2025年3月7日金曜日

第3748話 北区の豊島で お好み天ぷら

北区の交通の要衝、
王子駅と豊島五団地の中間辺りに
豊島中央通り商店街がある。
寂れ掛けてはいるが
情緒があって好きな道筋だ。

何で北区に豊島があるんだ?
と首を傾げたくなるが
広大な武蔵国豊嶋郡を収めた、
豊島氏由来であるからにして
その地域は豊島区をはるかに上回る。

豊島氏は紀伊の熊野権現を勧請し、
域内に多くの熊野神社を設け、
その総元締めが王子神社だ。

それはそれとして
豊島中央通り商店街の入口近くに
「天八」なる天ぷら屋がある。
この商店街の北の果てには
紀州神社があり、熊野権現の流れを汲む。

暖簾をくぐると右手に数席のカウンター。
左にテーブルが3卓。
先客は5人ほどだったかな?
壁の品書きを見上げたが
目当ての穴子天丼が見当たらない。

揚げ手の店主に
「穴子はないんですか?」
「ありません」
「やめちゃったの?」
「ハイ、やめました」
何でも取引先が変わったとのこと。

天丼&天ぷらのほか、
とんかつ&海老フライもこなす二刀流。
お好みで揚げて貰うことにした。
ドライ中瓶とともに
3尾で500円のメゴチを所望。
おそらく江戸前と思われるが
小ぶりな魚形が好もしい。

続いてキスを1尾。
これも好きなサカナでやはり小ぶりだ。
お好みといっても種は制限され、
あとは海老とイカ、そして野菜だけ。

中瓶をお替わりして海老を1本。
せっかくだから、海老フライも1本。
金2500円をお支払いし、
商店街を突き抜け、紀州神社へ。
せっかくだから、お参りしましょう。
J.C.の日常生活は
”せっかくだから” の繰り返しなりけり。

「天八」
 東京都北区3-19-1
 03-3919-6716

2025年3月6日木曜日

第3747話 交通会館 ぐーるぐる

小瓶1本ではまったく飲み足りない。
ガードをくぐり、駅反対側の交通会館へ。
当欄でも何度か紹介したお馴染み、
「徳田酒店」に行くと順番待ちが3人。
千円ランチが評判で
近隣のOL&リーマンに人気なのだ。

カウンターに着き、ドライ大瓶を発注。
なるべく腹にたまらないものをと
鯛皮ポン酢を通したら売り切れ。
これはハナから仕込んでないんだネ。

ん? 京橋玉子焼きって何だ?
出汁巻き玉子みたいなモンだろう。
通したら小ぶりの天津丼が運ばれた。
玉子の下には白飯代わりの繊切りキャベツ。
天津丼特有の甘酢あんは掛かっていない。

けれども相当なボリュームで
山かけ丼を詰めた胃袋には負担が大きい。
案の定、半分やっつけたところで
パッタリ箸が止まり、ギヴ・アップ。

しかし、何で ”京橋” なんだろう?
ハハ~ン、そういうことかー。
これは有楽町のそばの京橋ではなく、
大阪の京橋なんだろうネ。
1130円を支払い、早めに切り上げた。

ハナシは変わるが J.C.はほぼ毎朝、
かぼすスカッシュを飲む。
以前はメキシコ産ライムを手で搾ったが
大分産かぼす果汁を手に入れ、切り替えた。

谷中銀座「九州堂」のお世話になったが
突然閉店されて在庫も底をつき、
「おおいた 温泉座」に救いを求める。
それが交通会館訪問の理由だ。
果汁100% の 500ccを2本購入。

そこから「いきいき富山館」へ。
晩酌の友を調達するためだ。
店頭で目を射られたのは
ヒロ助のます寿司 おためしセット。

ます2切れ・トロサーモン1切れ・
あぶりサーモン1切れの3点セットは
個食者には打ってつけ。
ますはチリ産トラウトサーモン。
サーモンはノルウェー産アトランティック。
国内産のサクラマスは夢のまた夢と化した。

ズワイ蟹を埋め込んだかまぼこと
ゆず風味のスルメイカ塩辛もゲット。
その夜はいただき物の
久保田 萬寿 純米大吟醸とともに
心ゆくまで楽しみました。
よくぞ日本に生まれけり。

「徳田酒店 有楽町店」
 東京都千代田区有楽町2-10-1
 東京交通会館 B1
 090-3483-6999

「おおいた 温泉座」
 東京都千代田区有楽町2-10-1
 東京交通会館 B1
 080-2777-6339

「いきいき富山館」
 東京都千代田区有楽町2-10-1
 東京交通会館 B1
 03-3213-1244

2025年3月5日水曜日

第3746話 有楽町に 峠の釜めし

♪ 雨が降ります 雨が降る
  食事に行きたし 傘はある ♪

傘はあるけど雨の中を歩くのがイヤ。
その文句は聞き飽きて耳タコだってか?
あいや、スンマソン。
とにかく久々に雨の日でありました。
それが途中から雪に変わりました。

雨の降る日はだいたい、
日比谷・銀座・町屋・北千住に出没。
千代田区・中央区・荒川区・足立区、
4区のお世話になっている。
この日はメトロ千代田線・二重橋で降った。
いえ、降(お)りました。

というのも先日、
市川雷蔵特集で読売会館に通った際、
JR有楽町駅の改札横、ガード下に
「荻野屋 弦」なる店舗を発見したからだ。
「峠の釜めし」で有名な
群馬県・横川の「おぎのや」である。

此処はイートインどころか
昼飲みまで可能にしてくれる店。
しかも釜めしなんぞは
瀬戸物の釜を温めるんじゃなくて
店内で調製してくれるんだ。

ほ~お、いろいろ揃ってるねェ。
メインメニューはまず4品。
峠の釜めし 1400円 
上州牛そぼろめし 980円
上州イチボローストビーフ丼 1800円
鶏めし温玉のせ 980円

そして日替わり丼が本日は月曜で
山かけ炙りマグロ丼 1100円
これにしてみた。
ビールはキリン・ハートランドの小瓶。

熱々のワカメ味噌汁とともに配膳された。
う~ん、まあまあだネ。
居酒屋の山かけのほうがいいくらいかも?
まぐろブツ&とろろの下のごはんは
おでん屋の茶めしみたいな感じだった。

面白いのは峠の釜めしの具材、
それだけを注文できること。
群馬の地酒も揃っていることだし、
次回は具材をつまみに楽しむつもりです。

「荻野屋 弦」
 東京都千代田区有楽町2-9-8
 JR東日本有楽町駅高架下
 03-6810-0211

2025年3月4日火曜日

第3745話 泌尿科ドクターと 酌交復活

珍しい人からメールが届いた。
かつてグルメクラブと称し、
J.C.が主宰していた、
ワイン&ダイン会のメンバーの一員、
I 原クンがふと昔を思い出したとのこと。

さっそく飲む段取りが進んだ。
彼は大病院の泌尿器科の権威につき、
J.C.はリスペクトの意を込めて
”ハカセ” と呼んでいる。
常軌を逸した愚かなる老狂人、
トランプなんかよりずっと
尊敬に値する御仁だからネ。

ハカセと落ち合ったのは
文京区・湯島の名酒場「岩手屋本店」。
”奥様公認酒場”を自称する佳店である。
サッポロ赤星を注ぎ合い、再会を祝した。
彼と酒を酌み交わすのは11年ぶりだ。

二人ともビールを急ピッチで
ガンガンやっつける。
お通しはひたし豆。
つまみは勝手知ったる J.C.が
当店のオススメを通してゆく。

必注の逸品は最初に莫久来。
ホヤのコノワタ和えである。
「岩手屋」に来たらこの本店でも
近所の支店でも外すことはない。
本来なら日本酒と好相性だが
そこまで待っていられないんだ。

続いてまつも(松藻)。
三陸や下北の荒磯に育つ、
松の葉に似た海藻を軽い炙りでー。
まことにオツである。
すでに中瓶は6本目に突入。
われわれながら実によく飲む。

酔仙の樽酒に移行し、
メカジキのハーモニカをー。
背びれの部分を付け焼きにしたもので
他店には無い美味なる珍品がコレ。

フカの煮凝り、イナゴの佃煮に
箸休めの任を与えておいて
締めはみちのくのパスタ、ひっつみ。

小麦粉を水で練ったものを手でちぎり、
野菜と煮込む、いわゆるすいとん。
ハカセはコイツを2杯も平らげた。
しこたま飲んでお勘定は1万8千円ほど。

同じ文京区民、あちらはバスで本郷、
こちらはメトロで千駄木。
ハグして別れる春日通り。
いやはや、当夜は男とハグする、
極めて稀有な夜になりました。

「岩手屋本店」
 東京都文京区湯島3-38-8
 03-3836-9588

2025年3月3日月曜日

第3744話 バッタリ出逢った アブラボウズ

東急多摩川線・下丸子。
トンデモねェ、爺さんがいるもんだ。
しゃんめェ!
気を取り直して歩く下丸子の町。

しばらくして多摩川線づたいに
隣り駅の鵜の木へ移動した。
さっき車窓から見た町並みが
良さ気だったんでネ。

好きだなァ、こういう商店街。
駅の東側は線路沿いに
多摩堤通りが走るだけだが
西側には可愛い商店街が2本もあるんだ。

ルンルン気分で往ったり来たりした。
界隈で出逢ったのが1軒の鮮魚店。
「魚商 うおき」という。
鵜の木の「うおき」である。

店頭に背子蟹(ズワイ蟹のメス)と
タラバ蟹が何匹か並んでおり、
ひと目で質の良さが伝わってきて
なおかつ、都心よりグッと割安だ。

店内に足を踏み入れた。
さっそく惹かれたのが平目刺し。
一人用のサクがズラリ並んでいる。
みな小さいながらエンガワ付きだ。
気が利いてるねェ。
真鯛・まぐろ・かつおはもとより、
サヨリ・小肌・キスなど小物も揃う。

ウワ~オ!
まっことビックリしたのは
幻のサカナとの出逢いである。
まさかこんなところ(レイシツ!)で
バッタリ出くわすことになろうとは!
何を隠そう、アブラボウズである。
塩鮭の切り身より一回り大きいのが
3~40切れはあるんじゃなかろうか。

鮮魚店でアブラボウズに出逢うのは
J.C.オカザワ、生まれて初めて。
料理される前、
生の状態でこのサカナにお目もじを
許されたのも初めてである。

店主に訊けば、1カ月、いや、2カ月に
一ぺんくらいの入荷だという。
冷凍可能なので4切れも買ってしまった。
ほかに平目1パックとカキフライが6個。
締めて金2750円也。
こいつは春から縁起のいい買い物ができた。

さっそくその晩、煮付けにしたが
その美味たるや筆舌に尽くし難く、
この世の中に煮魚にしたら
これ以上のサカナはございません。

「魚商 うおき」
 東京都大田区鵜の木2-15-2
 03-6715-2880