2018年4月25日水曜日

第1857話 たった10秒のいたずら (その2)

4月15日の日曜日に開いたメールは
もう何年も以前に飲み屋で知り合ったK井サンからのもの。
そのまま紹介してみる。

既にご存知かも知れませんが、年の為。
三州屋神田駅前店が4月14日(土)で閉店します。

昨日訪問したら貼紙がありました。
社長が突然決めたようなことをオバちゃんが言っていました。
寂しいことです。。。。。


K井

ガッビ~ン!!
メールをもらったのは数日前なのにあとの祭り。
おのれのズボラを恨むしかない。
ホンの10秒早く駅に着いて
都心に向かう電車に乗ってさえいれば、
偶然とはいえ、営業最終日に最後の晩餐ならぬ、
最後の晩酌を楽しみながら別れを告げることができたのに―。

何やってんだヨ、J.C.!
取返しのつかない失態をやらかしちゃったぜ。
おのれの短慮、気まぐれを再び恨むしかない。
K井サンは寂しいとおっしゃるが、J.C.は哀しい。

実はこのハナシにはオマケがある。
いや、オマけというより伏線、あるいは前触れが正しいかな。
最終日のちょうど1週前の4月7日土曜日。
駅前店に行ったんだヨ。

相方と待合せたJR神田駅に向かい、
小川町から歩いている途中の通りから
裏路地をのぞいて駅前店を見やると
シャッターが下りているじゃないの。

そのときは
あっ、そうか、今日は第一土曜で休業日じゃないか。
遠くからのぞいただけで店先に立つことはしなかった。
立っていれば件の貼紙を目にすることができたのに―。
悔やんでも悔やみきれないとはこれである。

その夜の1軒目として訪れるはずだったが
相方には
「『三州屋』は休みだからヨソへ廻ろう」―
そう、促したのだった。

振り返れば、この店には本当にお世話になった。
ほとんどが独り飲みだったけれど、
この空間に身を置くだけでシアワセだった。
まさに極上の孤独を満喫していたのだ。
あゝ無情!
あの日々はもう帰らない。