2018年4月16日月曜日

第1850話 焼きとん待つこと1時間 (その2)

丸八通り南詰にある「仙台屋」。
待ち時間が1時間に成らんとしたところで
倅がオモテに出て来た。
そういやあ数分前に店を出た先客がいたな。

相方のハナシ相手になっててくれた男性が無事入店。
つかの間の隣人とはここでお別れ。
もっともこのあと再びカウンターで隣り合うんだけどネ。
小さな店だから、さもありなん。

われわれの番が来たのはこの15分後。
ただし、倅曰く、
「取り合えず、仮のお席ですけど、どうぞ」
裏口から通されてJ.C.が座ったのは
2階へ続く階段の最下段。
相方はその前に置かれた簡易丸椅子ときたもんだ。

いずれにしろ立ってるよりはマシ。
飲食物の提供も始まった。
スーパードライの大瓶でお疲れさんの乾杯を。
次々に運ばれる焼きとんはカシラ・シロ・レバ。
狭苦しい空間で文字通り肩身の狭い思いをしながら
それでも何とか舌鼓を打つ。

カウンターに誘導され、かつての隣人と再会。
ここで酎ハイに切り替えた。
当店のベストはカシラである。
塩やタレを駆使して当店の専門用語、
オモテ、ウラと趣向を変えて供される。

「仙台屋」のたこ焼きを意味する、せんだこが面白い。
いわゆるつくねのタレ焼きに長ねぎが散らされ、
マヨネーズが掛けられたシロモノ。
タコもうどん粉も使われないが
舌先に変化をもたらしてまことにけっこう。

炭火で串を焼く店主の前に陣取ったおかげで
言葉を交わすことができた。
訊けば屋号の由来は先代の出身地が仙台だったから―。
酎ハイをお替わりし、季節外れの湯豆腐を突つきながら
いろいろとハナシに花が咲く。

スナッキーを自認する相方が
盛んに情報取集を試みている。
1時間以上待って1時間少々の滞在後、
店主と常連たちの推す、スナック「Y」に顔を出してみた。
歩いて数分の至近である。

ここもまた地元の常連で賑わっていた。
客に媚びる素振りをまったく見せぬママが逆に好印象。
ホールの真ん中を胸を張って
スタスタと歩く姿がサマになっている。
銀座に夜のある如く、江東のはずれにも夜ありき。

「仙台屋」
 東京都江東区北砂5-18-11
 03-3647-9489