2018年4月3日火曜日

第1841話 大衆酒場とビヤホール (その2)

銀座1丁目の「三州屋 銀座一丁目店」。
刺盛りにも〆あじにも納得がいかず、
J.C.が食指を動かしたのは、どぜう丸煮。
これに相方が反対の巻であった。

「エッ、ドジョウ? 勘弁してヨ」―
いい歳こいてドジョウを怖がってるぜ。
ドジョウが怖くてウナギが喰えるか、ってんだ!
こういう物言いは角が立つので
言葉を胸の奥にたたみ込み、何とかなだめすかす。

そう言やあ、行きつけの神田駅前店にどぜうメニューはない。
しかし「三州屋」の始祖、蒲田本店には
丸鍋・ヌキ鍋・柳川と3品が揃い踏んでいる。
本店で食べたことはないけれど、
その流れを汲んだどぜう物、いっとかなきゃネ。

小皿に10尾ほど、ささがきごぼうを従えて現れた。
浅めの皿につき、煮汁はヒタヒタ程度。
小柄などぜうたちは一様に口ひげをたくわえている。
それでもなかなかに旨そうだ。

いや、これがアカンかったネ。
とにもかくにも中骨がキツい。
口内が傷つくんじゃないかと心配したくらい。
おっと、相方の目がにらんでる、にらんでる。
「だから言ったじゃないの!」
「スンマソン」
結局は薬局、こちらドジョウ、あちらゴボウと
見事に食べ分けが成立したのでした。

口直しに再びJ.C.が推したのはかにサラダ。
先日も紹介したが神田駅前店のソレ(1300円)は
毛蟹と生野菜のハーモニーに優れた逸品である。

ただ、少々気になったのは
当店のコレ(850円)との価格差だった。
案の定、こちらは毛蟹系ではなくズワイ系。
クラブミートの質に埋めきれないギャップがあった。

宵闇せまる銀座の街。
この街に来ると、立ち寄りたくなるのが
サッポロのビヤホールだ。
1丁目から7丁目まで銀座(中央)通りを歩く。

相変わらずの大盛況ながら、すんなりと席に案内された。
ジョッキをカツンと合わせて
悠久の歴史を刻んだ空間に身を任せる。
ここに通い始めて半世紀近く、
床が卓が壁が天井が、わが人生を知り尽くしているのだ。

年配の接客係がやって来て
「7時半にローストビーフが焼き上がりますが、いかが?」
「いただきましょう」
「三州屋」の品書きに鳥豆腐のほか肉系は皆無。
サカナ系ばかり食べ継いだから
あまりデキがよくないことを承知で注文に及んだ。
ジョッキをお替わりして早めのお開きとなりました。

「三州屋 銀座一丁目店」
 東京都中央区銀座1-6-15
 03-3561-7718

「ビヤホール ライオン 銀座七丁目店」
 東京都中央区銀座7-9-20
 03-3571-2590