今も残っている。

アルコール類は出さない、
という貼り紙が1枚。
以前はこうじゃなかったがネ。
まっ、いいでしょう。
我慢しよう。

小皿のおかずは客が勝手に択ぶ。
ピーマンのベーコン巻きと
イカフライを差し出し、
電子レンジで温めて貰う。
半ごはんと味噌汁で700円。
味はそれなりだが
相変わらず安いや。

駅に戻り、浅草へ向かう。
あ~あ、今日もまた、
ドライ大瓶と電氣オールドに
なりそうな気配であります。
何せまだ、しらふですから。

「柏屋食堂」
 東京都墨田区墨田1-5-14
 03-3611-3055

2025年9月19日金曜日

第3888話 越後のワインを 酌み交わす

しばらくぶりに S蘭と夕食。
上海生まれのめしともだ。
日本語はほぼペラペラで
実によくしゃべる。
広東出身じゃないかと
疑うほどに饒舌である。

田端駅ビルのコーヒー屋にて
エスプレッソを飲みながら
二人でめし処の選定に入る。
意見の一致を見たのは
御徒町駅前のビル階上、
「吉池食堂」である。

JR山手線で移動。
待ち時間は3分だったが
案内されたのは窓側とは反対、
眺めのまったく無い大部屋だ。

その差は文字通り雲泥で
択ぶことが叶わないのは
当店の大きな欠点である。
まっ、致し方ないやネ。

S蘭は15時に勤務先で
賄いを食べて来たし、
J.C.も少食ときては
注文は自ずと控えめになる。

当方はさっそくドライ中瓶だが
相方はほとんど酒を飲まない。
辛うじて赤ワイン少々。
越後ワイン雪季を1本取った。
彼女が飲み切れるハズもなく、
酌み交わすことになる。
けれどあまり美味くなかった。

新潟・黒崎産茶豆、
北海さつま揚げ、
時鮭のポテトフライをお願い。
コレはフライドポテトではなく、
ポテサラを時鮭の薄切りで包み、
パン粉を付けて揚げたもの。
独創性が気に染まり、
来れば頼むの一品となった。

越後の赤が残り少なくなり、
J.C.は日本酒に切り替える。
まずは好きな銘柄、
麒麟山のグリーンボトル。
続いてこれまた気に入り、
冷たい越乃寒梅と来たもんだ。

おしゃべりな真珠ならぬ、
S蘭が咲かせた、
上海の思い出話に耳を傾けるうち、
上野の夜は更けていきました。

「吉池食堂」
 東京都台東区上野3-27-12
 御徒町吉池本店ビル9F
 03-3836-0445

2025年9月18日木曜日

第3887話 ミニ盛りうれしや 泪橋

昭和11年撮影の出前の写真に
感心させられた日本そば店、
「ますや」もそうだが
走るバスの車窓から
見初めた店は少なくない。

台東区と荒川区の区界にある、
「十一屋」もそんな1軒だ。
明治通りの三ノ輪と
泪橋のちょうど中間点で
地番は日本堤、吉原にほど近い。

初回は1階が満席につき、
2階の入れ込みに通された。
ドライ大瓶と生桜海老かき揚げ。
エリアの人気店とあって
かき揚げは水準に達していた。

お運びのオバちゃんが
そば屋らしくなく、
家庭の味と云う玉子焼きで
沢の鶴の冷酒も飲んだ。

当店の好いところは
御飯もの・そば類ともに
ミニの品揃えが豊富なこと。
少食派の身にはありがたい。
ミニせいろで締めたが
そばも水準をクリアしていた。

2回目は大瓶と豚レバーカツ。
そしてさすがにミニはないけど
ラーメンを試してみた。
日本そば屋のラーメンは
当たりが多く期待したが
残念ながらイマイチ。

そして3回目はいつもの瓶に
イカかき揚げとミニかけそば。
桜海老ほどではないが
イカのかき揚げもなかなかだ。

先週はちよいと頑張った。
大瓶とミニ冷やしたぬきを通し、
此処では御飯ものをまだ
食べてないことに気づき、
ミニソースかつ丼をお願い。
ソースかつはヒレが多いが
当店は珍しくロース。

いくらミニとはいえ、
わがストマックに麺・飯両方は
無謀な挑戦、よって腹パンパン。

あしたのジョーの地元で
減量に苦しむボクサーを尻目に
バカスカ食ってたんじゃ、
丹下段平の大将に
ドヤされること必至なりけり。

「十一屋」
 東京都台東区日本堤2-31-9
 03-3872-5492

2025年9月17日水曜日

第3886話 ワンプレートはコンフィ&バーグ

最近はかつて棲んだ町、
文京区・根津の店を
訪ねることが増えた。

近所にいた頃は
あまり行かなかったのに
離れてみると行きそびれた店が
思い出されたりもして
遅ればせながらという気になる。

仏料理「MOMO」もそんな1軒。
何でもシェフのお名前が
大桃サンと来たもんだ。
友人・知人の評価は高い。

13時前に入店するとほぼ満席。
うなぎの寝床みたいな造作は
たった16席しかない。
しかも老若織り交ぜて女性ばかり。
一人だけオジさんが居たが
女湯に飛び込んだ感否めず。

ほとんどの客が注文するのは
ほぼ一択のワンプレートである。
骨付き鶏モモ肉のコンフィ&
ハンバーグ(¥1375)
当然のように J.C.も倣った。
ビールはハートランドの小瓶。
晴れ風の小瓶は無いのだろうかー。

パンかライスのチョイスは
ライスが雑穀米入りなので
普段は食べないくせに
食指を動かした。

プレートには主役2品のほか、
フリッタータ(伊オムレツ)・
にんじんサラダ・ゆでインゲン・
ほうれん草&もやしナムル。
栄養バランスは良さそうだ。
パンにすりゃ好かったかな?
思いつつ、雑穀米をモグモグ。

それなりに美味しくいただいたが
当店はず~っとこのメニュー、
ナントカの一つ覚えで
まったく変わることが無い。

夜の献立のヴァリュエーションは
さすがに増えようとも
これで客入りは
ちっとも悪くないんだから
不思議と云えば不思議だ。
小瓶をお替わりして
会計は約3千円でありました。

「レストラン MOMO」
 東京都文京区根津2-15-15
 050-5593-9524

2025年9月16日火曜日

第3885話 只見線 乗っていたのは 25分

鶴ヶ城をあとにしたバスは 
JR只見線・会津柳津駅へ。
只見線は会津と魚沼を結ぶ、
風光明媚な路線である。

只見川沿いの景色を楽しめるが
一番の眺めは川に架かる橋梁と
そこを走ってゆく列車の姿だ。
だけど汽車に乗っていたら
それを拝むのはインポッシブル。

富士山に登ってしまったら
その雄姿を見ること能わず。
NYの夜景もイーストリバーを
渡ってブルックリンに行かずば、
眺められない。

列車に乗っていたのは
たったの25分だけだ。
60年前のTVドラマ、
「乗っていたのは二十七人」を
久しぶりに思い出した。

会津宮下で下車。
参加者が募らせる不満は
TDも承知しており、
遊歩道を5分ほど歩くと
第一只見川橋梁を臨む、
絶景スポットに着く。

これにて今回の旅程は終了。
前日に降りた新白河へ戻る。
こういうツアーは
列車でも航空機でも
帰りの便に遅れたら一大事。
駅・空港に相当早く到着する。

ご多分に漏れず、
新白河で1時間の自由時間。
メンバーはみやげ物の購入に
忙しいが J.C.は晩酌を目論む。

駅そばで営業していたのは
チェーン居酒屋「はなの舞」のみ。
ぜいたくなど云えやしない。
ビールもキリン銘柄のみ。
人気の晴れ風を初めて飲んだ。
つまみは本日のおすすめ。
石巻産生ガキ ¥590→¥295
3個発注に及んだ。

おっとぉ、晴れ風が美味い。
このスッキリ味は今まで
キリンに欠けていたものだ。

突き出しのおひたし登場。
お運びの女の子に
「これはツルムラサキだネ?」
「エッ? あの、訊いて来ます」
「アッ、いいヨ、いいヨ、
 間違いないから」

戻って来て
「ツルムラサキでした」
「でしょ?」
そしたら彼女、両手の親指を
バッチリ立てやんの。

可愛い顔して思い切ったことを
するもんだと呆気に取られる。
帰京後、知り合いに話したら
このポーズは最近、
若い娘や子どもの間で
大流行りとのことでした。
オジさんは全く知りませんでした。

「はなの舞 新白河東口店」
 福島県西白河郡西郷村
 大字小田倉字道南114
 0248-21-2088

2025年9月15日月曜日

第3884話 城そっちのけ 会津若松

飯盛山をあとにして
呑気な一行は鶴ヶ城へ。
珍しくTDが2時間の余裕を
与えてくれて一同ニッコニコ。
ゾロゾロと追手門に向かう。

しかし一計を案じたJ.C.は
ここからが忙しい。
というのもぜひ、
訪れたい店が1軒あったのだ。
城なんかどうでもよかった。
そっちのけである。

バスの運チャンに訊ねたのは
会津若松駅までの距離。
「歩いたら何分くらい?」
「時間が無くて歩けませんっ!」
「エッ? じゃ、クルマだと?」
「それなら10分です」

鶴ヶ城公園駐車場のみやげ物屋で
タクシーを呼んで貰おう。
しかるに自分で呼べと言われ、
電話番号を訊いて掛けた。
店の予約も入れておく。

馬肉専門店「鶴我本店」は
会津若松駅のすぐそば。
開店間もない11時45分に着き、
個室に通された。

ドライ中瓶を飲みつつ、
分厚いメニューを繰る。
ロース・レバー・コウネ、
三種盛合わせと迷ったものの、
当店は日本有数の馬刺し処。
出来れば赤身を食べ比べたい。

スタッフのオニイさんに訊ねたら
ソレはランチセットなら
ご用意できるとのこと。
小鉢類や茶碗蒸しが付き、
必然的に量も増えるが仕方ない。

最初に馬バラで
出汁を取った吸い物が登場。
骨付き肉も一片沈んでいた。
鶏ガラとは違う滋味にあふれる。

馬刺しは三種すべて赤身。
モモ・ロース・ヒレである。
色鮮やかなのはヒレ。
そして驚いたことに
一番柔かいのはモモだった。
辛味味噌を醤油に溶いていただく。

小鉢は、馬バラこんにゃく煮・
ユビヌキひじき和え・馬すじ佃煮・
小松菜ひたし・大根醤油漬け。
ユビヌキは馬ハツの周りの大動脈。
ほかに冷やし茶碗蒸しと
焼き麩&わかめの味噌椀。
ごはんは少な目にして貰った。
会計は3388円とそれなり。

会津若松駅前をサクッと歩き、
空車が並ぶ駅前から鶴ヶ城公園へ。
城内を見て廻るヒマなどなく、
お濠越しに天守閣を眺めました。

「鶴我 会津本店」
 福島県会津若松市駅前町6-12
 0242-29-4829

2025年9月12日金曜日

第3883話 白虎隊を偲ぶ

前日の夕食時は
生ビールをしこたま飲んだが
食後のラウンジでは
カンパリ・ソーダと
バカディ・コークを
1杯づつにとどめておいた。

おっと、コーラは
コカコーラではなく、
ペプシだったから
バカディ・ペプシが正しい。
バカディはラム酒である。

今朝は6時に目覚め、
近くの毘沙門沼周辺を散策。
途中、オバちゃん二人連れに逢う。
同じツアーのメンバーだ。
何でも道に迷って界隈を
ウロウロしていたらしい。

TD(ツアー・ディレクター)が
配布してくれた地図を
手にしていながらの有様。
四半世紀も前、
ベストセラーとなった書籍に
「地図の読めない女
 話を聞かない男」
ソイツを思い出した。

先導して展望台に立つ。
沼自体はどうってことないが
カタチの整った表とうらはらに
荒々しい裏磐梯の姿を
眺めたことは収穫だった。

ホテルで軽い朝食を済ませ、
最初の観光目的地へ。
会津若松市の飯盛山に到着。
若き白虎隊、終焉の地である。

標高314mの山は
スロープコンベアで
ほぼ山頂まで行ける。
正面の石段はキツいものの、
左手に旧参道があって
コンベアなど無用と思われた。
厳かな空気も損なわれるしネ。

十九士の墓、三十一士の墓、
飯沼貞雄の墓に手を合わせ、
白虎隊自刃の地からはるか
豆粒のような鶴ヶ城を臨む。

若くして命を散らした、
彼らを偲び、心が痛んだ。
神風特攻隊まで脳裏をよぎり、
せつなさもこみ上げる。

さざえ堂、弁天洞門と回った。
思うにこのツアーは
目的地での滞在時間が短かい。
そのぶん移動に時間が掛かる。
本末転倒というほかなく、
帰ったら投書しておこう。

2025年9月11日木曜日

第3882話 大内宿のねぎそば

この春、半ば衝動的に
応募した団体ツアー第4弾。
今回は裏磐梯五色温泉である。
此処は52年前に一度訪れた。
山形県・米沢市を訪ねた際、
当地の友人に連れてこられた。

よってJ.C.の狙いは
五色温泉に非ず。
茅葺き屋根の集落、大内宿と
白虎隊終焉の地、飯盛山だ。

東京駅から来る新幹線に
上野で途中乗車して合流し、
福島県・新白河駅に到着。
バスで一路、大内宿へ。
下野街道の宿場町は
旅人の宿泊より昼食を支えた。

よくもまあ、こんな集落が
残ったものよと感心させられる。
歩き始めて道筋の中ほど、
高倉神社に参拝し、
街道のどんつき、見晴台へ。

集落の全貌を眺め、
戻り始めてほどなく、
「大和屋」の暖簾を潜った。
一番人気の「三澤屋」は
時間が掛かり過ぎて
バスの出発に間に合わない。

スーパードライの中瓶と
名物のねぎそばを所望する。
冷・温あるうち、冷をー。
1本丸ごとの長ねぎが
どんぶり上に横渡し状態。
コレを箸代わりにするのが
本来の食べ方である。

太打ちは東京でいう田舎そば。
コシが強く、噛みしめると
そばの香りが立ち上る。
冷やがけスタイルのつゆも好い。
ねぎは辛くなくバリバリいける。
箸代わりにはせず、箸で食べた。

名物といえどもそこは観光地、
期待しなかったが驚くほど美味。
調布の深大寺そばより好きだ。

バスは会津若松をすり抜け、
裏磐梯の五色沼へ。
毘沙門沼近くのホテルで
夕食は和洋中のビュッフェ。

ありとあらゆる酒が
飲み放題とあっては
晩飯より晩酌に重きをおく、
 J.C.でありました。

「大和屋」
 福島県会南津郡下郷町
 大字大内字山本6
 0241-68-2911

2025年9月10日水曜日

第3881話 ちょっとだけヨの「一寸亭」

餃子20個を食った翌日。 
よせばいいのに
今日も餃子という気になった。
ついこの間、TVで観たばかりの
田辺靖雄が歌い出す。

♪ どうにもならない 
   愛だとわかっていても
      お嫁にゆきたい 
      あなたと暮らしたい
      馬鹿ね 馬鹿ね 
      よせばいいのに
      駄目な駄目な 
   本当に駄目な
      いつまでたっても 
      駄目なわたしね   ♪
  (作詞:三浦弘)

「よせばいいのに」は競作だが
三浦弘とハニーシックスの
オリジナルは1976年のリリースで
作詞・作曲ともに三浦弘本人。
大阪の小姑は知らん歌だろうな。

それはそれとして谷中銀座から
ちょいと入った「一寸亭」へ。
コレは「ちょっと亭」と読む。

何度か利用しているが
2年ほど前にタンメンを食べ、
あまりのヒドさに足が遠のいた。
餃子は好かったのを思い出し、
Give You One More Chanse.

13時に行ってみたら
ずいぶん変わっていた。
いや、店はそのままだが
メニューが名代のもやしそば、
炒飯、餃子の3種のみで
「一寸亭」は文字通り、
”ちょっとだけヨ” になっていた。

営業時間も夕方には店仕舞いして
夜は閉めてしまう。
でも客は入れ替わり立ち替わり、
引きも切らない。

ドライ大瓶を飲みながら
焼き上がりを待つ。
「亀戸餃子」より大きめが6カン。
うん、美味いネ。
いったい全体、
あのタンメンは何だったんだ?

3種類しかないんじゃ、
みんな食っちゃえ!
翌週にはもやしそばを
麺も頭も半量にして貰い、
翌々週は炒飯をー。
みんな美味い。
繁盛の理由がよく判った。

メニューには無いが
半炒飯の存在を識り、
最近はもっぱら
大瓶&半炒飯をいただいてます。

「一寸亭(ちょっとてい)」
 東京都台東区谷中3-11-7
 03-3823-7990

2025年9月9日火曜日

第3880話 餃子を20個 食いやした!

朝食後の紅茶を飲みながら
ボンヤリ考えていた。
ランチは何を食べようかな?
というより何処で飲もうかな?

そうだ! 餃子でビールを飲もう。
餃子なら江東区・大島、
「亀戸餃子 大島店」が一番。
北区・飛鳥山、
「豫園飯店」が二番。

さァ、大島へ出掛けよう。
いや、ちょっと待てヨ。
「亀戸餃子」ならば、
大島店はもとより、
錦糸町や両国にも行ってるが
亀戸本店はずいぶんご無沙汰。
日暮里駅前から
亀戸行きのバスに乗り込んだ。

11時半に到着すると
早くも6人が待っていた。
飲まずに食うだけの客も多く、
回転が早いから10分足らずで入店。

ドライ大瓶と電氣ブランを通す。
餃子は2皿10個がミニマムだ。
「亀戸餃子」は全店、
同じところで製造される。
よって物自体は一緒、
変わるのは焼き方だけである。
相変わらず本店は焼きが強い。

目の前のオバちゃんが
お替わりを奨めてくれるが
これから錦糸町店に行くから
丁重に辞退し、お代は1650円也。

ひと駅歩いて錦糸町。
此処でも3分ほど待って入店。
当店はミニマム1皿5個。
本店は餃子以外に何もないが
こちらは麺類や炒飯も提供する。

ドライ大瓶と1皿。
さすがに1皿じゃ気が引けるので
続けて老酒ともう1皿。
焼き方は本店と大島店の中間だ。
ナリは小さめながら20個食ったら
少食派にはこたえ、腹いっぱい。
お代は1740円。

ちなみにつまみのもやしは
本店は無料だが錦糸町は有料で
165円だったかな? 
ケチったワケじゃないけど
注文しなかった。

今後はさっきの口上を言い訳に
1店限りにしとこう。
あまり注文しない餃子だが
他店のモノも試してみようかな?
錦糸町駅前から
日暮里行きのバスに乗りました。

「亀戸餃子 本店」
 東京都江東区亀戸5-3-4
 03-3681-8854

「亀戸ぎょうざ 錦糸町店」
 東京都墨田区江東橋3-9-1
 03-3634-9080

2025年9月8日月曜日

第3879話 あかばね あさざけ 酒場のハシゴ

自宅に排水管工事が入るため、
そういうのが大嫌いな J.C.は
立会いを管理人さんに任せて
家を一目散に早く出た。

出たら当然、飲むのが当たり前。
昼飲みには事欠かないが
朝飲みは選択肢が狭まる。
朝から飲める店は北区に多い。

かつての軍都が集中して
夜勤明けの労働者のために
早朝から店を開ける伝統が
今でも残っているのだ。

JR京浜東北線・赤羽駅下車。
到着した「いこい 本店」は
11時開店だと云う。
近くの「いこい 支店」は
7時から開けていると云う。

ドライ大瓶と小肌酢を通した。
珍しいカルダモンボールと
串カツを1本だけ貰い、
総額1200円での楽しみに満足。

11時になって本店に戻り、
天羽ハイボールと蛍烏賊醤油漬け。
蛍烏賊は「神谷バー」に軍配だ。
お替わりは栃尾の油揚げと酎ハイ。
支払いは1040円。

本店のスタッフは若い男女が多い。
翻って支店は年期の入ったオネバ。
貫禄がまったく違う。
J.C.はオネバの方が性に合う。
飲んでて気分が乗って来る。

お次は赤羽随一の酒場。
軍都中の軍都、この街に来たら
何はともあれ「まるます家」だ。
まずはサッポロ赤星中瓶を
お願いしてつまみの吟味。

おっと、なまず唐揚げがあった。
元々、川魚専門店につき、
鯉と鰻はいつでも食べられるが
鯰はなかなかお目に掛かれない。
大満足の会計は1300円。

3軒ハシゴして計3540円。
赤羽ならではである。
いきなり耳の奥で
五木ひろしが歌い出す。
♪ よこはま たそがれ
  ホテルの 小部屋 ♪

今日の J.C.は
♪ あかばね あさざけ
  酒場の ハシゴ ♪
でありました。
楽しき哉、わが人生!

「立飲みいこい 支店」
 東京都北区赤羽南1-5-7
 03-5939-7609

「立飲みいこい 本店」
 東京都北区赤羽1-3-8
 03-3901-5246

「鯉と鰻のまるます家 総本店」
 東京都北区赤羽1-17-7
   050-5890-2386

2025年9月5日金曜日

第3878話 そば屋の出前は曲芸師 (その2)

荒川区役所そばの日本そば屋、
「ますや」でタマげている。
出前の曲芸は日本ならではだ。
全世界に誇ってよいと思う。

驚きつつも菊正常温に切り替え、
天もりを追注した。
コシのあるそばに
天ぷらは海老・椎茸・玉ねぎ。
なかなかだった。
殊に玉ねぎが美味し。

半月後の再訪時は
冷やしたぬきそばと
とろろまぐろ小丼のセットをー。
何もまた同じものを食べなくとも
思いながら初回で味をしめた、
とろろまぐろの再食に及んだ。

此処へ来るとドライ大瓶と
菊正1合が定番となり、
この日もその線でいった。
チョコンと供される、
きゅうり浅漬け&たくあんが
少食の身にはちょうどよく、
何ともうれしい。

池之端の行きつけもそうだが
2枚づつのきゅうり&たくあんは
何軒もの日本そば屋で見てきた。
互いに示し合わせているとは
考えにくいが暗黙の了解なのかー。

先日は珍しいものを食べた。
荒川区の食事処では再三再四、
”あらかわ満点メニュー”
遭遇する機会がある。

女子栄養大学短期大学部と
荒川区と当該店が
三つ巴のコラボを見せる、
特別メニューはボリュームがあり、
栄養バランスにも長けた献立だ。

此処では
香り揚げ出し豆腐のおろしそば
でもねェ、何だかなァ・・・。
たっぷりのおろしはいいが
豆腐とそばがマッチしない。
豆腐って、麺や飯とは
相性がよくないんじゃないかな?
合うのは麻婆豆腐丼だけだ。

南千住の汐入地区に
同名店の「ますや」を見つけ、
ある日、店主に訊ねた。
「南千住の『ますや』さんは
 こちらの縁戚か何かで?」
「いや、いや、ウチは西新井。
 まったく関係ございやせん」

だけれども好奇心旺盛の J.C.、
知ってしまったからには
行かずにおられない。
近々、訪れるつもりであります。

「ますや」
 東京都荒川区荒川2-3-7
 03-3891-0993

2025年9月4日木曜日

第3877話 そば屋の出前は曲芸師 (その1)

若い頃はほとんど利用しなかった、
バスによる移動だが
最近はとても気に入っている。
何も見えないメトロでは
気付かなかった景色の楽しさ。
当たり前だろ! と言われても
まさに目からウロコがポロリ。

加えて好いことがもう一つ。
飲食店の新たな発見に繋がる。
これは何物にも代えがたい。
荒川区役所に近い、
「ますや」もそんな1軒だ。

浅草寿町行きのバスの車窓から
この日本そばの老舗を目視した。
素朴な佇まいなれど、
コレは佳い店に違いない、
そう、思わせるものがあった。
以来、何度かおジャマしている。

忘れられないのは初回。
右手にカウンター5席。
左手に4人掛けが5卓あり、
一番奥に2人掛けが1卓。
そこに案内された。

まずはドライの大瓶と
まぐろとろろを通した。
いわゆるまぐろ山かけだ。

ふと見やった壁に2枚の写真。
セピア色の撮影は昭和10年。
店頭に3人の男性が
今、出前に出発するところ。
3人の女性はお見送りである。

みなずいぶん担いでいるけど
うち1人がスゴいのなんのっ!
そばとどんぶりが15段重ねだ。
道中大変だろうが目的地に着き、
どうやって着地させるんだ?
これはすでにサーカスの世界。
彼らはまさに曲芸師である。

写真に写る屋号は「桝屋」。
住所は足立区栗原町とあった。
この地名は今も残り、
東武伊勢崎線・西新井駅の
北側に当たる。
いずれにしろ度肝を抜かれた。

=つづく=

2025年9月3日水曜日

第3876話 柿の木坂の灼熱地獄

目黒区は駒沢通りと環七が
交差する駒沢陸橋近くに
「華空間」なる中華料理店あり。
駒沢大学から大岡山へ走る、
クルマの車窓から建物を見たとき、
思わずわが目を疑った。

夜空に浮かび上がるその姿が
原爆ドームそっくりで
そのミニチュア版といった感じ。
帰宅後、調べてみて
「華空間」を識るに至った。

さっそく出掛けた。
最寄りは東急東横線・学芸大学。
でも、そこから10分以上歩く。
大して変わらんやと
一つ手前の祐天寺から向かった。

ところがこれが大失敗。
猛暑日に無謀なことをしたと
悔やんでみても
アフター・フェスティバル。
到着したときには
滝のような汗である。

しかも、この日の「華空間」。
エアコンが故障中と来たもんだ。
いや、地獄でっせ。
扇子なんか持ち歩いたことなく、
団扇代わりに菜譜をパタパタ。
焼け石に水である。

ビールのキリンラガーは
我慢するとして食べるのは
冷やし中華以外、何があろう。
もし此処が日本そば屋でも
普段は口にしない冷や麦か
そうめんになっただろう。

焼き豚・ハム・蒸し鶏の乗った、
ぜい沢な皿が運ばれる。
でも、暑さのせいか食欲がない。
頑張ったけど残した。
瓶のあと、同じキリンの生中は
しっかり1杯やっつけた。
食後のアイスコーヒーも飲んだ。

オモテに出て原爆ドームを再見。
環七を北から来れば見えるが
南からだと陸橋がジャマして
まず気が付かないなコレはー。

帰りも腹をくくり、
炎天下の徒歩を決め込んだ。
柿の木坂通りを真っ直ぐに
都立大学駅へ向かいました。

「華空間」
 東京都目黒区柿の木坂3-3-1
 03-3414-7562

2025年9月2日火曜日

第3875話 日曜日の朝ごはん

朝食は毎日、トーストを焼く。
でも、ときとして外に出る。
この日曜日もそうだった。
初めて訪れたのは
文京区・根津の「一卵亭」。
「下町たまご食堂」を名乗る店だ。

根津を含めた谷根千を
下町と呼ぶ人が少なくないが
J.C.的に此処は下町ではない。
自身が抱く下町の条件は
隅田川下流の左右500m以内だ。
上野のお山を越えたら
下町とは云えない。

それはそれとして
日曜日の朝8時過ぎに訪れると
カウンター5席のみの超小体な店。
先客はカップル1組だけだった。

「たまご食堂」を自認するから
たまご料理は何でも揃う。
茶碗蒸し以外はネ。
ただし、朝食は3種類に限られる。

=朝のサービスメニュー=
濃いたまごはんセット(680円)
ベーコンエッグセット(640円)
釜玉うどんセット(560円)

TKGを食べる習慣がないため、
うどんも滅多に食べないため、
一択のベーコンエッグをお願い。
目玉1個にベーコンたっぷり。
キャベツ&水菜サラダ、
生海苔味噌汁、ごはんは多めだ。

ビールがエビスしかなく、
最も苦手な銘柄につき、
梅酒のソーダ割りでお茶を濁す。

まずまず美味しくいただいたが
自宅のと、さほど変わらない。
それでも一般的に
満足度は高いものと思われた。

話は変わるが J.C.はたまごを
卵と書くことに抵抗がある。
よって普段は玉子と表記する。
これは以前、何かの読み物で
中国で卵は虫や蛙のそれを
意味すると知ったからだ。

上野のそば屋で知り合った、
山東省出身の青年がいて
彼に卵について訊ねたら
やはりそうだったが
鶏卵を卵と書いても
間違いではないとのこと。

でもネ、卵の字をよく見ると
まさに蛙の卵そのものじゃ
ございませんか?

「一卵亭」
 東京都文京区根津2-37-1
 03-5834-8909

2025年9月1日月曜日

第3874話 今年の夏も「美家古寿司」

ここ数年、夏になったら恒例の
「弁天山美家古寿司」。
相方も毎度のことにT子サン。
彼女の誕生日が八月で
その前後、あるいは当日に赴く。
お歳のせいか、五代目の姿なく、
六代目の真ん前に陣取った。

ドライの中瓶を注ぎ合いカチン。
いつも通りにチョコンと出たのは
まぐろ血合いの角煮。
さっそく握って貰う。
毎年、鮨種も食べる順番も
ほとんど一緒。
二人して同じものを1カンづつ、
2種同時にお願いして往く。

最初の平目昆布〆を箸でつまむと
酢めしがバラけた。
握り方が柔らかいのだ。
めし集めに箸を動かしていたら
平目が再び目の前に置かれた。

「ん? どしたのコレ?」
「リベンジですっ!」
そういうことかー。
今度は固めに握られていた。

今は亡き四代目を語りながら
いただいたものはかくの如し。
ヒットには〇、
クリーンヒットには◎を付けた。

〇平目昆布〆・さより・真鯛・
◎酢あじ・〇小肌・新いか・
平貝・〇車海老・しゃこ・
煮いか・〇かつお・玉子・
◎穴子下半身・◎穴子上半身

14カン、いや、15カンを堪能。
酢あじは初訪問の47年前から
まったく変わらぬシゴトぶり。
穴子にはあらためて日本一、
いや、世界一の折り紙を付けたい。

「今日はあまり食べられないの」
「あれ? どうして?」
「これから『志婦や』なんでネ」
「あゝ、よろしく言って下さい」

「志婦や」の若女将は
中学校で六代目の二年後輩。
大将は六代目妹と同級生なのだ。
実は J.C.、この二日前にも
「志婦や」を訪れている。

その際にあとで寄る旨を伝え、
上手いこと席を融通するよう、
お願いしてあった。
予約を受け付けない店なのにー。

鮨屋のあとにつき、
生モノは回避して厚揚げと
しらすおろしで飲み直す。
大女将が丁寧に焼き上げる、
厚揚げもまた世界一なのでした。

「弁天山美家古寿司」
 東京都台東区浅草2-1-16
 03-3844-0034

「志婦や」
 東京都台東区浅草1-1-6
 03-3841-5612

2025年8月29日金曜日

第3873話 4区を股に 5軒をハシゴ (その2)

葛飾区・新小岩の「たけうち」を
あとにしてお次の番だヨ。
もうほとんど食べられないし、
毎度毎度の「神谷バー」に頼ろう。

この日も混んでいたが
定番の3点セット、ドライ大瓶・
電氣オールド・蛍烏賊沖漬けをー。
左隣りに話好きのオジさんが座り、
談笑していると
右側に乳児を連れた若いカップル。
彼らとも話が弾み、
電氣オールドをご馳走してやった。

滞空30分でカップルに手を振り、
オジさんとは握手して
サヨナラ「神谷」。
そろそろ地元に戻ろう。

雷門のはす向かいから
池袋東口行きのバスに乗る。
心地よい揺れにウトウトしながら
気が付いたら西日暮里駅前。
今朝は此処のDocomoで始まった。
何のこたあない、
振り出しに戻ったワケだ。

次の道灌山下で下車。
谷中よみせ通りの入口である。
通りを往くと最近オープンした、
立ち呑み「呑平」が
口を開けて待っていた。

初めてだけど1杯だけ飲もう。
生はサントリー生。
何かつまみをと台湾腸詰をー。
これがドッサリ来ちゃって
半分残す羽目に陥る。

もういい加減に帰ろう。
と思いきや、はす向かいに
行きつけスタジオ、
「グランプリ」と来たもんだ。
しょうがないなァ・・・
帰りがけの駄賃にしとこう。

平日なのにずいぶん混んでる。
あらら、「笑点」でお馴染み、
三遊亭好楽師匠が居るじゃないの。
「師匠、お久しぶりですっ!」
「エッ? ハァ? エッと・・・」
「いえ、初めてですけど」
「なっ、なんだよォ!」
周りがドッと来た。

ワリと近くに座ったため、
その後も何度かやり取り。
J.C.の番が来て
持ち歌の「嵐を呼ぶ男」。
この曲はセリフが肝である。

「この野郎、かかって来い!
 最初はジャブだ…ホラ右パンチ…
 おっと左アッパー…
 畜生、やりやがったな
 倍にして返すぜ
 フックだ、ボディだ、
 ボディだ、チンだ
 えゝい面倒だい 
 この辺でノックアウトだい!」

最後の部分をちょいとアレンジ。

えゝい面倒だい この辺でママ!
 好楽師匠にザブトン1枚!」

いや、受けました。
師匠が立ち上がって拍手喝采!
こうして谷中の夜は更けました。
結局は薬局、本日は
4区5軒のハシゴ酒。
われながら、よお飲むわ!

「神谷バー」
 東京都台東区浅草1-1-1
 03-3841-5400

「呑平(のんべい) 本店」
 東京都文京区千駄木3-44-10
 03-5809-0669

「グランプリ」
 東京都台東区谷中3-13-10
 03-3821-6376

2025年8月28日木曜日

第3872話 4区を股に 5軒をハシゴ (その1)

この日は朝イチで
といっても10時だが
スマホの不具合解消のため、
西日暮里のDocomoへ。
15分で用件は満たされ、
サァ、どうするか?

J.C.の場合、
サァ、どうするか? は
サァ、何処で飲むか? と
ほとんど同義語であります。

わりと近くで朝のうちから
気軽に気楽に飲めるのは
最近、常連の仲間入りをした、
足立区・綾瀬の「かあちゃん」。
ダサい屋号が気になって
仕方がないけど気に染まった。

ドライの中瓶に
来れば頼むの玉ねぎフライ。
これだけで2本は楽勝なれど、
まぐろ山かけも貰った。
45分で予定通りに2本飲了。

お次は綾瀬駅前から都営バスで
終点の葛飾区・新小岩に到達。
時刻は正午ちょうど。
この時間なら呑ン兵衛の街、
新小岩ならずともOKだろう。

ぶらぶらし始めてすぐ、
「肉屋食堂たけうち」に遭遇。
人気店なので認知済みながら
初めての入店である。
カウンターに通され、
本日3本目のドライ中瓶だ。

メニューにとんかつ・かつ丼・
国産牛ひつまぶしなどが並ぶ。
周りを見ていると
ロースのスタミナ焼きと
生姜焼きがかなりの人気。

おつまみメニューも充実して
ハシゴ族・J.C.は当然、
美味少量派につき、
黒毛和牛ローストビーフと
ユッケジャンスープをお願い。

うっすらピンクのロービーは
ポン酢で食べてなかなか。
あまり焼肉店には行かない昨今、
ユッケジャンは何年ぶりだろう?
たまに食べるといいもんだ。

「たけうち」は埼玉県・蕨にも
店舗があり、足立区・竹ノ塚には
製造工場直売所を構える。
客が並び始め、席を譲るために
ビールは1本で切り上げ、
支払いは1800円也でした。

「かあちゃん」
 東京都足立区綾瀬2-26-8
 03-6662-4333

「肉屋食堂たけうち 新小岩本店」
 東京都葛飾区新小岩1-32-5
 03-3655-4129

2025年8月27日水曜日

第3871話 今年は秋刀魚の当たり年

TVのニュースが今年のサンマは
豊漁と告げていた。
漁業関係者によると
こんなに大型のサイズは
10年ぶりのことという。

豊島区・駒込でのランチ後、
この暑いのに不忍通りを
トコトコ歩いて帰宅の途中、
道灌山下のスーパー、
「サミット」でひと涼み。

真夏の炎天下の散歩は
スーパーはもとより、
コンビニでもベーカリーでも
100円ショップでも
往きあたった店にまずは入って
身体を冷やすのが肝要。

だからJ.C.はもっぱら
商店街を歩く。
住宅街なんか歩いたら
暑くてかなわん。
もし熱中症になったとしても
誰も助けてなんかくれない。

ボーッと突っ立って
涼んでいてもしょうがないから
物色はしよう。
何も買わなくても
物色のフリはしよう。

のぞいていたら
立派な秋刀魚たちに出逢った。
TVがいう通り、良型だ。
1尾400円で小さめが350円。
つい、大きい方を1尾購入。
今夜、焼いて食べよう。

スダチを買い忘れた。
家に大分のカボス果汁はあるが
今日は塩焼きではなく、
つけ焼きで行こう。

清酒&醤油の同割りに
小1時間ほど漬けてヅケにし、
塩焼き同様に焼き上げる。
美味いんだなこれがっ!
塩焼きに勝るとも劣らない。

実山椒の塩炒りを散らし、
大根おろしを添える。
ビールで下半身から食べ始め、
上半身は菊正樽酒に切り替えて
しっかりワタも平らげた。

秋の秋刀魚もいいけれど
サマーのサンマも実にけっこう。
よくぞ日本に生まれけり、
でありました。

「サミット 千駄木店」
 東京都文京区千駄木3-22-11
 03-3824-0694

2025年8月26日火曜日

第3870話 ユニーク・ネームのグッド・テイスト

いろいろ調べ物をしていて
ユニークな名前の店に遭遇した。
メトロ丸の内・盲腸線終点、
方南町の「スプートニク」だ。
スウェーデンのエレキバンド、
スプートニクスが第一感。
ヒット曲「霧のカレリア」は
1965年のリリースである。

元はロシアの歌曲、
「御者よ、馬を急かすな」だが
インタールードの「トロイカ」は
原曲になく、この挿入こそが
ヒットの源泉ともいえる。

多くのバンドがカバーする中、
You Tubeで歌唱を聴くことが
できるのは今のところ、
ザ・ピーナッツ盤のみ。
哀愁のハーモニーを
聴いてみて下され。

それはそれとして
ヤケに狭い間口の急な階段を
注意を払いつつ上った。
窓際の二人掛けに促され、
ハートランドの小瓶を飲む。

ランチタイムはほぼ二択で
豚角煮カレー or キッシュ。
あとはスプートニク・グルマン、
いわゆる両者の盛合わせと
豚肉のプティ・サレだけだ。

ハナから決めていたカレーは
なかなかオサレに運ばれた。
円形ライスのふもとに
ヒタヒタの黒いソース。
大きめな豚バラ角煮が
存在感を発揮している。

キャロット・ラペ風と
ターメリック・キャベツ。
ライスのてっぺんには
蓮根チップスが1枚鎮座する。

ほのかにカレーを感じるが
ハヤシと言われても納得。
角煮もソースも味わい深い。
小瓶2本で会計は2510円。

店主に訊ねた。
「店名はエレキバンドから?」
「いえ、村上春樹の小説です」
「『スプートニクの恋人』?」
「ハイ、借りちゃいました」

ロシア語で衛星や ”旅の友”を
意味するスプートニク。
54年前、モスクワの展示場で
同名のミサイルを見た記憶がある。

方南町に来るときはいつも
昼から飲める「やしろ食堂」。
最近、閉業の噂を聞き、
確かめたらホントに閉じていた。
杉並区の東のはずれ、
方南町に来る機会はガクンと
減ることになるでしょう。

「ラウンジ スプートニク」
 東京都杉並区方南2-12-19
 セイワビル2F
 03-5929-9899

2025年8月25日月曜日

第3869話 大逆転のルバーブサワー

文京区・根津の「焼鳥鳥兆」。
6年も根津に棲んだから
当然、存在は認知していたが
単なる町の焼き鳥屋だろうと
上から目線で眺めていたため、
完全にノーマークだった。

それがこのたび、情報が入る。
何でも根津の町で
一、二を争う佳店だという。
これはいかにゃならん。
そばとも・Mきと出向いた。

ビールは一番搾りの生だけで
中ジョッキをガッツン。
泡の多い方を飲ませたせいか、
彼女の鼻の下には
白いチョビ髭が生えた。

イの一番に通したのは
活〆ニザダイごまだれ和え。
食べてみたかったニザダイに
初めて遭遇した。
サンノジの別称を持ち、
見た目も味も石鯛や
石垣鯛に似た上品な白身だ。

相方は水なすにご満悦。
小いわし唐揚げも
気に入りの様子だが
J.C.はちょいと不満。
小いわしを超えて中羽に近い。
広島で食べた瀬戸内ものは
中骨も気にならなかった。

「焼鳥鳥兆」だから
モモ・ハツ・レバーを
1本づつ焼いてもらい、
シェアしてみると、ごくフツー。
特筆する点はまったく無かった。

福島県・矢吹町の銘酒、
自然郷のぬる燗で
本日二度目の乾杯。
そろそろ締めをと合議の結果、
ハーフがあったので
海鮮太巻きをお願い。

するとコイツはとんだ大外れ。
白身・サーモン・赤身が
これでもかと入って
酢めしはホンのチョッピリ。
J.C.が最も嫌うタイプで
Mきも眉を顰(ひそ)めている。
酢めしだけを追注しながら
サカナは半分残した。

当店の評価は残念ながら
ここでガクンと急降下。
口直し代わりに
ルバーブジャムサワーを。

すると予期せぬ大当たり。
スッキリした甘みが心地よく、
ルバーブってこんなに
美味かったのかと驚かされた。
脇役の放った、
大逆転サヨナラホームランに
翔平も真っ青でありましょう。

「焼鳥鳥兆」
 東京都文京区根津2-20-1
 03-5814-1372

2025年8月22日金曜日

第3868話 連日の麻雀 連夜の飲み会

翌日も神田駅前に11時集合。
決戦の火ぶたは切られた。
みなボケてはいないけど
点棒のやり取りが
ずいぶん遅くなった。
養老院の麻雀みたいなもんだ。

今日は17時に打ち止め。
17時半に近所のいわし料理屋、
「すゝ゛太郎」を予約してある。
メンバーのAらチャンに
緊急の電話が入った。

何でもパートナーの愛犬が
天に召されそうだという。
取るものも取りあえず、
彼は常磐線・金町へ
駆けつけていった。

残された3人はドライで乾杯。
愛犬に捧ぐ献杯に
ならぬことを祈りながらー。
厨房が立て混む時間帯で
料理の停滞を招かぬよう、
刺盛りだけは
あらかじめ注文してある。

いわし・あじ・ぶり・
ばちまぐろといった陣容で
あじだけは酢で〆てあった。
J.C.はいわしの酢〆も
食べたかったが
サカナばかりになるので見送る。

水なす・穴子天ぷらを通すと
水なすはフツーの旨さながら
穴子が素晴らしい。
いわゆる幼魚に近い、
めそっ子というヤツで
デリケートな味わいが際立つ。
即、もう一人前追注。

M本サンは屋久島の芋焼酎、
三岳のお湯割りに移行。
ホケンも何か地酒に切り替えた。
J.C.は山口の五橋の冷酒を所望。
それぞれに酒量の衰えを
まったく見せない。
けっこうではありますわな。

翌週も同じ顔ぶれで
打つことになったが
神田の雀荘は予約でいっぱい。
J.C.が日暮里の店を予約した。
麻雀熱が再燃している様子だ。
小学生まで打つご時世だものネ。

「すゝ゛太郎」
 東京都千代田区内神田3-22-4
 03-5207-2600

2025年8月21日木曜日

第3867話 雀卓のあとの食卓

お盆は麻雀に明け暮れた。
この4月に8年ぶりで雀卓を
囲んで以来、またちょくちょく、
打つようになったんだが
お盆は連戦となってしまった。

NY時代のメンバーが揃った。
某大手新聞社の重鎮・M本サン。
その支局に間借りしていたホケン。
ピアノバー経営者・Aらチャン。
この顔ぶれで打つのは
実に33年ぶりのことである。

昔の様に冗談ばかりが
飛び交って和気あいあい。
いや、楽しい時間は
アッという間に過ぎてゆく。

みな年寄りなので昔みたいに
12時間も打つのはムリ。
早めに切り上げて
夕食ということになった。
雀卓のあとの食卓である。

雀荘がJR神田駅前で
そこから旧連雀町へ歩き、
日本そば「まつや」に到着。
故池波正太郎翁が
こよなく愛した店である。

ところがギッチョン。
お盆だってェのに長蛇の列だ。
ザッと数えて20人は並んでた。
老い先短いと気まで短くなる。
ボーッと待ってられやしない。

近くの「SALAMANNCA」へ
即刻、移動の巻である。
2年前のやはり真夏、
のみとも・S織のバースデイに
訪れて以来だ。

スペインの赤、ペンタで乾杯。
名物のボケロネスはパス。
明日の夜がいわし料理屋につき、
いわしの酢漬けは敬遠した。

ハモン・イベリコ、
ムール貝ワイン蒸し、
パン・コン・トマテをつまむ。
パン・コンはイタリアンの
ブルスケッタと同じ。
トマトの乗ったバゲットである。

ビール好きはビールに移行して
エストレージャ・ガリシア。
そうして締めのパエリャは
店主のオススメに従い、
イカ墨のパエリャにすると、
これが意想外の大当たり。

添えられたサワークリームも
重要な役割を果たし、
4人揃って舌鼓をポンポンと
打ち鳴らしたのでした。

「SALAMANNCA」
 東京都千代田区神田須田町1-3
 03-6260-7303