2025年3月4日火曜日

第3745話 泌尿科ドクターと 酌交復活

珍しい人からメールが届いた。
かつてグルメクラブと称し、
J.C.が主宰していた、
ワイン&ダイン会のメンバーの一員、
I 原クンがふと昔を思い出したとのこと。

さっそく飲む段取りが進んだ。
彼は大病院の泌尿器科の権威につき、
J.C.はリスペクトの意を込めて
”ハカセ” と呼んでいる。
常軌を逸した愚かなる老狂人、
トランプなんかよりずっと
尊敬に値する御仁だからネ。

ハカセと落ち合ったのは
文京区・湯島の名酒場「岩手屋本店」。
”奥様公認酒場”を自称する佳店である。
サッポロ赤星を注ぎ合い、再会を祝した。
彼と酒を酌み交わすのは11年ぶりだ。

二人ともビールを急ピッチで
ガンガンやっつける。
お通しはひたし豆。
つまみは勝手知ったる J.C.が
当店のオススメを通してゆく。

必注の逸品は最初に莫久来。
ホヤのコノワタ和えである。
「岩手屋」に来たらこの本店でも
近所の支店でも外すことはない。
本来なら日本酒と好相性だが
そこまで待っていられないんだ。

続いてまつも(松藻)。
三陸や下北の荒磯に育つ、
松の葉に似た海藻を軽い炙りでー。
まことにオツである。
すでに中瓶は6本目に突入。
われわれながら実によく飲む。

酔仙の樽酒に移行し、
メカジキのハーモニカをー。
背びれの部分を付け焼きにしたもので
他店には無い美味なる珍品がコレ。

フカの煮凝り、イナゴの佃煮に
箸休めの任を与えておいて
締めはみちのくのパスタ、ひっつみ。

小麦粉を水で練ったものを手でちぎり、
野菜と煮込む、いわゆるすいとん。
ハカセはコイツを2杯も平らげた。
しこたま飲んでお勘定は1万8千円ほど。

同じ文京区民、あちらはバスで本郷、
こちらはメトロで千駄木。
ハグして別れる春日通り。
いやはや、当夜は男とハグする、
極めて稀有な夜になりました。

「岩手屋本店」
 東京都文京区湯島3-38-8
 03-3836-9588