2014年6月4日水曜日

第852話 金がなくても金町は・・・ (その2)

おやおや、最近ずっと上野について語ってきたというのに
まだ引きずってるヨ。
寅さんつながりで再び上野に舞い戻ってしまった。

今話の舞台は金町。
松戸から歩いてきたが、このまま軽く流して柴又に向かう腹積もり。
でも久々に訪れたのだ、しばらく散策するのも悪くない。
「東急ストア」を正面に見ながら北口を出た。

とにかく金町を歩いてみよう。
わりと新し目の駅前商店街には「松屋」、「日高屋」、「やよい食堂」、
「平禄寿司」、「東京チカラめし」、「オリジン弁当」が一直線に目白押し。
それもすべてが通りの右側(南側)に並んでいる。
何なんだ、この町は!  チェーン店ばっかじゃんか!

それでも抜けきったところに
昌明通りなるレトロな商店街が控えていた。
入り口の角には「上総屋」なる鮮魚店がある。
通りを進むと店先に野菜を並べた昭和チックな青果店もあった。
これコレ、こうでないと歩いた気がしないんだ。

一軒の日本そば店の前で立ち止まる。
店の名は「白樺」、ダーク・ダックスの歌うロシア民謡みたいな屋号だ。
店先のメニュー・スタンドにはランチ・セットが3種類。
思い出し出し、列挙してみよう。

 A かつ丼・ミニざる  820円
 B カレーせいろ・小海老5本天丼  870円
 C 肉せいろ・小海老5本天丼  920円
    (イベリコ豚使用)

眺めているうちに空腹感が襲ってきた。
よお~し、ここは”A”で行こう。
オスカー・ピーターソンを気取れば、
”A列車で行こう”ってこった。
時計は14時を回ったところ、店は15時から休憩に入る。
急がなくっちゃ。

おそらくこのあと柴又に移動する。
となれば、参道の茶店で1杯の茶を喫することになろう。
いえ、いえ、そうはならないのが哀しいおのれの性(さが)、
代わりに1杯の生ビールを飲むんだもんネ。

麦茶を運んできたオネエさんに迷うことなく注文した。
「肉せいろと天丼のセット、お願いします!」
「ハイ、かしこまりました」

わけの判らん番組の流れるTVを
ぼんやり眺めていた視線が壁の品書きに移る。
ややっ、おい、おい、こんな一品があったのかい。
あわてて注文を差し替えようと、腰が宙に浮いたのだった。

=つづく=