2018年4月19日木曜日

第1853話 過ぎたるは猶及ばざるが如し (その2)

荒川区・南千住の「中国茶寮 一華」にいる。
南千住はかなり広くて
当店の最寄り駅は都内に残る唯一のチンチン電車、
都営・荒川線の荒川区役所前だ。

突き出しのちりめんピーナッツ和えで
紹興酒を飲み始めた頃、二人連れの若い女性が入店。
J.C.の真後ろに着いたものだから
片割れの娘とは背中合わせの位置関係となった。

始末の悪いことに着席するやいなや、
厨房の店主と声高に会話を始めた。
われわれの卓の頭越しに言葉が飛び交う。
耳元で怒鳴られてるようなものだから
いや、たまったもんじゃない。

注意するのも角が立つし、何か方策を考えねば―。
相方のアイデアで、われわれ二人は席を入れ替わった。
これが効を奏しやしたネ。
店主は、アッ、このお客さんは嬌声耐えがたく、
ツレの女性を娘たちの側に配置したんだな・・・
そう、感じ取ったワケだ。

以後、彼は厨房の奥に引き下がり、調理に専念。
自ずと頭越しの会話はやみ、
心なしか娘たちの声も多少ひそやかになった。
やれやれ。

次々と運ばれる料理の中で特質すべきは
第一にやはりクエの清蒸。
ガタイの大きなサカナにつき、
尾頭付きではないが旨みじゅうぶんだった。

清蒸に白飯は必要不可欠。
皿に溜まったつゆをかけていただく。。
香菜と白髪ねぎがよいアクセントになり、
とても美味しい。
ところが白飯のせいで胃袋はパンク寸前となった。

よって直後ののカンパチ刺しがシンドいったらない。
平目や真鯛の白身ならともかく、
ブリより繊細な食味を持つカンパチも所詮は青背。
好んで食べる魚種ではないだけに四苦八苦だ。
どう頑張っても完食できなかった。
そして最後のイチボにトドメを刺されたわけである。

それぞれに秀でた料理もここまでやられると、
孔子の残した名言が脳裏をよぎる。
過ぎたるは猶及ばざるが如し
横文字だと、
More than enough is too much
ということでありますな。

「中国茶寮 一華」
 東京都荒川区南千住6-6-4
 080-7708-1045