かつて週に一度はお世話になった、
池之端の日本そば屋「新ふじ」。
この池は上野公園の不忍池。
シャンシャンがいる動物園の池之端門にほど近く、
最寄りはメトロ千代田線・根津駅だ。
17時半の開店直後に来ることがほとんどで
昼めしより圧倒的に晩酌だった。
大瓶を通すと柿の種&ピーナッツが付いてくる。
乾きモノに手を出さぬ性分が
柿ピーを好むようになったのはこの店のおかげである。
ビールのあとは菊正か大関の1合瓶に切り替える。
菊正は自宅にあるから大関が多かった。
かつての人気銘柄も最近はあまり見かけない。
この酒に出会うと
1970~80年代の「弁天山美家古寿司」を思い出す。
浅草きっての名店のつけ台には当時、
大関樽酒のこもかぶりが鎮座ましましていた。
最初のうちはつまみをいろいろ試したものの、
行き着いたのはもつ煮込み。
豚のシロを八丁味噌と信州味噌だろうか?
合わせ味噌で煮込んだ逸品は酒場顔負け。
出色の出来映えとなっている。
そうしておいて締めのそばだが
夏場はもり、冬場になるとおかめ。
もりは、そば自体もさることながらつゆが好き。
子どもの頃、どんな小さな町のうらぶれた商店街でも
必ず1軒はあった町そば屋、あの味がするのだ。
現代風に気取って甘みを排したつゆよりも
あの下町感、下世話感に深く親しみを覚える。
東京の冬など大した寒さではないけれど
それでも朝晩は冷え込むようになってきた。
此度はビール&柿ピー、菊正&煮込みのあと、
おかめそばをいただいた。
崩れてはいるものの、
おかめの顔がどんぶりに浮かんでいる。
二つ並んだ焼き麩は頬っぺた。
真ん中にズドンの出汁巻き玉子が鼻っ柱。
かまぼこ・ナルト・しいたけ・小松菜は
どれがどれだかサッパリ判らない。
ノビる前にそばを食べ切り、
具材を肴に日本酒をもう1本。
もりよりも 酒盃を誘う おかめそば
これが冬の「新ふじ」の正しい使い方である。
「新ふじ」
東京都台東区池之端2-6-4
03-3821-3913