2025年3月3日月曜日

第3744話 バッタリ出逢った アブラボウズ

東急多摩川線・下丸子。
トンデモねェ、爺さんがいるもんだ。
しゃんめェ!
気を取り直して歩く下丸子の町。

しばらくして多摩川線づたいに
隣り駅の鵜の木へ移動した。
さっき車窓から見た町並みが
良さ気だったんでネ。

好きだなァ、こういう商店街。
駅の東側は線路沿いに
多摩堤通りが走るだけだが
西側には可愛い商店街が2本もあるんだ。

ルンルン気分で往ったり来たりした。
界隈で出逢ったのが1軒の鮮魚店。
「魚商 うおき」という。
鵜の木の「うおき」である。

店頭に背子蟹(ズワイ蟹のメス)と
タラバ蟹が何匹か並んでおり、
ひと目で質の良さが伝わってきて
なおかつ、都心よりグッと割安だ。

店内に足を踏み入れた。
さっそく惹かれたのが平目刺し。
一人用のサクがズラリ並んでいる。
みな小さいながらエンガワ付きだ。
気が利いてるねェ。
真鯛・まぐろ・かつおはもとより、
サヨリ・小肌・キスなど小物も揃う。

ウワ~オ!
まっことビックリしたのは
幻のサカナとの出逢いである。
まさかこんなところ(レイシツ!)で
バッタリ出くわすことになろうとは!
何を隠そう、アブラボウズである。
塩鮭の切り身より一回り大きいのが
3~40切れはあるんじゃなかろうか。

鮮魚店でアブラボウズに出逢うのは
J.C.オカザワ、生まれて初めて。
料理される前、
生の状態でこのサカナにお目もじを
許されたのも初めてである。

店主に訊けば、1カ月、いや、2カ月に
一ぺんくらいの入荷だという。
冷凍可能なので4切れも買ってしまった。
ほかに平目1パックとカキフライが6個。
締めて金2750円也。
こいつは春から縁起のいい買い物ができた。

さっそくその晩、煮付けにしたが
その美味たるや筆舌に尽くし難く、
この世の中に煮魚にしたら
これ以上のサカナはございません。

「魚商 うおき」
 東京都大田区鵜の木2-15-2
 03-6715-2880