2020年12月25日金曜日

第2554話 深川は 門仲 牡丹 古石場 (その2)

下町・深川の牡丹から古石場へ歩く。

2丁目にあった住まいは跡形もなく、

あたり一帯、広大な空き地になっており、

工機が入っているので遅からずデカいビルが建ちそうだ。

 

近くの古石場文化センターには

小津安二郎紹介展示コーナーがあるからのぞいてみた。

深川生まれの小津の遺作は「秋刀魚の味」(1962)。

同年、マイ・ファミリーはこの地に引っ越してきた。

 

京橋フィルムセンターの小津特集で

彼の作品をほとんど網羅したが、また観たくなった。

DVDじゃなくて映画館でネ。

 

母校・平久小学校の校舎を眺め、深川公園へ。

深川不動堂の背後を走る首都高・深川線が

景観を台無しにしていたが背高の本堂を建て増しし、

上手いこと覆い隠している。

よかったネ、お不動さん!

 

16 時まぢかとなって気に入りの立ち飲み酒場の開店はすぐ。

永代通りをはさんで不動参道の向かい側、

「魚三酒場」の店先では約30人の待ち人がひしめいていた。

当店は門仲のランドマークなのである。

 

J.C.が向かったのはその裏側の「ますらお」。

江東区へは今年5度目だが、うち3度は門前仲町で

そのたび「ますらお」に立ち寄っている。

さっそくキリン一番搾りの中瓶をトクトクトク。

頭上のメニューボードを見上げた。

 

おっと、めじまぐろ(本まぐろの若魚)があるじゃんか―。

普段なら即決ながらこの日は違った。

あえて刺身は平目にする。

何となれば昨夜、自宅の晩酌の肴がめじ刺し。

しかも残った半身をサクごとづけに仕込んできだ。

 

確か千葉産だったので、店主に

「今どきのめじは千葉あたりかな?」

「エッ、エエ、千葉県ですっ!」

驚きにむかれたマナコが

(どうして判るんだ、コイツはプロか?)

ハハハ、口ほどにモノを言ってるヨ。

まっ、昨夜の件は白状しなかったがネ。

 

昼にとんかつ定食を食べているため、

つまみは平目刺しだけでモア・ザン・イナッフ。

此処にはサントリー知多があるから

ご利益にあずかってハイボールを1杯。

たかだか20分の滞空で駅に戻り、帰宅の途に着いた。

生醤油:日本酒、同割りのづけめじが待っている。

 

この暮れにきて。めじや平目の舞踊りとは

われながらけっこうなご身分だが

銀座の高級ステーキみたいに

人倫の道を踏み外しちゃいやせんぜ。

(まだ言ってるヨ)

 

「ますらお」

 東京都江東区富岡1-15-5伊藤ビル2F

 03-5809-8256